車を使った現金強奪で再度収監されていたが、スクワッドへの参加を理由に再び自由を勝ち取った“悪カワ”。見た目もカラフル、生意気で陽気で猟奇的。ダイナミックな動きは未だ健在、いつでも繰り出す準備ができている。目立ちたがり屋の行動はアマンダ・ウォラーを困らせている。トレードマークの女性らしいスタイルで突き進むが、邪魔する者を手荒く扱うこともいとわない。

マーゴット・ロビーはこう語る。「ハーレイを演じるのが大好き。いつも混沌を引き起こすきっかけになる彼女を演じることに、今後も飽きることはないと思う。さまざまな監督がこのキャラクターを描く際、それぞれがハーレイの性格の異なる部分に興味を惹かれるんだと思う。そのおかげで私はハーレイをさまざまな視点から探ることができる」。

ガン監督について、ロビーはこう語る。「ジェームズがコミック本のファンなのは明らかだった。脚本を読んだとき、原作を愛する人がハーレイを書いていると感じたし、コミックファン向けの描写を取り入れるのを楽しんでいると感じた。監督のユーモアは奇妙で具体的で、ハーレイはもちろん、すべてのキャラクターにぴったりだった。そのなかには心温まる描写もあるし、各キャラクターにはそれぞれが輝く瞬間が与えられる。明確なビジョンをもったジェームズによって、この映画が極めて大きな規模になることはわかっていたけど、実際そうなった。彼はその一風変わった雰囲気を、映画らしい壮大なかたちで表現することができる。ジェームズ・ガンの映画にはある特殊な雰囲気があると思う。それは脚本のなかでもはっきりと見て取れたし、セットでも明らかだった。この映画を観るとき、観客は度肝を抜かれると思う。楽しくて、面白くて、奇妙で、常軌を逸している大作。音楽もすばらしく、感情を揺さぶられるわ。本当にすごい映画体験になっていると思う」。

「マーゴットは本当に何でもこなしてしまう」と、ガン監督は言う。「最終的にお気に入りのシーンのひとつとなった、あるハーレイのシーンを書いたとき、バカバカしくて面白くてハーレイ・クインらしい、そしてマーゴット・ロビーらしいシーンにする必要があると感じたんだ。マーゴットはすばらしかった。身体能力も高く、自分の体を自由自在に操ることに長けている。彼女は感情やユーモアを通して自分を表現することができるけど、アクションシーンでは体の動きを通して物語を伝えることもできる。そのおかげで私の仕事がだいぶ楽になったよ。このことがよくわかるシーンがある。そのシーンでは衣装が顔に掛かってしまっているから、観る人はスタントが演じていると思うだろう。もちろん、マーゴットのスタントパーソンは最高の仕事をしてくれた。でもそのシーンは、実はマーゴット本人が演じているんだ。本当にすばらしい」。

アクション盛んな一連のシーンのなかで繰り広げられるたくさんの動きを実際のカメラで撮影することは、ロビーにとって爽快な体験だった。とくに撮影初日におこなわれた、スタジオのバックロットにつくられた巨大ビーチで、降り注ぐ銃弾を避けながら走り回るシーンでそう感じたという。「本当に交戦地帯にいるような感覚だった」と、彼女は語る。「1970年代のベトナム戦争映画のような雰囲気があったし、私はそういう映画が大好き。爆音を聞いて、火薬の匂いを嗅いでいたら、アドレナリンが最高潮に達した。また、演技を成功させるチャンスがわずか数回しかないということにも意欲を掻き立てられた。もしCGに大きく頼った映画だったら、まったく違う経験になっていたと思う。とくにアクションやスタントなど、多くのシーンを実際にカメラで撮影できたことが本当にありがたかった」。

ガン監督は、ハーレイの大ファンたちはリアルなアクションに加え、トレードマークの赤と黒の衣装を求めていると理解していた。そしてロビーと衣装のマコフスキーが取り組んだ結果、それはスペード型のデザインとして実現された。失恋を乗り越えたハーレイ・クインは戦う準備万端なため、見た目もその雰囲気を反映する必要があった。マコフスキーはロビーにぴったりめのズボン、ブラ風のベスト、ボレロスタイルの革ジャケットの衣装を用意した。革ジャケットの背中には、ガン監督が考案したハーレイにぴったりのモットー“道化のように短く生きる”という言葉が書かれている。

