今この時代を生きるために
【人生の軌跡=円弧(Arc)】に
思いを馳せるエモーショナルな物語。
ネビュラ賞、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞の3冠を制覇する世界的作家ケン・リュウの短編小説を、『愚行録』(17)『蜜蜂と遠雷』(19)で世界から注目を集める石川慶が映画化!主演の芳根京子が、一人の女性の17歳から100歳以上を繊細かつ大胆に、渾身の熱演を披露!その他、寺島しのぶ、岡田将生、倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫など豪華演技派共演陣が顔を揃える。
COMMENT
いとうせいこう作家・クリエーター
ケン・リュウの原作短編もひたすら人間を描いてやまない。いや人類を。
映画もまた、その重厚さと奥行きと演者の身体で私たちの世界について考えこませてくれる。
佐久間宣之テレビプロデューサー
心ごと物語に持っていかれて
生と死について考え続ける2時間
その世界の是非や悲しみに思いを馳せるうちに
いつしか、自分の今までとこれからの人生も見つめ直してる
とても素晴らしいSFでした
小島秀夫ゲームクリエイター
皺だらけの新生児と皺を刻んだ老人。腐敗しない死体(プラスティネーション)と老化しない永遠の肉体。時間を止められた様な島の懐かしい風景と素朴な住人。止まった時間の永遠と、流動する刹那の美しさ、本作はそのコントラストを対比し、生と死を問う。こんな“絵”を撮れる日本人監督がまだいたのか!と驚く。そして、この映画そのものが、未来へと流れる時間を記録する役割を担った、色褪せない円弧(アーク)そのものではないのか。
佐々木敦思考家
不老不死という人類の見果てぬ夢に真正面から取り組んだ端正にして精密なケン・リュウの短編SFを、こんなに見事に「日本映画」化出来るとは、驚嘆を拭えない。コロナ禍の今だからこそ、観るべき映画だ。
松丸千枝「装苑」編集部
緻密な映画美術の中、生命が輝いている。
スケッチで溢れた工房内のエマ、リナが着るタイダイ染めや作り込まれたコートなど、近未来の洞察としての、様々な手の痕跡。そんな人の営みの証は、不安なこの命への微笑みみたいでした。
貫井徳郎作家
ケン・リュウ作品をこんなふうに料理するのか!自作を映像化してもらった経験があるからこそよくわかりますが、物語を映画にする石川慶監督の力は本当にすごい。原作ファンも映画ファンも、腰を据えて観るべきです。
上田岳弘作家
手に届くものはもう”夢”ではなくて、予期される未来もまた”夢”ではない。
不老不死、その人類の”夢”が叶うかはまだわからないけれど、いま・ここと地続きなものとしてこの作品はそれを確かに受肉させている。
よしひろまさみち映画ライター
終わりがない生が、最良の幸福とは限らない。
不老不死を得た世界というよりも、死生観のない世界。是枝裕和監督の『ワンダフルライフ』と対になる作品のように感じた。
松崎健夫映画評論家
人生は限りあるからこそ美しい、と私たちは知っている。だから、永遠を求めてしまうのはその反動なのだとも言える。
人間は時間という概念に操られた人形なのだ。永遠を滅ぼすのは、永遠を求める者たちなのかも知れない。
針原伸二東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻・助教
医学の進歩により死の原因である病気を克服し、美容技術により外見を若くする。
不老不死はかなわぬ夢だが、現実はこの映画の世界に近づいている。人類はそれで幸福なのか?
古田貴之fuRo(千葉工業大学 ロボット研究所)所長
近年、老化のメカニズムと老化因子の「リセットスイッチ」の仕組みの解明が急速に進んでいる。
老化抑制技術は10年以内に必ず実用化され、
健康な人の寿命は120歳を超える---この事は我々科学者の間ではほぼ常識となりつつある。
『Arc アーク』の世界同様に、不老化技術の扱いと、それを受け入れた時の生き方について、今こそ議論を深めるべき時である。
吉森保大阪大学 医学部/生命機能研究科・教授
今、生命科学の進展は加速度的で、将来不老不死も現実になるかもしれない。しかし、そのテクノロジーを使うかどうかは個々の人間の選択であるべきだ。私は、主人公リナの心の軌跡・アークに深い共感をおぼえた。
Joshua科学映画ライター/Fan's Voice編集部
我々人類は「人は死ぬからこそ、今を必死で生きられる」と言うが、生を定義するのに死は本当に必要か?
科学文明が"死"を淘汰し、その意味が忘れ去られる時、"生"は如何にして定義されるのか?
最も根源的摂理に疑問を投げかけた至高のSF映画
SYO映画ライター
世界が、確かにそこにあった。輪郭に触れ、内に入り、息をした。
悠久にも似たあの時間は、何だったのだろう。
泣きたくなるほどの懐かしさ。愛の本質に触れたような畏敬。
映画が内包する感慨を、優に超えていた。
傭兵ペンギンライター/翻訳家
世界が注目する稀代のSF作家ケン・リュウが生み出した、永遠の命を巡る”選択“の短編を、ディティールを追加しつつ見事に映像化。
遺体を生きていた時の姿のまま保存する「プラスティネーション」を美しく視覚化した巧みな解釈には唸らされる。
SFファンには見逃して欲しくない一本です。