映画『町田くんの世界』

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2019.6.14何度も観たくなる『映画 町田くんの世界』のススメ

映画『町田くんの世界』には、様々な“メッセージ”が隠されています。その“メッセージ”に気付くと、印象がガラリと変わってしまう不思議な映画なのです。
この映画を観終わった後は、後ろを歩いている人の為に劇場のドアを開けてみたり、帰りの電車の中で、ご高齢の方や妊婦の方など不自由されている方々に席を譲ってみたり…町田くんのような優しい行動がしたくなると思います。
そして、家族や友人、恋人、夫・妻、子供らをこれまで以上に愛したくなると思います。
是非、劇場でこの映画『町田くんの世界』の中に散りばめられたメッセージに気付いて頂けたら幸いです。

北島直明(映画プロデューサー)





◆『恋』とか『好き』とか、どういうことか説明出来ますか?

これまで公開されてきた恋愛映画は全て、『恋』とか『好き』とかいう事を、登場人物達は皆“知っている”という前提で物語が語られていると思います。映画『町田くんの世界』に登場する、町田くんの友人たちも皆『恋』をしています。でも、彼らは『恋』とか『好き』の“本質”を本当に理解しているのでしょうか? 
一方、町田くんは、人類全員を家族のように愛していますが、『恋』とか『好き』という事が分かりません。恋を知っている“はず”の登場人物達が、恋を知らない町田くんと接する事で、『“好き”って一体なんなんだろう?』と考えるようになっていくのです。
この映画は、『恋って一体何?』『人を好きになる気持ち』『家族への愛と好きな人への恋の違い』を町田くんと一緒に考える事が出来るように作られています。色々なシーンで『わからない』というセリフがたくさん出てきます。このセリフが出てきたら、登場人物達と一緒に『わからない』を考えてみてください。知っているつもりだった『恋』の姿が違った形に見えるかもしれませんよ。



◆町田くんを“神様”だと思って観ると、ガラリと世界が変わります。

町田くんは人類全員を自分の家族のように愛しています。困っている人がいれば助け、頑張っている人がいれば応援する。ある種の神秘性、潔癖性があり、劇中で「キリストって呼ばれてる」というセリフがあるくらいです。
みんなの事は愛せるけれど、たった一人の事を愛する事を知らない町田くん…。猪原さんに対する自分の気持ちを理解できず、猪原さんのことを逆に苦しめてしまう…。
町田くんが、明確に“ひとりの人を愛すること”を考えるきっかけは、お父さん(北村有起哉)との会話なんですね。「分からないことがあるから、この世界は素晴らしい。分からないからこそ、しっかり向き合わなきゃいけない。」という言葉をもらいます。そのあとの町田くんの変化に注意してみてください。
それまで汗をかかなかった町田くんが、汗をかき始める。そして、だんだんと回りが見えなくなっていってしまう…。果たして、“町田くんの世界”はどうなってしまうのか…!?



◆『町田くんの世界』と『猪原さんの世界』のシンクロ

この映画のヒロイン、猪原奈々。彼女は人が大嫌いで心を閉ざしています。そんな彼女が好んでいる場所は、【取り壊し予定の立ち入り禁止のプール】と【水門で水が堰き止められている土手】。実はこの2つの場所は、『猪原さんの世界』なんです。周りからも認識されていない彼女が唯一いてもいい場所。そこに町田くんがやってくるのです。
この2つの場所で起きる事件によって、変化していく猪原さんの心情にリンクして、少しずつ変化していく【プール】と【土手】の景色を見逃さないでください。この2つの場所を繋ぐ“ある生き物”にも注意してください。
『町田くんの世界』と『猪原さんの世界』がシンクロする時、この映画最大の奇跡が起きるのです!



◆この世界に存在する“悪意”というもの

『町田くんの世界』は優しさで満ち溢れています。一方、私たちが暮らしている世界は、『町田くんの世界の外の世界』。そんな私たちの世界を体現するキャラクターとして印象的に描かれているのが、池松壮亮さん演じる吉高です。町田くんも吉高もメガネを掛けていますが、白っぽい服を着ている心清らかな町田くんに対して、黒いっぽい服を着ている吉高はまるでブラック町田。彼は、様々な“悪意”に惑わされ、本当に大切なものを見失いそうになっています。
町田くんと吉高の2人がバス停で“対決”するシーンがあります。その2人の間に引かれている黒い線に注目して下さい。これが、『町田くんの世界』と私たちの世界との境界線なのです。吉高はこの境界線を越えて、『町田くんの世界』を垣間見るのです。そして、町田くんと出会ってしまった事で吉高は変わっていきます。最終的には劇的な奇跡を目の当たりにするのです。
吉高が見つけ出した答えは、あなたが学校や職場で嫌な気持ちになった時の助けなるかもしれません。



◆最後の奇跡~邦画史上類をみないラスト15分~

これまでご覧になられた方で、ラストの展開を予測できた人はひとりもいなかったのではないでしょうか?ネタバレをするわけにはいきませんが、ラストシーンの意味を少しだけ。
池松壮亮さん演じる吉高に注目してみてください。「見て!町田くん、町田くん」と言うシーンで、まわりの人たちは下を向いていて、一切その事に気づきません。劇中で猪原さんが「好きな人に好きだと言ってもらえることは奇跡だよ」というセリフを覚えておいて下さい。
この映画には、下を向いてスマホを見ている人々が多く描かれています。自分以外には無関心で、困っている人に気付かない…。という事は一方で、奇跡が起きたとしても気づかないのです。みなさんも、電車やバスに乗ったなら周りを見渡して、どのくらいの人がスマホを手に取り下を向いているか確認してみてください。窓の外の風景を見ている人がどの位いるのでしょうか?
起きてはならない不幸な事件や事故が多発しています。ありえない事が普通に起きています。だったら、映画の中だけでも、“素敵なありえない事”が起きたほうがいい。そういうシーンなんです。

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