ワックスデニムと革でつくられたハーレイの衣装は、ひとつひとつオーダーメイドで染色された。コミック本に忠実にデザインされたゴーグルも装着している。マコフスキーはこう語る。「ジェームズにまず言われたのは、『コミックのハーレイの見た目をつくりたい。ハーレイファンが望む赤と黒の衣装で、髪の毛も赤と黒がいいと思う。今回ハーレイは戦いに臨むので、短パンはやめてほしい』ということだった。だから戦闘向きの硬派な衣装にした。たくさんのコミック本を参考にし、自分たちなりの表現を探っていったりもした。マーゴットが演じるハーレイが進化したとわかるように、何か新しいものをつくり出すのはとても楽しかった。この映画のハーレイは大胆不敵だ」。

物語もクインの衣装に変化を求めたが、ガン監督は、きらびやかな赤のイブニングドレスだけではなく、アクションシーンを通してハーレイの衣装が進化していくことを強く望んでいた。そこでマコフスキーは、自身が「オートクチュールとキンセアニェーラドレスを組み合わせた」と表現する優美な衣装をつくり上げた。ハーレイの苦悩のさまざまな段階を表すため、数カ月を要してつくられた15着のドレスのデザインは、非対称のプリーツ状の網細工、スパンコールやスワロフスキークリスタルに加え、フリルで南アメリカっぽいフレアが施されている。

完成まで2時間以上かかったロビーのヘアとメイクも、昔ながらのハーレイの見た目を反映している。メイクを担当したスラスドーターは、60年代っぽいアイライナーを鮮やかな赤い口紅と合わせて使った。ヘアを担当したトンプソンも同様に、ロビーの髪の毛を分けて漆黒と鮮血の赤色にした。シーンによっては、鮮やかな赤色を保ちつつ、ロビーの白く透明感のあるベースメイクの色と対立しないようにすることが課題だったという。それでもトンプソンは試行錯誤を重ね、カーペットの染料と下塗り剤を組み合わせることで滲みが抑えられることを発見した。もとの名をハーリーン・クインゼルというハーレイにはいまだに多くのタトゥーがあるが、唯一ガン監督がなくしてほしいとお願いしたのは、顎のラインにある“腐敗した”という言葉だった。

最終的に映画のなかで描かれるのは、どんな状況にも対応でき、さまざまな武器を繰り出すハーレイだ。彼女がまず選ぶ武器はというと、もちろんロケットランチャーである。ハーレイのためだけにデザインされたこの武器は、携帯対戦車グレネードランチャーの現代版だ。水中のアクションシーンを可能にするため軽量版もつくられ、武器の動作は特殊効果チームと煙火チームが手助けをしている。

その名の通り、世界有数の射撃の名手で、残虐行為に長けている“武器オタク”。手そのものや手で操るもの、すべてが凶器だ。生後すぐに傭兵である父親に訓練されたこの常習犯には、ひとつだけ弱点がある。もちろん、アマンダ・ウォラーはその弱点を使って、スクワッドへの参加を説得(というより恐喝)するのだった。

演じるイドリス・エルバはブラッドスポートについてこう語る。「彼はDC世界の奥底に生きるキャラクターだ。非常に過酷な軍隊での経歴があり、技術にも長けている。性格は気難しく、一緒にいるのが苦痛だと感じる相手だ。彼はいつも不機嫌だね。長年、刑務所に収監され、社会体制を嫌っている。それにスーパーマンも大嫌いで、そもそも彼が収監された理由はスーパーマンをICU送りにしたからなんだ」。

演じる役に対する意見とはまったく異なり、エルバは監督にこんな思いを抱いたという。「ジェームズのことが大好きなんだ。この役をもらって本当に嬉しかった。会いに来てくれたとき、監督が興奮しているのがわかった。その瞬間、彼の情熱に心動かされたよ。監督が仕事をする様子を見ていてとても楽しかった。まさに職人技だね」。「昔からイドリスのファンだったんだ」と、ガン監督は言う。「最初は彼にどの役を演じてもらうか決めていなかったけど、彼にはブラッドスポートを演じてほしいと思ったんだ」。

