太陽は動かない

ABOUT THE MOVIE 24時間ごとに死の危険が迫る極限のノンストップ・サスペンス
24時間ごとに秘密組織:AN通信へ定期連絡しなければ、爆死する。 爆弾を埋め込まれた、冷静沈着な鷹野(藤原竜也)と相棒の田岡(竹内涼真)。 精鋭エージェントコンビに課せられた、過去最大にして最悪のミッション。 キーワードは、全人類の未来を決める次世代エネルギー。 その極秘情報をめぐり、世界各国のエージェントたちが争奪に動き出し、 命がけの頭脳戦が始まる! そんな中、ふたりの心臓の起爆装置が発動!刻々と迫り来るカウントダウン! 時間がない!襲いくる数々の困難を乗り越え、彼らは明日の太陽を見られるのか—!?
監督 羽住英一郎 1967年生まれ、千葉県出身。ROBOT所属。 2004年、『海猿 ウミザル』で劇場映画監督デビュー。「海猿 UMIZARU EVOLUTION」(05/CX)、『LIMIT OF LOVE 海猿』(06)、『THE LAST MESSAGE 海猿』(10)、『BRAVE HEARTS 海猿』(12)の海猿シリーズをはじめ、『暗殺教室』(15)、『暗殺教室〜卒業編〜』(16)など大ヒット作を次々と手掛ける。「ダブルフェイス」(12/TBS・WOWOW)では東京ドラマアウォード2013単発ドラマ部門グランプリを獲得。TVドラマ「MOZU」シリーズ(14・15/TBS・WOWOW)、『劇場版MOZU』(15)も話題に。その他の作品に、『逆境ナイン』(05)、『銀色のシーズン』(08)、『おっぱいバレー』(09)、『ワイルド7』(11)、『OVER DRIVE』(18)など。
プロダクションノート
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1967年生まれ、千葉県出身。ROBOT所属。 2004年、『海猿 ウミザル』で劇場映画監督デビュー。「海猿 UMIZARU EVOLUTION」(05/CX)、『LIMIT OF LOVE 海猿』(06)、『THE LAST MESSAGE 海猿』(10)、『BRAVE HEARTS 海猿』(12)の海猿シリーズをはじめ、『暗殺教室』(15)、『暗殺教室〜卒業編〜』(16)など大ヒット作を次々と手掛ける。「ダブルフェイス」(12/TBS・WOWOW)では東京ドラマアウォード2013単発ドラマ部門グランプリを獲得。TVドラマ「MOZU」シリーズ(14・15/TBS・WOWOW)、『劇場版MOZU』(15)も話題に。その他の作品に、『逆境ナイン』(05)、『銀色のシーズン』(08)、『おっぱいバレー』(09)、『ワイルド7』(11)、『OVER DRIVE』(18)など。
1966年生まれ、神奈川県出身。『ルート225』(06)、『フィッシュストーリー』(09)、『ゴールデンスランバー』(10)、『白ゆき姫殺人事件』(14)、『予告犯』(15)と、中村義洋監督作品を多く担当する。近年では、『藁の楯 わらのたて』『永遠の0』(共に13)、『繕い裁つ人』(15)、『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』『チア☆ダン ~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(共に17)、『空飛ぶタイヤ』(18)、『糸』(20)などを手掛ける。
1977年生まれ、埼玉県出身。2004年、「ラストクリスマス」(CX)でドラマ劇伴デビューし、以降、数多くのTVドラマ、映画を手掛けるとともに、オーケストラによるコンサート活動も行っている。近年の主な作品は、『3月のライオン 前編/後編』『亜人』『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』(いずれも17)、NHK連続テレビ小説「半分、青い。」『祈りの幕が下りる時』『曇天に笑う』(共に18)、『マチネの終わりに』(19)、『カイジ ファイナルゲーム』(20)など。
長崎県生まれ。1997年「最後の息子」で文學界新人賞を受賞してデビュー。2002年に「パレード」で山本周五郎賞、「パーク・ライフ」で芥川龍之介賞を同時期に受賞し話題に。その後、07年「悪人」で毎日出版文化賞と大佛次郎賞、10年「横道世之介」で柴田錬三郎賞、19年「国宝」で芸術選奨文部科学大臣賞と中央公論文芸賞を受賞。作品は英語、仏語、中国語、韓国語など各国で翻訳出版され、世界で注目される日本人作家である。2016年より芥川賞選考委員を務める。
