イントロダクション
優しい笑顔と、人を思いやる心。少年のような華奢な身体に長い髪。
そんな男が、人を助けるために立ち上がる時、眼光鋭く一変する。神より速く、修羅より強く、一対多数の戦いも瞬時に制す。けれど相手がどんな悪人でも、自ら立てた〈不殺(ころさず)の誓い〉に従って、決して命を奪いはしない。男の名は緋村剣心、街から街へとさすらう流浪人(るろうに)だ。
剣心には、秘めた過去がある。動乱の幕末に、最強の暗殺者と恐れられた〈人斬り抜刀斎〉とは彼のこと。国を分けた戦いは決着し、抜刀斎は姿を消した。
あれから10年、時代を変えたはずなのに、悲願の平和は訪れない。抜刀斎は剣心として、[斬れない刀=逆刃刀(さかばとう)]で自ら新たな時代を創ることを決意。初めてめぐり会った大切な人たちを守るため、剣心の次なる戦いが始まる──!
原作は、和月伸宏の「るろうに剣心─明治剣客浪漫譚─」(集英社刊)。
「週刊少年ジャンプ」連載時より女性からも熱い支持を受け、シリーズ累計5400万部を突破、TVアニメも大ヒットを記録した国民的コミック。さらに世界23カ国で翻訳、国境と世代を越えて、ずっと愛され続けている作品なのだ。
原作のスピリットを忠実に引き継ぎながら、全く新しい作品として完成させたのは、「龍馬伝」『ハゲタカ』の大友啓史監督。剣心役は他にいないと熱望されたのは、佐藤健。2人の出会いは、佐藤が岡田以蔵を演じて絶賛された大河ドラマ「龍馬伝」。そして運命のプロジェクトが走り始めた。監督は生身のリアルなアクションと深い人間ドラマを融合。佐藤は「アクションが格好悪かったら役者生命は終わり」とまで言い切り、鬼気迫る抜刀斎と愛に満ちた剣心の、相反する二つの顔を見事に演じ切った。