ブラッドスポートを描くのはアーティストにとって夢のような仕事かもしれない。しかし、彼をリアルな人間につくり上げるのは大変なことだった。とくに難しかったのは、スーツに武器を組み込むこと。彼は意のままに変身し、常に戦いへの準備ができている究極の兵士なのだ。「彼のスーパースーツは別次元のものだ」と、エルバは言う。「戦争において究極のスーツで、本作ではブラッドスポートがそれを駆使して戦う様子が見られるけど、刺激的だよ。このスーツはあらゆるものに変身するから、観る人はとても気に入ると思う。腕や足から飛び出し、手のなかで変身するものを携えて走り回るのは、本当に楽しかった。とてもかっこいいスーツだよ」。

衣装デザインを終えてから、マコフスキーは特殊効果制作スタジオのレガシー・エフェクツと緊密に取り組み、3D印刷物をつくっていった。そして実物の衣装をつくり終えると、衣装チームはレガシー・エフェクツや小道具部門と取り組み、完成形の衣装やそれに付随する武器がお互いに自然に見えるように調整していった。この過程はデザインから試作品まで通常4カ月かかるところ、今回は時間が限られていたため6週間で仕上げたという。マコフスキーはブラッドスポートのためにいくつかの色合いを試し、最も驚異的な見た目に仕上げていった。赤や黒などを試し、最終的に決まった色は、銅を施した非常に濃い青となっている。

彼が身につけるスーツには無数の武器がついており、各武器を自由自在に繰り出すということを考慮したとき、ブラッドスポートの武器をどんなものにするか見極めるのには神業が必要だった。また、彼は鉄環そして連接棍棒に変身するスリングショットをもち歩いている。可能性は無限大なのだ。

マコフスキーはこう語る。「ブラッドスポートの多くのデザインは、アクションに基づいてつくった。衣装はCGの衣装ではなく実際の衣服にすることに、ジェームズは強いこだわりをもっていた。衣装から何が出てくるか、それがどんなものなのかを考え出さなくてはいけなかったため、大変だった。衣装をつくり始めたときは、まだデザインがされていない武器もあったので、みんなと一緒に取り組んで衣装をつくり上げていった。衣装の硬い部分をつくってくれたレガシー・エフェクツのメンバーとともにコンピュータの前に座って、小道具部門の武器デザインに基づき、最終的に銃になる部品をデザインし、武器の形や内容や動作を決めていった。ジェームズはアクションに強いこだわりがあり、この銃は体のこの部分が出てくるなどの考えがあったため、全部門と緊密に取り組む以外、衣装を完成させる方法はなかった。等身大のマネキンや全パーツを含むイドリスの原画などを見て、銃を付ける位置などを決めていった。部位を移動したり、アームの動きを変えたり、武器の振付けもすべて決めていったの」と彼女は振り返る。

「ベースにはいわゆるスーパーヒーローのスーツがあった」と、彼女は加える。「そこからすべてのアクションの動きを踏まえて考慮していった。最終的に映画のなかで見られるのは、肩の部品が外れて戦棍に変わる仕様なの。2つの胸の部品は、ブラッドスポートが取り外すと銃に変わる。銃は銃身に変わるベルトの部位につけることができる。また、サイレンサーも同じような動作をする。さまざまな足の部位からいくつかの部品を取り、組み立てると、新たな武器になる。背中には小さな剣が備え付けてあり、取り外すと大きな剣に変わるし、足には加速器がついている。彼の衣装には本当にたくさんのものがついている!」と、彼女は笑う。

各部位のすべてを把握しておくことが大変だと感じたのはマコフスキーだけではなかった。「とても複雑な仕様だったので、衣装チームにとっては、撮影した映像がつながるように準備するのが大変だった。彼らはすべてを把握しておく必要があったのよ。たとえば、『今、銃を手にもっている。銃を手にもっているということは、その部位は衣装から外れているはずなので、その部位を衣装から外すのを忘れないように』などと考えていく必要があった。シーンのなかで彼に起こったことをすべて記録するたくさんのチャートを用意した。それにはヘルメットも含まれていたけど、ヘルメットは手に取ると小さな部位に変身し、ベルトにくっつけられるようになる。磁石でくっついているので、すぐに装脱着ができるようになっていた」。