 心臓に爆弾を埋め込まれた主人公が世界各国を駆け回るというユニークな設定と壮大なスケールから、“実写映像化不可能”と言われ続けた吉田修一の小説「太陽は動かない」。その定評を覆したのが、『劇場版 MOZU』の製作チームだ。羽住英一郎監督のもと、再びタッグを組んだWOWOWとROBOT。吉田修一と出版元の幻冬舎も「MOZUチームならやってくれるだろう」と期待のエールとともに許諾。2017年夏、エキサイティングな企画が立ち上がった。
 映像化を実現した大きなポイントは、「太陽は動かない」のビギニングにあたる小説「森は知っている」も原作とし、2つの物語を1本の映画に結実させるというアイディアだった。「太陽~」はエンターテイメント満載だが、一方で主人公の鷹野一彦と彼に関わる人々の背景の多くは秘められている。「森~」では、鷹野の生い立ちやAN通信に所属した経緯、上司の風間武との出会いなど、その全てが明かされる。大人・鷹野のキャラクターを少年・鷹野のエピソードが補完することによって、物語の厚みと強度が増し、そこからエモーショナルな驚きと感動が生まれると考えたのだ。また、大予算の実写邦画が製作されにくくなっている環境の中で本作を予算やスケールを落とさず実現させるために連続ドラマ版も同時製作し、逆に敢えてビッグプロジェクト化させるというアクセルを踏んだ。  脚本は、羽住監督とのタッグを熱望していた『藁の楯』『永遠の0』の林民夫に依頼。その後、映画とドラマ全話を監督・脚本・音楽・現場スタッフ、そして主要キャスト、全て同じ陣容で同時に撮影していくという前代未聞の体制を決断。こうして本プロジェクトはスタートした。
 監督とプロデューサー陣で行われたキャスティング会議。主人公の鷹野一彦役には、演技はもちろんハードなアクションをこなせる肉体を持ち、ビッグプロジェクトの屋台骨を支えられる30代の俳優が必要だと考えたと監督は振り返る。折しも『22年目の告白-私が殺人犯です-』が大ヒット中で、「藤原竜也しかいない」と、主役のキャスティング会議はものの数分で終了。藤原からの快諾も得て、羽住監督は藤原との初めてのコラボレーションに意欲を燃やした。
 主演は藤原竜也だが、彼が演じる鷹野の相棒となる田岡亮一役には、ツートップを張る覚悟で臨んでくれる、活きのいい20代の俳優が求められる中で、こちらも自然に竹内涼真の名前が挙がった。田岡は勢いがあって生意気な半面、死の恐怖が頭から離れないという弱さも抱えている。今の竹内なら大人の男に成長する少し手前の揺れる心理も表現できるはずだという期待もあった。
 鷹野の上司・風間役には、佐藤浩市。「SAMURAI CODE」で一度仕事をしている羽住監督からのたっての希望で、「最上級のキャストでいきたい」というのがその理由だった。国籍不明の謎の女・AYAKOと鷹野のライバルであるフリーの韓国人エージェントのデイビッド・キム役には、昨年ハリウッド進出も果たし国際的にも活躍の場を広げるハン・ヒョジュと、韓国で人気急上昇中の実力派俳優ピョン・ヨハンを起用して本物感と国際性を強調した。 
 鷹野の同僚のエージェント・山下竜二役に対しても、羽住監督は強いこだわりを持っていた。オープニングから観客の度肝を抜くために、バイクに引きずられる演技を含むハードなアクションを、吹き替えなしで自ら演じてほしい。しかも、主役級の華を持つ役者に、その重役を担ってほしいという要望だ。監督の熱い想いは、市原隼人が受け取った。
 2018年、ブルガリアの制作会社B2Y Productionsの撮影誘致説明会に参加したラインプロデューサーの提案で、6月にブルガリアへロケハンに行く。『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』などハリウッド超大作も手掛けたB2Y社とNu Boyana Film Studiosのノウハウに目を見張った製作チームは、9月には羽住監督を伴って再び彼の地に降り立った。行って帰ってくるたびに監督の目が輝きを増し、「本当にこんなアクションが撮れるのか?」と日本で待っていたチームが驚く脚本へと変貌し、ブルガリアの首都ソフィアでの撮影が正式に決定された。
 2019年3月27日、日本から渡った約50名のスタッフと、100名を超える現地スタッフが合流してクランクイン。初日から1カ月間、日本では絶対に不可能なことの連続だった。まず驚かされたのは、映画撮影への理解と協力だ。オープニングシーンの山下を乗せたゴミ積載トラックが走り去る一帯は、「日本人スタッフだけでの単独行動禁止」の警告が出された危険地域だが、地元住民との度重なる交渉の上、連日ハードなカーアクションを行った。空砲だが本物の拳銃も発砲され、異例尽くしの撮影の始まりを告げる合図となった。
