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PRODUCTION NOTE

若手3人を支える多才な共演者たち

「脚本は面白いけど、どうやって撮るの?」と心配していた学食のオヤジ役の竹内力が、桐谷美玲の演技に感心。はとりの親友の中島役の福田彩乃はモノマネで現場を盛り上げ、打ち上げでは監督のマネを披露。安達役の我妻三輪子の嫌われ者に徹した演技は圧巻で、特に利太から誘われて一緒に帰る時に、チラッとはとりを振り返るアドリブは、女性スタッフ陣に「イヤラシー!」と絶賛された。監督からの推薦で、恵美役は高橋メアリージュンが扮し、短いシーンながら「弘光の元カノ」と誰もが納得する流石の存在感を残した。どう演じるかで観客が受け取る雰囲気が変わってしまう利太の母親役は難しく、重苦しくならずに演じられる方という事で濱田マリが選ばれ、絶妙の雰囲気を演じてスタッフを唸らせた。

粘り強いロケハンで見つかった、バラエティに富んだロケ地

はとりと利太の通学路として使われたのは、横浜市金沢区にある歩道橋。ロケハンを重ねた中から選ばれただけあって、少し変わったデザインと、橋から見える街並みが印象的だ。はとりと弘光の重要なシーンである観覧車は、このシーンの撮影のためだけに訪れた長崎・ハウステンボス。営業時間が終わってから、世界最大級と言われるイルミネーションをバックに夜明け近くまで撮影が行われた。終盤のクライマックスシーンは、山梨県のハイジの村。そこで実際に挙げられた結婚式の写真を見た監督が、キャンドルに溢れた幻想的なシーンのアイディアを思いつき、敷地内の石畳をキャンドルで埋め尽くす事に。リハーサルを終え、日暮れを待ち、いよいよナイターシーンの撮影!となり、スタッフ総出で約3000個ものキャンドルに一斉に火をつけ始めた。しかし、八ヶ岳から吹き降ろす風で、キャンドルの炎が直ぐに消えてしまうハプニングに見舞われ、撮影が中断してしまう事態に。強風で撮影が続行できない状態に呆然とする中、奇跡が起きる。皆の想いが通じたのか、風が止むという信じられない事が起きたのだ。学校はいくつかの大学や、商業施設を組み合わせて「幸田学園高校」を完成させた。

本物の映像作りのために集められた一流スタッフ

撮影、照明、録音、美術は、ベテラン揃い。こういうはっちゃけた物語だからこそ、しっかりした映像を作りたいという英監督の元に集結した、選りすぐりのスタッフだ。本人たちは、「俺たちオジサンが、こんな高校生の映画作っていいのかなぁ?」と冗談混じりだったが、監督の意図を的確に汲んで素晴らしい映像を作り上げた。クランクアップ後は、すぐにCG制作に突入。スライディング土下座、壁走り、宙を舞う大量の弓矢など、思わず笑ってしまうが、やはりここでも監督は、メインはあくまで3人のキラキラした物語であり、浮いた感じにはしたくないとシンプルだが緻密な画作りに徹した。音楽には、めまぐるしく変わるシーンに対応する柔軟さと多様さが求められた。監督から非常に細かいオーダーが出されたが、多彩なフィルモグラフィーを誇る横山克が手がけた。監督とスタジオにこもり、その場で即興で演奏・修正するなど、フレキシブルに対応、ヒロイン失格に相応しい意外性に溢れたスコアが完成した。『ヒロイン失格』という映画の主題歌として、若い女性の赤裸々な心情を自らの言葉で書けるアーティストにと依頼されたのは、西野カナ。映画を観た後に相応しい、可愛くて、ちょっと毒のある、それでいて清々しい名曲が誕生した。