全身が兵器であるということもあり、タスク・フォースXのなかでも本質的に最も残忍なひとりであるブラッドスポートだが、彼にも弱みを見せる瞬間がある。彼の弱みはストーム・リード演じる娘タイラの幸せであり、その弱みを利用され、ウォラーのミッションに参加することになる。また、ジョン・シナ演じるピースメイカーとのふたり組の面白さにも彼は寄与している。「ブラッドスポートとピースメイカーは、みんなを率いるリーダーの地位を争っている。ふたりの見せる多少のライバル心がとても面白くて、何度か違うシーンで演じているよ」と、エルバは語る。「それらはこの映画でいちばん気に入っているシーンのひとつ。ふたりは狂気じみたことをしながら、お互いを出し抜こうとしている。それがどんどん飛躍していって、ひどいことになるんだ。今まで映画のなかで見たことのないような無駄な男気を見せつける争いになっているし、それが面白いんだ」。

筋肉の上にさらに筋肉がついたかのような大きな体躯をもつ“筋肉野郎”。スクワッド仲間のブラッドスポート同様、世界有数の射撃の名手。彼によるとピースメイカーのほうが腕は良いという。戦うことも殺すこともいとわず、戦争すら喜んで始めるが、もちろん彼の大義名分は常に平和を保つことだ。彼にとって、自由のための行動と代償に是非善悪などないのだ。

この死もいとわぬアメリカ人の役を演じたジョン・シナはこう語る。「脚本を一気に読み終えた。アクション満載でひねった筋書きに魅了されたよ。ジェームズは、脚本家としても監督としてもすごい才能の持ち主だ。むごい表現の命は細部に宿ると彼は考えていて、その感覚を物語全体に活かしている。その細かさと言ったら、『頭蓋骨に斧を振り下ろすシーンは、こんな感じで血が飛び散ったほうがいい』というところまで考えているんだ」。

役作りでは、監督の知識の深さを信頼することで、目の前の演技に集中できたとシナは言う。「監督のキャラクター観を壊すような情報を真に受けたり、違う視点で演じたりしたら、逆効果になると思った。監督とは率直に話し合い、自分にできることを全部伝えたよ。僕は彼が望むキャラクターを演じたいと思った。チェスの駒を動かすのは監督だし、僕は駒のひとつに過ぎないからね」。

それでも監督とシナはピースメイカーの役について、彼の経歴や倫理基準など広範囲にわたって話し合った。そして撮影初日、事前情報をいったんすべて忘れてもらうために、監督はシナに最後のアドバイスを与えた。「ビーチのシーンでの3回目のテストのときに、ジェームズにこう言われたんだ。『子どもを撃つような軽蔑すべきキャプテン・アメリカになれ』とね。この役をうまく表現した言葉だった」。

本作で彼が演じるのは極端に無口なキャラクターだが、「ジョン・シナは、僕が今まで仕事をしたなかでも最高にアドリブが上手い俳優だよ」と、ガン監督は言う。「ぶっつけ本番でも面白い。フリースタイルでラップもできるすごいラッパーだよ。とても面白い即興コメディアンなんだ。ただ、僕はあまり即興演技を採用しないけどね」と、笑いながら語った。「でも彼のアドリブは、とにかく面白かった」。

ブラッドスポートとは違い、ピースメイカーは衣装から武器を取り出すことはない。だが彼は、ほとんどのものを即座に致死的な発射物に変えることができる。本作でのシナの衣装はコミック本の容姿を反映したもので、映画のためにスタイリッシュな変化を加えたものではない。彼が身にまとうのはアメリカの国旗の色で、衣装とヘルメットには平和の象徴である鳩のエンブレムが施されている。映画のなかで嫌味な批評もいくつか飛び出す注目のヘルメットは、反射する見た目を求めるガン監督の希望通り、クロムめっき塗装にされた。

衣装のマコフスキーはこう言う。「いちばん難しかったのは、もちろん、ピースメイカーだった。ピースメイカーはコミックに忠実な役。それを衣装で伝えなくてはならないと考えたとき、間抜けに見えないかと怖かった。でも、ジョン・シナが見事に着こなしてくれたから、万事うまくいった」。

