フランス・ミュン・フェイギン フランス・ミュン・フェイギン
ロケーション・マネージャー

国全体が不況にあえいでいる時は、個人に興味深い変化が起こっていたりするもの。実際、不景気により販売員としての職をクビにならなければ、30代のフランス・ミュン・フェイギンはテレビ/映画の業界に足を踏み入れることも、ロケーション・マネージャーとして成功することもなかったかもしれない。でも結果的にそうなったおかげで、「The OC」はより完成度の高い作品となった。

よくスターの人たちには、その仕事に就いたきっかけを聞くものですが、「The OC」の裏方で重要な仕事をしている人たちが、どうやってその仕事に就いたのかも非常に興味深い気がします。どのように業界に入り、ロケーション・マネージャーになったんですか?
フランス・ミュン・フェイギン(以降、FMF):私はインターンから始めた。もともと西海岸にはアン・クラインのレザーものを販売する仕事のためにやって来たんだけど、景気が悪くなってクビになってしまったの。それで35歳の時、大きなキャリア転換をした。当時はマリーナ・デル・レイに住んでいて、ビーチで売っている新聞で映画製作会社の小さな広告を見た。たった75ドルで映画業界に入り込めるっていう内容のね(笑)。当時はハリウッドの裏をまだ知らなかった。
とにかく私は映画製作会社のコースを受けた。魅力的に思えたからね。そこでテレビや映画のエンドクレジットに載るすべての仕事の内容について学んだわ。また、たった 75 ドルでは業界に入り込めないって事実もね(笑)。
2週間後に別のコースを勧められたわ。今度は 150 ドル。典型的なハリウッドのワナよね。でも私はそのコースを受けて、予算管理やスケジューリングについて学び、そのコースで教えていた人が3日後に連絡してきて、仕事を依頼された。彼はフォックスの「エイリアン・ネイション」という映画でユニット・プロダクション・マネージャー(UPM)をしていたの。
ずいぶん前の映画だけど、宇宙人が関わる警察ものだった。だから私は新人にして、特殊効果や手の込んだメイクをふんだんに使い、ロサンゼルスの街に宇宙人がさまよう映画に参加してしまったの。

しかしその後の仕事を見る限り、初期の経験は成功だったように見えますが・・・
FMF:そうね、その後は「プロファイラー/犯罪心理分析官」というもっと有名な警察ものに携わり、「X−ファイル」というもっと人気の高い宇宙人ものに関われたからね。それにたくさんの映画にも。コーエン兄弟と働いたこともあるし、他のSF作品も手がけたわ。こんなふうに言うと私はSFものを主に扱っているようだけど、私が携わった作品はどれも人間ドラマに重きを置いたものよ。

一般的に、ロケーション・マネージャーとは映画やテレビの撮影のため、屋外のロケーションを探す仕事ですよね。仕事のどういうところが楽しいですか?
FMF:古いものを新しく見せるところにやりがいを感じるわね。そういう仕事なの。例えばロサンゼルスではテレビや映画のはじまりのころから、たくさんロケが行われていて、どこも一度は撮られている。でも、そういった場所を違う観点から見ることが大切なの。
ロケーション・マネージャーの仕事は3つに分けられる。監督やプロダクション・デザイナーが好きなものを描ける背景を用意すること、予算を考えること、そして管理することよ。

「The OC」に絞って、あなたの役目を説明すると?
FMF:私たちがすべきことはニューポート・ビーチに類似した世界を創り出すこと。登場人物たちが暮らす世界をね。すべてのキャラクターに対して、住んでいる場所や行きつけの場所を考えるの。それはそのキャラクターの特徴の一つになる重要なものよ。例えばコーエン一家はこういう場所に住んでいて、その地域はこういう風景でというように。そしてライアンはこういう所から来て、こういう場所によく行き、こういう場所で働くというようにね。だから私たちは物語に見合った、美しくて興味を惹く場所を選び出さなければいけないの。

「The OC」の熱烈なファンは、番組が実際のニューポートから北へ50kmほど行ったところにあるマンハッタン・ビーチのスタジオでその多くを撮影していると知っています。ニューポート・ビーチを象徴するような場所はどう見つけているのですか?
FMF:あんまり多くは明かせないわ。だけど私たちはレドンド・ビーチがお気に入りなの(笑)。そこでほぼ毎週、外観を撮ってるわ。作品によく合う海岸近くの地域で、物語に必要なさまざまな風景が撮れるの。桟橋とか店が建ち並ぶ場所とか、一方に海が見えて一方に住宅街が立ち並ぶステキな遊歩道もあるしね。そこはオレンジ・カウンティを思わせるわ。

