小説書きの仕事をはじめて早数年。
就業時間中、僕は自分好みのオモチャを作るつもりで書き進めます。
根が適当な人間なので、まじめさをあまり継続できないのです。アリとキリギリスでいえば、もちろん後者に該当します。
さて。オモチャである以上、作品はおのずと趣味的になります。
無駄に複雑な設定。こだわりのあつかいづらさ。次々と増えるキャラたち。いいかげんにしろと言われるウンチク記述。せっかく仕込んでもあまり気づかれないネタの数々……！
書いてる当人が言うのもなんですが。
この『カンピオーネ！』を書く作業、なかなかにめんどくさい（苦笑）。
でも、いいのです。オモチャは多少めんどくさい方がいじっていて面白いですから。
製作者である僕は、割と楽しく遊べています。
かくして、不真面目な作者とめんどくさい作品は、集英社スーパーダッシュ文庫の片隅で独立統治を謳歌していたのですが。
このたび、アニメ化という椿事が実現してしまいました。
僕にとっても作品にとっても、まことにめでたく、ありがたいお話です。
これを機会にもうちょっとまじめに仕事すべきだろうかと、柄にもない出来心が胸の裡にわきあがったりもします（註・永続しないから出来心といいます）。
また、しみじみとこうも思うのです。
『こんなことなら、もっと他の人にもあつかいやすい形で仕上げたのになあ！』と。

このような事情から、なんとも手のかかる原作ではありますが。
それでもアニメーション作品となりつつあるのは、多くの方々のお力添えのおかげです。
監督はじめ、脚本のみなさま、演出のみなさま、作画のみなさま、出演者のみなさま、そのほか全ての関係者さまに、この場を借りてお礼申し上げます。
アニメ『カンピオーネ！』の完成と放送開始を心より楽しみにしております。

また、これまで拙作をお読みいただいてきた読者の皆々さま。
『カンピオーネ！』という作品がこのように新たな形を得ますことは、全てみなさまのご愛顧と応援があればこそ。本当にありがとうございます。
ひきつづきアニメの方もお楽しみいただければ、まことに幸いです。


2012年2月　丈月城