「ヘルメットもとてもバカバカしい見た目で常識外れだった。コミックではさまざまな描き方がされていて、大きすぎるのも奇妙な形なのもあった。だから、『頭に便器を被っている』というセリフが生まれた」と、マコフスキーは続ける。「愚かだけど、愚か過ぎないものをデザインするのはとても難しかった。そのうえ、ジェームズはさまざまなものを反射するクロムめっき製を望んでいた。ジェームズはあらゆるシーンで反射を使いたいと思っていて、各ショットで反射をどう使うか計画を立てていた。だから毎回、指紋をきれいにふき取って反射を保つ必要があった。面白いことにつけ心地はとても良かったみたいで、ジョンはいつでもそのヘルメットを被りたがったし、実際いつも被っていた。とても気に入ってくれた」。

「ピースメイカーの衣装は、彼がどれほど嫌なやつかを象徴しているんだ」と、シナは言う。「秘密作戦の遂行なら、イドリス演じるブラッドスポートみたいな服装にするべきだ。見つからないように、背景に混ざる色を着る方がいいだろう。だが、ピースメイカーには自己顕示欲がある。でもそこには、何かを償いたいという隠れた心理的な背景があるようにも感じるね」。

スクワッドの仲間同様、ピースメイカーもある時点で非常に異なる衣装を着ることになるのだが、それがすばらしいコメディ効果を醸し出している。マコフスキーは、この筋肉もりもりの俳優に少年サイズの衣装、つまり腹部がむき出しになる小さめのラコステのシャツに、デニムの半ズボン、そしてダサい白のスニーカーを着させた。

ピースメイカーの主要な武器は、大きなクロム製のピストルである。それは、実際に使えるピストルに小道具を付け加えてつくられた。グリップ部分も改造され、鳩のエンブレムが彫られている。また、刀剣と戦斧も携えているが、すべてに彼の平和のロゴが焼き印されている。

進行中の任務で危険にさらされ続けるエリート軍人“七三分けリーダー”。アマンダ・ウォラーに気に入られ、ミッション完了に導くため、できるだけ多くのメンバーの素行を正し、スクワッドを管理するために戻ってきた。人生をアメリカ合衆国に捧げ、政府のために幾度も命を懸けてきた、整った顔立ちの筋金入りの軍人を、ジョエル・キナマンが再演。不愛想なスクワッドのなかで唯一理性的な人物であり、メンバーを破壊行為よりも任務に集中させることができるのも彼だけである。

多くのスタントが必要となるこの役を演じるため、キナマンはすでに厳しいトレーニング計画をさらに増やした。「ある戦闘シーンのために身体を少し大きくしたかったんだ。最初は40ポンド(約18キロ)増量した。でもぜい肉がついてしまって」と、彼は笑いながら語る。「だから脂肪を落とす必要があった。最終的には、15〜20ポンド(約6~9キロ)くらい増えた体重に落とし込んだ」。

フラッグはガン監督の仕事の仕方を高く評価する。キナマンはこう語る。「ジェームズはセットに刺激的で友好的なムードをもたらし、現場の雰囲気を活気づけてくれた。彼は準備万端で撮影に臨んでいて、誰もが自分のやるべきことをしっかり把握していた。すべてがうまく機能していたし、スタッフ全員が自分の作業を任されているから、スムーズに仕事をこなせる。とても壮大な映画なのに、親密感があったんだ」。

ガン監督はフラッグの軍服をスクワッドたちの見た目とは反して、できる限り現実に根差したものにしたいと考えた。そこで衣装のマコフスキーは、野戦服スタイルの衣装を考案した。「ジェームズは、完璧な海軍特殊部隊か、少なくとも本物の軍服のように見えるものを望んでいた」と、マコフスキーは語る。「だから衣装は本物の軍服だけど、目新しい黒い迷彩服にした。つくりものの部分は一切ない衣装」。