実際オレンジ・カウンティで撮ったシーンはありますか?
FMF:ファースト・シーズンには一ヶ所、ハンティントン・ビーチにあるシークリフ・カントリークラブで撮影したシーンがあったわ。使えそうな場所はいつも探してるんだけど、“30マイル規定”というのがあって、ハリウッドの指定されたポイントから半径30マイルの地域であれば、余分な費用や移動時間をかけずに撮影できるとされているの。その区域を越えると製作会社は、必要以上のコストや時間をかけなければならなくなる。でもセカンド・シーズンではオレンジ・カウンティでの特別なロケ地を見つけてあるの。だから、この先はもっとそうなるかもね。

学校のキャンパスのシーンが頻繁にありますが、実際どこで撮影されているのですか?
FMF:ブレントウッドにあるマウント・セント・メアリーズ・カレッジという私立の女子大よ。とっても親切な学校で、授業が休みでない時も撮影を許してくれた。

セカンド・シーズンのはじめ、セスとライアンとサンディはオレゴン州のポートランドにいます。南カリフォルニアで、どのように太平洋岸北西部の雰囲気を撮ったんですか?
FMF: 太平洋岸北西部のイメージは緑が多く、家々はセコイアが素材で化粧しっくいに赤瓦という感じでしょう。それは南カリフォルニアの海岸沿いの地域でも見られるわ。だからそういう建築物のあるロケーションを探したの。
ニューポートとは対照的な家屋を探したわ。まったく違う地形が見られる場所とね。ぴったりの場所が見つかったわ。

ライアンの故郷であるチノの撮影も、そんなふうに探したんですか?
FMF:その通り。チノのシーンもロサンゼルスの“30マイル規定”区域内で撮影したわ。すごく特徴のある地域でなければ、ロケーションは見つけやすいの。

各エピソードやシーンについてロケハンに費やす時間はどのくらいもらえるんですか?
FMF:最長で8日間ね。幸運な時は、それよりももうちょっとだけ猶予がある。でも脚本の最終版が完成するまで、私たちにはどんな場所が必要か検討もつかない。だから、いつも急ぐことになる。
ロケハンはすべて脚本などの情報が頼りよ。それは途中で変わることもある。製作の過程では、考え直されるところも出てくるし、何らかの理由で決定しているロケ地が合わなくなることがある。そんな時は、またロケハンに逆戻りよ。

「The OC」の仕事の良い点は?
FMF:良い点は何よりもまず、他の場所に見立てて、無理やりロサンゼルスで撮影しなくていいところね。南カリフォルニアで南カリフォルニアの風景が撮れる。ヤシの木や赤瓦の屋根やビーチをそのまま撮影できるの。今まで携わった他の作品ではロサンゼルスをシンシナティに見立てたり、ニューヨークに見立てたりしなければならず、ありのままを撮ることができなかった。
それはすごくうれしいことよ。実際、大部分を西海岸のサウス・ベイやロング・ビーチ近辺で撮れてる。私が最後に手がけた映画は「デアデビル」なんだけど、約1年間ダウンタウンで過ごさなければならなかった。だから個人的にも、とてもうれしい(笑)。

それでは難しい点は?
FMF:特に悪いことは思い当たらないわ。難しいこともチャレンジだと思っちゃうし。実際私たちが仕事をきっちりこなせば、作品のつながりがおかしくならないだろうし、誰もどこで撮ったかなんて気付かない。トラックで乗りつけて、セッティングして、撮影して、撤収する。もしどこかうまく行かなかったり、計画通りに進まなければ、さまざまな部門の担当者があらゆるロケ地でうまく行くように努めることになる。
あらゆる部門のニーズを把握しておかなければならない多面的な仕事よ。駐車スペースはどのくらい必要か、どのくらいの長さのケーブルが必要か、どこに照明器具を置けばいいかなど、すべて理解してロケ地を選ばなきゃいけない。責任重大よ。

ロケ撮影はさまざまな市当局と交渉しなければならないですよね? それも仕事の一部ですか?
FMF:ロサンゼルスで撮影する時のように仲介業者に頼むわけにはいかないからね。エルセグンドやレドンド・ビーチ、マリブやパロス・バーデス、ロング・ビーチなどの市当局に掛け合って、許可を取るのも大きな仕事の一つよ。でも各自治体と非常に親しくしてるからね。10日前までに申請しなければならないところでも、当日に手続きしてくれるぐらいよ。

気に入ったロケ地を何らかの理由で確保できなかったり、許可を得られなかったりすることはどのくらいの頻度でありますか?
FMF:たまにそういうことはあるわ。でも多くのロケーション・マネージャーは無理な所を初めから選んだりしない(笑)。 時に絶対不可能なロケ地を確保するよう言われることがあるけど、見事成功すると、うれしい驚きになる。

ロケーション・マネージャーになりたいという人がいたら、成功するのにどういった性格的特徴が必要だと言いますか?
FMF:コミュニケーション能力は必要不可欠よ。人の話をしっかり聞くことも。それから大勢をまとめる能力も絶対に必要。そのうえユーモアのセンスがあること。無理難題を押し付けられても、“了解”といって、軽くやってのけなきゃならないからね。



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