Story ストーリー
自分の葬儀で涙にくれる妻のサヤ(新垣結衣)を、見守ることしかできないユウタロウ(大泉洋)。売れない落語家だったこの男は、結婚して生まれた子にユウスケと名付け、さあこれからという時にトラックに轢かれて死んでしまったのだ。だが、早くに両親を亡くし、頼る親戚もないサヤが心配で、気が付けば成仏できずにいた。
その時、コワモテの男(石橋凌)が入ってきて、棺桶の中のユウタロウに「バカもん!」と怒鳴る。驚いたサヤは、男の「ユウタロウの父です」という言葉にさらに驚く。夫から亡くなったと聞いていた義父に、自分の後継ぎに孫を引き取ると言われ、サヤはただ唖然とするばかり。怒りに震えるユウタロウは、いつの間にか師匠に乗り移っていた。「オレだよオレ」とサヤに笑いかけるが、もちろんサヤは質の悪い冗談としか思わない。だが、ユウタロウと全く同じ仕草でユウスケをあやす師匠を見て信じたサヤは、夫に言われるまま義父の前から逃げ出した。
東京からローカル線を乗り継いで数時間、古くさい大きな乳母車にユウスケを乗せて、“ささら駅”に降り立つサヤ。亡き叔母が遺してくれた、小さな家があるのだ。引っ越したその夜、見知らぬ女が勝手に入って来て、上手くできないサヤに代わって、慣れた手つきでユウスケの沐浴をしてくれる。近くの旅館の女将お夏(富司純子)で、引っ越し屋でバイトしているバカな孫が出来心で盗んだサヤの荷物を返しに来たのだ。
ふいにお夏の体に、ユウタロウが乗り移る。「俺が見える人間にだけ乗り移れるらしいんだ。しかも一度っきり」と説明する夫に、「お父さんと何があったの」と問い詰めるサヤ。ユウタロウは病気で瀕死の母より仕事を優先した父との確執を打ち明けるが、そこで時間切れとなる。乗り移れても、長くはいられないらしい。
翌日、途中から記憶を失くしたお夏が改めて謝りに来る。そこへサヤが引っ越して来る前にこの家に住んでいた久代(波乃久里子)が現れ、隣人の珠子(藤田弓子)も加わり、元同級生だという三婆が勝手に集結する。3人はすぐにユウスケに夢中になり、以来何かとサヤを訪ねて来ては、子守や家事を手伝い、育児の知恵を授ける。さらにサヤは、ささら駅の駅員佐野(中村蒼)に、ちょっとメーワクだけど、微笑ましくもある好意を寄せられ、スナックで働きながら幼い息子を育てるエリカ(福島リラ)とも友達になる。
いろいろな人の体を借りて現れるユウタロウと街の人々に支えられ、少しずつ逞しくなっていくサヤ。だが、ユウタロウは乗り移れる人間が、もう見当たらないことに気付いていた。そんな中、サヤがユウスケの母親として自分のことを認めてもらおうと、義父をささらへ招いたことから、思わぬ事件が起きる。ユウタロウは、最後の秘策を思いつくのだが──そこには“奇跡の瞬間”が待っていた。
コメント
「Twilight」は、映画「トワイライト ?ささらさや?」の原作を読んで書き下ろした、ラブソングです。
大泉洋さん演じる男性の目線からの歌詞で、新垣結衣さん演じる女性への「離れてからの心配事」を綴り、二人の間にある強い絆を、 カジュアルかつリアルに描きました。
恋愛において、一度好きになった人とは、たとえどんなサヨナラをしても、いつまでも相手の事が心配だったり気になったりするものです。好きなまま離れ離れになった場合はもちろん、嫌いになって別れてしまった場合でも、相手の事を完全に忘れ去る事などきっと無理でしょう。
この物語のように、愛し合ったまま一人だけが天国に行ってしまうような場合、残された側の悲しみや不安も計り知れませんが、天国からその人を想いながら抱く心配な気持ちもきっと大きいと思います。
傘や洋服など身の回りの物には、一緒に過ごした頃の想い出が沢山浸み込んでいます。そこにはまだ魂が宿っている気がして、捨てるに捨てられないものにこそ残った記憶の中で、一瞬でもいいからもう一度会いたい、守りたいと想う気持ちこそ、愛でしょう。
そんな切ない気持ちをこの映画と共に感じてもらえたら嬉しいです。
コブクロ