だが、変装時の外見は軍人とはかけ離れている。彼が着るのは、ぴったりしたカウボーイスタイルのジーンズに、先のとがったカウボーイブーツとハット。極めつけは、ガン監督自身のデザインによるウサギのイラストを胸元にあしらった黄色いTシャツである。「コミック本へのオマージュ」と、マコフスキーは断言する。「彼はウサギの絵柄のない黄色いTシャツを着ている。また、ショルダーホルスターもつけているから、それも身につけてもらった」。「そのTシャツとホルスターがリック・フラッグの典型的なイメージだし、この映画でもその見た目を望んでいた。ジェームズと衣装のジュディアナはそれを準備していたし、そこにひねりを加えてくれたんだ」と、キナマンは満面の笑みを見せた。

悪魔のようにハンサムで無鉄砲。使う武器の名のごとく、死と隣合わせのミッションに舞い戻ってきた“クズ野郎”。選ばれた理由は、変わらぬ悪行の数々、そしてアマンダ・ウォラーが使い捨ての駒を必要としていたためだ。

ピカッと光る金の前歯とトレードマークのドヤ顔が印象的なブーメランを、ジェイ・コートニーが再演する。「変わらないことがこのキャラクターの魅力のひとつなんだ。どんなときも、彼は他人とはうまくやれないね」と、コートニーは言う。「ジェームズはそこが気に入っていたし、変える必要はないと思っていた。だからブーメランは変わらない。一緒に行動する犯罪者たちが増えただけなんだ」。スクワッドの大きさが、自然にキャストの人数にも反映した。コートニーはこう言う。「この映画の撮影は楽しかったよ。観客も同様に楽しんでくれるはずだ」。

ブーメランは、再登場するキャラクターのひとり。ガン監督はやり過ぎず、キャラクターの本質は残したままで、ブーメランの容姿を以前の作品よりもハイテクにしたいと考えた。そこで、衣装のマコフスキーは古くて薄汚いコートをやめ、新しいハイテクバージョンのコートを選んだ。斜めがけのストラップには、ブーメランを装着することができる。また、キャラクターのド派手な性格とは裏腹に、衣装は落ち着いた灰色と青色にした。

「ブーメランは再登場するキャラだけど、ジェームズはもっとハイテクな容姿を望んでいた」と、マコフスキーは語る。「でも、このキャラクターの本質は残しておきたかっ。だから彼は大きなコートを着ているけど、今回はそれがハイテクのコートになっている。コミック本でも、斜めがけのストラップにブーメランを装着している。小道具部門と取り組み、衣装と小道具をデザインしていったけれど、彼のブーメランもさらに進化させたの」。

アップグレードされた衣装同様、ブーメランも、光を放ち、燃えるように熱くなる変更が加えられ、人間の骨身を切り裂くことができるようになった。小道具部門は、形は一般的だが、動きを捉えるセンサーを搭載したホルダー付きのブーメランを制作した。そののち視覚効果チームが、相互に作用するライトを含め、本作に登場する新型ブーメランへと進化させている。

天才科学者で、はげ頭からはさまざまな機械が飛び出している“サイリウム頭”。科学的実験を限界まで突き詰めることを人生の目的としているが、それが人類に及ぼす影響については考えていない。自身の最新の極秘プロジェクトは長年ひた隠しにしている。それに身を捧げているが、ときに仕事で最悪なほど面倒くさい事態に陥る。

キャラクターの仕事ぶりとは異なり、ピーター・キャパルディはこの役を演じ、本作に参加できることを大いに楽しんだ。「本当に魅力的な組み合わせだよ。最高のキャスト、すばらしい物語、そして僕が演じるのは邪悪な天才で、悪意にあふれた天才研究室まで揃っている。断れるわけがない」。

キャパルディは、このキャラクターについてできるだけ深く探るため、リサーチに身を投じた。「要点をつかむために、『スーサイド・スクワッド』のコミック全巻を読破したよ。シンカーは謎めいた人物だ。だからこの役をオファーされてから、すぐに調べ始めた。こう言うと、本屋でカビ臭くて古いコミック本を探し回ったように思うかもしれないけど、そうではなくて、昔のシンカーの絵や切り抜きを誰かがインターネットに上げていないか検索した。かなりの数を見つけ出したよ。彼はいろいろなコミック本に登場する。同じユニバースのものだけじゃないんだ。でも決して大物のキャラクターではない。スーパーマンやバットマンと対戦したことは一度もない」。

