指揮官。湘南市民病院で救急部部長を務める、たたき上げの救急医。腕一本でのし上がった自負があり、医師としての腕と判断力に強い自信を持っていて、周囲からもそれを認められている。その自信が時に不遜な態度として現れることもある。神奈川県の医療危機対策統括官も務めていて、クルーズ船内での集団感染の際には、対策本部で全体の指揮を執ることになる。その際に、東日本大震災で災害対応に当たった旧知の仲の仙道に声をかける。時に周囲と衝突しながら、懸命に前代未聞の新型ウイルス災害の対応に当たる。
DMATの立ち上げに尽力した一人。現在は事務局・局次長を務めるNo.2で実働部隊のトップ。徹底した現場至上主義。本来であれば実質トップである仙道が全体の指揮を執り、結城が最前線の船内に配置されるべきだが、お互いの適性を理解している二人は逆の配置で今回の災害に当たり、仙道は検疫や船長など現場の責任者たちに歯に衣着せぬ物言いで考えを主張し乗客を救っていく。自信家の結城に「天才的な切れ者」と言わせるほどの有能ぶりで、医学の知識だけでなく、法律、経済など多くの分野に深い造詣を持つ。
隊員。地域の中核病院の救急センターに勤務する救急医。正確な診療技術と温厚な性格で、部下、上司共に信頼は厚い。生来の優しい性格から、今回のミッションへの参加を決断する。乗船後は患者の一番近くで治療に当たる危険な役割を引き受けることになる。理解のある妻と勝気な娘の3人家族。夫の性格を知っている妻は、心配しつつも反対することなく送り出した。そんな妻の気持ちを理解している真田は、申し訳なく思うと共に、自分が船に乗ることで家族が差別を受けるのではないかと心配し続ける。
医政局医事課の役人。急遽設置された新型コロナウイルス対策センターから神奈川県庁へと派遣される。清濁併せ呑む性格で、役人ながら堅苦しいところはないが、押しの強さと上から目線の言動で、当初は結城たちと摩擦を起こす。根は真面目で使命感は強いが、それを悟られることを良しとしない性格。現実的な妥協点を見つける能力が高く、役人としては極めて有能。広範な法律知識、硬軟織り交ぜた粘り強い交渉力、時に脅しや嘘もいとわない腹黒さも持ち合わせ、打つ手が無いような状況でも度々、打開策を提案する。
中央テレビの報道センターでニュースディレクターを務める。初めはほとんど誰も関心を持たなかった新型ウイルスにスクープの匂いを嗅ぎつける。まもなく日本中の関心を集める事態に発展し高揚を感じていくが、やがて制御不能な大きなムーブメントになってしまった災害を前に、自らの仕事に疑問を持ち始める。
中央テレビ報道センターの責任者で上野の上司。テレビ報道の酸いも甘いも知り尽くした叩き上げの報道マン。当初は話題にならないだろうと思っていたクルーズ船の感染ネタが、やがて世間の一大関心事になっていくことで、視聴率の匂いを嗅ぎ取り、報道番組の中心に据えるようになる。
11人いるフロントデスク・クルーの一人。正義感が強く、タフ。どんな困難な状況に置かれても解決方法はあると信じて、決して諦めない。自身も感染の危険があるなか、外国人乗客と日本人医師たちの通訳を引き受け、橋渡し的役目を懸命にこなす。勝ち気で直情型ゆえ、当初は医師や検疫と衝突するが、前向きさと積極的な行動力で、殺伐とする船内において乗客の心の拠り所になると共に、医師やクルーたちにも明るさをもたらす。
フィリピン人クルー。祖国に家族を残し、10ヶ月の契約で船に乗る。頑張り屋で陽気な性格。長く続く隔離生活に苦しむ乗客を少しでも癒やしたいと、自らの疲労と恐怖を隠し、笑顔でサービスを続ける。
6歳の海好きの息子の海翔と二人で乗船した。隔離開始時は長く船に乗れると喜ぶ息子の笑顔に癒やされるも、自身はⅠ型糖尿病を患っており、予備のインスリンはわずかに4日分しかなく、自分が倒れれば幼い息子はどうなるのかと不安をつのらせる。何もできないまま祈るような気持ちで隔離の終了を待ち続ける。
70代のアメリカ人夫婦。妻のバーバラの誘いでクルーズ船の旅に参加したが、夫のレナードが新型コロナウイルスに感染、発症してしまう。言葉も通じず、頼る人のいない状況で高齢の夫と引き離されることになり、孤独と不安、そして夫への懺悔の意識に居ても立ってもいられなくなる。
12歳と6歳の兄弟。隔離期間の途中で両親が陽性となり静岡の病院に搬送され、子供二人きりで船内に取り残される。そのまま大人たちに気づかれることなく1週間を過ごすが、隔離期間終了間近で弟が陽性となる。大人たちはこの幼い兄弟をどうするべきか決断を迫られる。