じんわり心が温かくなる“やさしい”恋愛ファンタジー。最初はちょっと頼りなくみえるサーラとナランバヤルのことが、見ているうちにどんどん好きになっていきます。子猫と子犬の活躍もお見逃しなく！

戦争の絶えない敵対する二つの国。
国の都合で偶然出会うそれぞれの国の男女は、二つの国の和解に尽力する。
今の不条理な世界そのままだ。
大人も子供も優しさに包まれる極上の恋と冒険のエンタテイメント映画である。

いがみ合うふたつの国が舞台の物語。
それなのに、幸せでお腹がいっぱいになる物語。
この映画を見たあとは、なぜかあたたかいご飯が食べたくなります。
どんなにお腹がいっぱいになっても、サーラとナランバヤルが教えてくれたぬくもりを、おかわりしたくなるのです。

岩本ナオ先生が描かれる繊細な心情表現や、思わずクスッと笑ってしまうユーモラスな台詞回し、そして個性豊かなキャラクター達。その魅力の全てが、柔らかな色彩や音楽とともにスクリーンから伝わってきました。いま世界に必要なのは、この優しさなのだと思います。

恋愛が重要な要素でありながら、最終的に国の運命を変えていくという、これぞ少女マンガ、と個人的に感じる作品に久しぶりに触れた様に思いました。
その繊細さは新鮮な印象で、冒頭で感じた違和感が細かい伏線となり、精緻なパズルの様にピタリとハマっていく感じは、不思議な気持ちよさがありました。
主人公サーラの、のんびりとした、それでいてしっかりした声の芝居は、その丁寧な表情芝居と相まって、とてもチャーミングに感じました。

この映画には、弱くて、優しくて、だからこそ強い人がたくさん出てくる。彼・彼女らの生き方を観て、ささくれだった心は存分に癒やされたし、浜辺美波さんと賀来賢人さんの“上手さ”をたっぷり堪能させてもらった。エンドロールは珠玉そのもの。最後の最後まで、席は立たないで！

鑑賞直後、このうえない幸福感に満たされました。終盤に向かうにつれて、登場人物たちが徐々に結託していく様は誰もがワクワクするのではないでしょうか。賀来賢人さん、浜辺美波さんの演技はさることながら、マッドハウスが作り出す映像美も素晴らしいものになっているのでぜひ鑑賞してみてください。

「金の国 水の国」の世界が色付き、音を宿すとこんなにも豊かになるのか……試写室の席を立ったときにそう唸らざるを得ませんでした。キャラクターや美しい映像に命を吹き込む音楽、印象的なシーンで耳を優しく包む琴音さんの繊細な歌にも涙腺を刺激されましたが、何よりも推したいのはナランバヤル役の賀来賢人さんの演技。見事なナランバヤルっぷりでした。

【優しい】作品を更に映像でとことん優しく作り上げています。 少女漫画のアニメ化で好評を博してきたマッドハウス制作ならではです。

イスラム建築とアラベスク装飾の金の国、オアシス都市の如き水の国。
戦乱絶えぬ両国を行き来する御伽話的ボーイミーツガールの奇跡。
暴力より対話を、因習より合理性を、独占より分配を、利己より利他を、外見より内面を。
叡智と話術で価値を転覆させる未来思考のファンタジー。

綺麗を問いかけ、綺麗事を問い直す。
次代の架け橋となる純真な映画。まだ幼い娘にも見せたいと思った。

映画の魅力はサーラに尽きます。ずいぶん可哀相な境遇なのにいつもニコニコやさしいサーラが健気で可愛く、最初から最後まで「ガンバレ！ガンバレ！」と応援し続けでした。

世間の価値観や他人からの心ない言葉で損なわれてしまった、誰もが抱えてしまう劣等感や孤独は、ふとした瞬間に企みのない誰かの純粋な言葉で救われることがある。この物語は、そんな美しい瞬間が描かれている。

誰かを愛する気持ちがあれば、悲しい過去は思い出に、つらい試練は冒険になる。そのことをサーラとラナンバヤルが教えてくれました。

個性的で心優しい人々の物語。それを彩る緻密な背景と壮大な音楽。もっとこの世界を堪能したいと帰りの電車で電子コミックを注文していました。 読みながら脳内で再生される主人公たちの声は紛うことなく賀来さんと浜辺さんでした。

心惹かれた原作の世界が、美しい美術と澄んだ音楽に彩られてスクリーンに広がっていて感動しました。異国の雰囲気がとても素敵。
おっとりと優しく、しっかりとした芯の強さを持ったサーラに憧れます。

よくある異世界ファンタジーかと思いきや、建築物や衣装、調度品は中近東の文化をイメージさせる実在感あるデザインで、見ているだけで異国を旅している気分にひたれる。手堅く描きこまれた背景が、物語に説得力を与える。

知恵とやさしさ。そして寛容。今、世界に必要なことをはっきりと描くことができたのは、『金の国 水の国』が“おとぎ話”だからこそ。この“おとぎ話”は暖かく強く胸に迫ってくる。

"賀来賢人さんの素晴らしい存在感！
劇中のサーラのようにときめいてしまいました。銀河万丈さん、戸田恵子さんを始め、脇を固める名優たちの芝居も圧巻。これだけの声の力は、優れた音響で味わいたいもの。"

美しい世界で描かれる国同士の対立と、王女と婿が抱える“秘密”。穏やかな王女サーラがナランバヤルを前にして、本当の感情を出してしまう姿に心が震える。「他人からの評価」にとらわれる心や、近い将来への不安は私たちにとって絵空事ではない。「むつかしい道を選ぶ」ふたりと思いが重なる作品だ。