 最初の見せ場である、トラックから山下が振り落とされ、死の瀬戸際で追っ手から逃げるシーンは、官庁街の大通りで撮影された。大統領官邸前という都市中心部にもかかわらず、道路を何百mも封鎖することが許され、ロケットランチャーを放たれた車が横転、爆破するダイナミックなシーンとなった。  ブルガリアロケ最大の山場は、鉄道を終日借り切って、実際に列車を走らせての撮影だ。しかも、かつては共産党幹部専用の御用車で、今は観光用に使われている歴史的にも価値のある列車なのだ。ソフィアセントラルステーションから往復400km走らせて、膨大なカットが収められた。中でも特に危険な2つのシーンは、竹内の見せ場だ。まずは走行中の車両から本物の荷物カーゴを落とすカットで、線路脇に立つ鉄塔が迫り来る中、1発OK。次は、同じく走行中でドアが開いた状態の貨物車の中での敵エージェントとの格闘シーンだ。もちろん、安全のために竹内はワイヤーを装着しているが、全身がドアの外に出るくだりもあり、スタッフ全員が息をのむ中、激しくぶつかったドアのガラスがその衝撃で割れるという大熱演となった。羽住監督が顔合わせの時に竹内に出した、「アクションは吹き替えなしで全編撮りたい」という宿題への見事なアンサーとなった。
 さらにそこに、広大なヌ・ボヤナスタジオでのセット撮影も加わる。敷地内には、欧米からアジア、中東まで対応できるオープンセットが組まれていて、本作ではインドとキューバのシーンに活用された。セットでの山場は、藤原に託された。鷹野とキムの格闘シーンで、巨大なステージの中に、50階建て高層ビルの天窓の上という設定の傾斜したセットと、その天窓の縁を切り取ったセットの2つが建て込まれた。藤原はその縁にぶら下がった状態から腕と腹筋の力だけで逆上がりのように全身を振り上げるという一流アスリート級の技を、半年に及ぶトレーニングで作り上げた肉体で披露した。  約10mの高さの陸橋から2人で飛び降りるワイヤーアクションや、藤原、竹内の共闘によるアメージングな見せ場も、想定をはるかに超える大迫力のシーンとなった。  普段ならカメラが入れない場所にも、様々な幸運が重なって招き入れられた。鷹野と田岡、AYAKOにキムの思惑が絡み合うウィーンでのパーティーのシーンは、創立130年を超えるブルガリアで最古のソフィア大学で撮影された。勝野洋扮する小田部教授がキムと手を結ぶシーンには、バルカン半島で最も美しいと称えられるアレクサンドル・ネフスキー大聖堂が使用された。こちらは、エンターテイメント作品への撮影許可は史上初だという。
 藤原と竹内の“バディ感”は実にナチュラルに築かれていったと、プロデューサー陣が証言する。ウィーンでのパーティーシーンが、初日のファーストカットだったのだが、初共演にもかかわらず、呼吸も間もぴったりの鷹野と田岡がそこにいた。本番の合間には、本当の兄弟のようにつかず離れずのさりげない距離感で、時には少年同士のように楽しそうに談笑する姿も見られた。
 ブルガリアロケの間は、親睦を深める時間もたっぷりとあり、“座長”の藤原が率先して、皆を食事へと連れ出した。また、日本で各々こなしていたトレーニングを、ホテルの地下の小さなジムや、市内の大きなジムなどで、市原も交えた3人で共に続けたという。韓国チーム、現地スタッフとも交流を深め、特にキム役のヨハンは藤原を「兄貴」と慕い、劇中の因縁の関係に深みを与えた。
 4月に日本へ帰ってからは8月中旬まで、国内でもあちこちへ飛び回っての撮影となった。佐藤浩市が扮する風間のアジトは、軽井沢にある個人の別荘をお借りした。表通りからは奥まった一角にあり、秘密基地の雰囲気を醸し出すことができた。
 「森は知っている」のパートの少年・鷹野が暮らす島の撮影は、三重県鳥羽市の答志島で行われた。少年・鷹野と詩織のバイクの2人乗りという甘酸っぱいシーンを撮るために、景色がよくて、夕陽が見えるポイントがあるというのも条件だった。
 こうして完成した映画は、これまでの日本映画の域を完全に超えたエンターテイメント超大作でありながら、主人公たちの内面を掘り下げるドラマ要素も存分に味わえる作品となった。幅広い世代に満足していただける傑作がここに誕生した!
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