❖撮影エピソード④
「ママレ」的、記憶に残るナチュラルで美しいキスシーンの数々
廣木監督は、光希と遊の恋愛について「出会って、好きになって、つき合って、フラれて、離れ離れになって、会いに行ってもっと好きになって──2時間のなかで2人の恋は次から次へ、ものすごく早く展開していくので、それを演じるのは難しかったと思います」と語る。なかでも観客の胸をドキドキさせるのは、やはり保健室のキスシーンだろう。保健室に運ばれた光希、眠ったふりをした彼女にそっと口づけをする遊、2人にとってのファーストキスだ。ほかにも遊がずっと抱えていた秘密を光希に打ち明ける海辺のシーンのキス、キスをしようとしたところに千弥子と留美が帰宅し、慌ててクローゼットのなかに隠れた未遂キス、そして、ラストシーンでのキス。いずれも壁ドンのようなデフォルメされたキスシーンではないが、日常のなかにある自然なキスにして記憶に残るキスを、桜井と吉沢はとびきり美しく演じてみせた。