20年にわたり、ダイナミックな映像スタイルで観客を楽しませてきた、熟練のストーリーテラーである。
監督作には、好評を博した大ヒット作『シャーロック・ホームズ』(09)とその続編『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』(11)がある。有名な探偵シャーロック・ホームズをロバート・ダウニーJr.、信頼のおける同僚ワトソンをジュード・ロウが演じた。アーサー・コナン・ドイルの古典小説に着想を得て、ライオネル・ウィグラムが手がけた原案/コミック本に基づき、この伝説の探偵に斬新な視点を取り入れた。製作は、ジョエル・シルバー、ウィグラム、スーザン・ダウニー、ダン・リンが担当。
近作は、1960年代の大人気TVシリーズを新鮮な解釈で描く『コードネームU.N.C.L.E.』(15)で、ヘンリー・カビル、アーミー・ハマー、アリシア・ヴィキャンデル、ヒュー・グラントが出演。ウィグラムとともに脚本も書き、製作も務めた。
2011年、ウィグラムと製作会社リッチー/ウィグラムを立ち上げ、パートナーシップを強固にした。リッチー/ウィグラム社の第1作目の長編映画が、前述の『コードネームU.N.C.L.E.』である。映画製作に加え、リッチー/ウィグラム社は、最近、グローバルなTV市場に向けたオリジナル脚本に基づくフランチャイズ作品を企画開発するため、エンデモル・シャイン社と複数年にわたる独占開発契約を結んだ。
93年に英国映画界に入り、ウォーダー街で雑用係として仕事をし、やがて音楽ビデオやコマーシャルの監督を務めるようになった。95年に自身初の短編映画『The Hard Case』の脚本/監督を務めた。トランプゲームに参加するために金策に走るロンドンの下町訛りの男たち4人が登場する同作は、そののちの長編映画監督作品の基礎を形成する作品となった。
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(98)の脚本/監督を務め、長編映画デビューを果たす。100万ドルという低予算で作られ、ジャンル映画に新風を吹き込んだ同作は、99年度サンダンス映画祭でプレミア上映され、英国で最も興行収益をあげた作品のひとつとなり、現在もその人気は衰えていない。また、キャスティングやタレントを発掘する才覚も注目を集め、ジェイソン・ステイサムほか同作から演技キャリアをスタートさせた俳優も多い。また、ロンドン映画批評家協会より年間最優秀英国脚本家賞を贈られ、作品は英アカデミー(BAFTA)賞最優秀英国作品賞にノミネートされた。
次に、ヒット作『スナッチ』(00)の脚本/監督を務めた。ロンドンの犯罪地下組織を舞台にした同作には、ジェイソン・ステイサム、デニス・ファリナ、ビニー・ジョーンズ、ベニチオ・デル・トロ、ブラッド・ピットたちアンサンブルキャストが登場する。また、共同脚本と監督を務めた犯罪サスペンス『リボルバー』(05)では、ジェイソン・ステイサム、レイ・リオッタ、ビンセント・パストーレ、マーク・ストロング、アンドレ・ベンジャミンたちオールスターキャストを起用した。さらに、脚本/監督を兼ねた『ロックンローラ』(08)は、08年度トロント国際映画祭でプレミア上映され、09年度エンパイア賞最優秀英国作品賞を受賞。ジェラルド・バトラー、トム・ウィルキンソン、タンディ・ニュートン、マーク・ストロング、イドリス・エルバ、トム・ハーディ、トビー・ケベル、ジェレミー・ピベン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジスなど豪華キャスト陣が出演した。ジョエル・シルバー、スーザン・ダウニー、スティーブ・クラーク=ホールとともに製作も担当している。
長編映画のほかに、さまざまな短編作品の監督も務めている。その中には、デイビッド・ベッカム主演のH&Mとのコラボラインの短編映画や、評判のBMWシリーズ「The Hire」の第1作目「Star」などがある。また、ナイキの「Take It to the Next Level」は、前途有望なオランダのサッカー選手がトップへと上り詰め、名声を手にする姿を追っている。サッカー界の一流選手たちが出演する意欲的なこのプロモーションビデオは、08年度カンヌ国際広告祭で金賞に輝いた。
PAGE TOP