週刊実写版銀魂をつくろう

  1. 『銀魂』がもっと面白くなる! 10のポイント紹介! 後編
  2. 『銀魂』がもっと面白くなる! 10のポイント紹介! 前編

後編 『銀魂』がもっと面白くなる!
10のポイント紹介! 後編

ゆかいな福田組

福田組の特徴は、福田のまわりに常に俳優が集い、楽しい会話を繰り広げていることだ。そのおしゃべりの中から、芝居のアイデアが生まれてくることも多い。『銀魂』の座組はことのほか仲がよく、小栗は自分の出番が終わっても帰らず、皆が終わるのを待って一緒に食事に行くほどだった。食事中も、作戦会議ではないが、『銀魂』をより面白くする企画が語られ、PR動画「銀魂音頭」などが誕生した。

デニム、ジャージ、レザーを衣裳にあしらう

原作の衣裳を再現するため力を入れたのは、素材感。ともするとコスプレのように見えてしまいそうなところを、布、デニム、ジャージ、レザーなど様々な素材を使用することで立体感を出した。銀時はデニムとレザー、新八はジャージ、真撰組の上級クラスはレザーにするなど階級ごとに素材をセレクト。SF時代劇ならではのハイブリッドなビジュアルが完成した。衣裳を担当したのは「るろうに剣心」「信長協奏曲」「ミュージアム」などの澤田石和寛。

予算も手間も意外とかかったエリザベス

『銀魂』実写化で困難なのは謎の生物の表現。子犬が巨大化したような定春や“●バQ”のようなルックスのエリザベスを実写でどのように表現するかにスタッフは頭を悩ませた。定春はCGで、エリザベスは着ぐるみで制作。その“着ぐるみ感”をむしろ笑いにしつつ、頭部のなめらかな曲線を再現する工夫や、さらにあとからCGでなじませるなど、ざっくり見えて意外と手間ひまをかけている。

当日台本のライブ感

ライブ感を大事にする福田監督は、撮影の合間の俳優たちとの会話やリハーサルの様子を見てプラスアルファを思いつき、容赦なく追加台本を書く。何度となく追加台本が手渡される俳優たちは、悲鳴をあげながらも、粛々と覚える。結果的により面白くなるので、文句を言う者はいない。福田組の信条は、笑いを徹底的に真面目にやること。追加台本も、妥協しない魂の表れなのだ。

監督自ら動いて、演技指導

アイデア豊富な福田監督。リハーサルのときに演技の見本を自らやって見せる。それがとてもおもしろく、現場はつねに大爆笑。それを元に俳優が演じると、名場面の出来上がりだ。妙がドラゴンボールを音読する場面は、間合いや表情など、福田の動きを元に長澤まさみが絶妙に演じ、コメディエンヌの才能を発揮した。銀時の猛ダッシュの動きや、神楽の変顔なども福田の指導の賜物だ。

前編 『銀魂』がもっと面白くなる!
10のポイント紹介! 前編

小栗旬発!『銀魂』流、新しいアクション

『銀魂』の魅力のひとつはアクション。漫画のダイナミックな様式性を再現するために考案されたのは、喧嘩殺法と日本の伝統的な剣術をかけ合わせた新しいスタイルだった。アクション監督のChang Jae Wook(『ルパン三世』など)は、小栗旬の推薦で起用された韓国の気鋭だ。彼は、キャラクターごとのアクションを用意し、スピーディーなチャンバラ・アクションを作り上げた。

アクションのなかにドラマがある

冒頭、ファミレス「でにいす」にて銀時が天人を倒す場面は、福田監督のアイデアで、あえて手数を減らし、一撃で相手を打ちのめすことで銀時の力強さを鮮烈に印象づけた。
目指したのは、アクションにも登場人物の特徴や感情が滲むもの。銀時と仁蔵のアクションは、刀と刀のつばぜり合いから次第に常軌を逸したバトルへと変化していく。また、神楽とまた子の闘いでは、戦法の異なるトリッキーなアクションが楽しめる。神楽による相手の感情を揺さぶる“口撃”も見ものだ。

堂本剛の堂々たる存在感

堂本剛にとって12年ぶりの映画出演ながら、演じて良し、動いて良し、三味線弾いて良し、と圧倒的な存在感を見せつけた。三味線は、ギターが弾ける堂本だからと福田監督の無茶振り。全然違うとぼやきながらも、難なくこなしてしまう、さすがの堂本。小栗とは、16年ぶりの共演になる。ふたりの緊迫感あふれるシーンをやった後、小栗は「剛くんのお芝居をもっと観たい」と熱望していた。

漫画の世界を完全再現

『銀魂』の世界は、江戸時代と現代・近未来とのハイブリッド。ちょんまげ、電柱、高層ビル、宇宙船となんでもアリだ。原作に描かれたその奇妙な空間を、街の外観(京都太秦等でロケ)から万事屋の中まで、映画では完全再現。映るか映らないかわからないくらいの小道具まで徹底的に揃えた。押入れの中の神楽の寝室に至ってはスタッフの狂気すら感じる。また、よく見ると謎の物体ジャスタウェイが随所に登場。ジャスタウェイ探しも一興だ。

決戦の舞台は、空飛ぶ巨大な船

クライマックスの決戦の場となる鬼兵隊の船は、最も大掛かりな美術装置。美術監督の池谷仙克は「この船の動力源は何か?」と首をかしげつつも、漫画ならではの理屈を超えた巨大な飛行船をデザイン。甲板のセットは、東映撮影所の最も大きいスタジオに作り込んだ。なお、本作は「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」や「台風クラブ」「帝都物語」など名作を多く手掛けた名匠・池谷の遺作となった。

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