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もしもあなたが、30半ばを過ぎた大人のシングル女性だったら、きっとこう思うだろう。 「いまの私なら、本当にいい男を見極められるはずなのに……」 たくさんの別れと出会いを繰り返し、恋に恋していた10代や相手に一方的に幸せにしてもらうことを夢見て上っ面の条件にこだわったりしていた20代のころよりも、ぐっといい女になったと我ながら思う。そして本当の意味で自分にとっての「理想の恋人」はどんな人なのかも、ようやくわかりかけた。なのに……。 「まわりを見渡しても、同世代でちょっといいなと思う男は、すでにみんな誰かの夫。独身男は『女は若ければ若いほどいい』なんて公言するヤツらばかり。誰かに恋をしたいと思っても、現実問題として、理想の恋人候補なんて、いったい何人残ってるっていうの!?」 自分のまわりで理想の恋を探すのは絶望的。そんなとき、ふと目に留まったのがPCモニターの中のバナー広告――それはインターネットの「恋人募集サイト」。いままで何気なく見過ごしていたけれど、これは出会いのきっかけを半径5メートルから、ぐんと広めてくれる手段のひとつ。もしかしたら、運命の出会いが待っているかもしれない……! 「経験を重ねた大人の女性こそ、本当の理想の恋人に出会える」のか「大人になればなるほど、理想の恋人に出会うのは至難の業」なのか……。真相はどっち? 大人の女性たちの新しい恋に対する複雑な思い、いざ運命の相手らしき男性に出会ったときの戸惑いや心の揺れ、そして自分の気持ちに正直に、一生懸命に恋することの素晴らしさを、上質な笑いで包んだロマンス・コメディ映画が「理想の恋人.COM」 主人公・サラは離婚して8ヶ月経つ幼稚園の先生。彼女を心配する家族の言うとおり、そろそろ新しい出会いを求め、デートのひとつもしなくては、と自分でも思うものの、離婚で受けた心の傷はまだ癒えず……。新たに恋をして、また裏切られるのは耐えられない。デートのためにおしゃれをしようという気力すら沸かず、家に閉じこもりがちな日々をすごしていた。 そんなサラに業を煮やした姉・キャロルは妹・クリスティンと共謀し、勝手にインターネットの恋人募集サイトにサラを登録。おかげでサラは珍妙なお相手たちとの悲惨なデートを繰り返すハメに。腕相撲自慢や手錠を使ったプレイ(!?)愛好家、14歳の娘連れ、とんでもない泣き虫男。あげくの果てにサラを見るなり「もっと若いと思ってた」と言い放つ、ぶしつけな男……。 ネットでの出会いに絶望しかけたとき、奇跡的にも現実の暮らしのなかで、いい男を発見! それは教え子のバツイチパパ・ボブ。彼もサラに好意をもっているらしく、さりげないアプローチを受ける。女性のあしらいが上手なボブは相手なら、もう一度、軽妙な恋が楽しめるかも……。でも教え子の父親と恋するなんて……、と躊躇するサラ。 そんなとき、ついにネットでも本命候補が出現する。それは犬連れデートで出会ったジェイク。変わり者で不器用だけれど自分の気持ちに正直で情熱的なジェイクに少しずつ惹かれはじめるが、思い切って恋に飛び込む勇気がまだ持てないサラ。ジェイクのストレートすぎる情熱がかえってサラを動揺させる。実際、緊張しまくったふたりのデートは、ティーンエイジャー並みの失敗とハプニングの連発で、サラの不安は募るばかり。 サラの心はジェイクとボブの間で揺れ動く。心の奥底を揺り動かすような情熱的でまっすぐな恋をするならジェイク。おしゃれで気軽な、大人の恋を望むならボブ。 たくさんの恋や別離を経験したからこそ、自分が本当に求めている「理想の恋人」がどちらか、実はちゃんと気づいているものの、本気の恋に破れてまた傷つくことにも臆病になって、恋の手前でサラは立ちすくむ。 そうこうしているうちに、同じように離婚で傷つき『今度もしするなら大恋愛』と心に決めているジェイクはちょっとした誤解から、サラの迷いを“気がない証拠”と思い込み、身を引こうとする。どうする、サラ!? このまま本物の恋を諦めてしまっていいの? この映画の原作「Must Love Dogs」(クレア・クック著)は、全米でベストセラーになった話題の小説。ゴールドバーグ監督は、半隠居中に時間つぶしのつもりでこの小説を手に取ったものの、一読するなりストーリーに惚れ込んだ。「今の世の中はとてつもなく慌ただしい。でもそんななかで、ほんとうの愛を探し求める1人の女性の生き方を描きたかった」と言う監督は、すぐさま休止中だった映画製作活動を再開。脚本から映画化権獲得、監督、製作までを一手にとり仕切った。 「日常の現実的な会話の中にこそ、最高の笑いがある」と考える監督は、有能プロデューサー・トッド姉妹の協力を仰ぎ、本作品の重要なポイントのひとつ、サラ姉妹の関係や会話のリアルさをぐっと深めた。 演じる俳優陣も実力派揃いだ。主人公のサラを演じる大女優・ダイアン・レインはコメディエンヌとしての才能を改めて見せつけてくれるし、ジェイク役のジョン・キューザックは、監督と一緒にキャラクターを練り、個人主義者・ジェイクの個性を際立たせている。サラの父・ビルは、「サウンド・オブ・ミュージック」でトラップ大佐を演じた伝説の俳優、クリストファー・プラマー。父の恋人候補・ドリー役は、エミー賞に12回もノミネートされた実力の持ち主、ストッカード・チャニング。 製作陣とキャストたちの熱意と才能、絶妙なコンビネーションにより、監督の狙い通り、ただの軽妙なドタバタ爆笑コメディではなく、本物の恋を知る大人の女性の鑑賞にも十二分に堪えうる、深みのある上質なロマンス・コメディに仕上がっている。 この映画のキモとして特筆すべきは、ユーモアたっぷりで洗練されたセリフ。恋愛に関するセリフだけれど、どれも歯が浮くようなウソ臭いセリフとは違う。誰にも身に覚えがある現実感があり、それでいて心の奥底に響く「何気ないフレーズ」は、しばらく本当の恋を忘れていたあなたの心のドアを、そっと開かせるきっかけになるかもしれない。 |