「ピーター・キャパルディは最高だよ」と、製作のサフランは言う。「僕たちは全員、TVの『ドクター・フー』シリーズ以来、彼の大ファン。それに、英国の優れた政治風刺ドラマ『官僚天国!~今日もツジツマ合わせマス~』も面白かった。最低の言葉遣いの不埒な人間を演じていたが、痛快だった。この映画に彼を迎えられて、みんなで大喜びしたよ」。

シンカーの頭蓋骨はこのキャラクターの容姿の中心であり、機能的な部位でもあるため、制作陣は、ほかに目が行くような衣装は避けたいと思っていた。衣装のマコフスキーはこう言う。「シンカーの面白いところは、いろいろな表現ができるところ。ジェームズは、彼の頭の部位すべてが十分奇抜だから、それ以上は必要ないと考えていた。コミックからひとつだけ拾ったのは、よく着ているつなぎの囚人服。本作では、そのコミックの描写へのオマージュとして、濃い青のつなぎに白衣を着てもらった。脚本には、頭にいろいろついている科学者とだけ書かれていた。だから私たちは彼の服を考案した」。

ヘアメイクには2時間半を要し、彼の頭に機械仕掛けの突起をクモの巣状につけていった。そのため、まずキャパルディの頭蓋骨の型取りをおこない、その型をロンドンからカリフォルニア州にあるレガシー・エフェクツに送った。そこで成型された型はテストを繰り返し受けて完成され、おかげで撮影時、キャパルディは見事に変身することができたのである。変身手順は、フォームラテックスのボールドキャップを伸ばしながら頭に被せ、糊付けする。次に、点火プラグとアンプをネジ止めできるようにつくられたグラスファイバー製のスカルキャップを被せる。それぞれのプラグとアンプには小さなバッテリーがついており、光を放つことができる。最後に手書きでキャップ全体を仕上げていくのである。

「ある段階に来ると、彼は人工的な方法で、すでにかなりの思考能力をもつ頭脳をさらにパワーアップさせるんだ。彼の頭の上のアンプとバルブをとおして、拡張度がわかる」と、キャパルディは説明する。「まるで、ビートルズの古いアンプの裏側を見ているみたいだよ」。

ひどく落ち込んだ見た目で、虹色の吹き出物のようなボディースーツを身にまとう“水玉の陰キャ”。心のなかでは男同士でプロムパーティーに行くニキビだらけのティーンエージャーのような羞恥心を抱えている。しかし致死的な異次元の水玉模様を体から放つことで、最も戦いに長けた犯罪者ですらスイスチーズに変えてしまう。

コミック本とサイエンスフィクションの熱烈なファンだと自称するデヴィッド・ダストマルチャンが、この役を演じ、不可解さに拍車をかける。「ポルカドットマンのリサーチは難しかった。彼はDCユニバースの端っこで生きているキャラクターなんだ。彼を探求する自由がたくさんあるという点ではすばらしい。でも、過去に彼のことを創作し、描いてきた人たちの精神に忠実な演技をめざしたとき、それは同時に挑戦でもあった。コミック本の読者にとってのポルカドットマンと、『レゴ®バットマン ザ・ムービー』のような映画や漫画で見ている人たちにとってのポルカドットマンが存在するが、ガン監督はそのふたつのバランスを見事にとっている。コミック本神話の神様みたいな存在であるこのキャラクターを演じることに興奮を覚えたよ。この映画で起こることは、今まで誰も見たことのない新しいポルカドットマンでもあるんだ」。

スクワッド仲間の大半とは異なり、ポルカドットマンにはこの任務で生き残る気はあまりないように見える。「物語が始まったとき、彼はベルレーブ刑務所のなかで絶望に浸っている」と、ダストマルチャンは語る。「彼には友達がいないし、時が過ぎるのをただ待っているだけなんだ」。

衣装のマコフスキーはこう告白する。「脚本を初めて読んだとき、ポルカドットマンをどうしようと思った。どうしたらポルカドットマンが愚かに見えすぎないか、そればかりを考えていた。きっと数週間はかかるだろうと思っていたのだけど、最初のスケッチを見たジェームズと製作のピーター・サフランが『これこそポルカドットマンだ!』と言ってくれたので、すぐ決まった。彼の衣装はとても難しくなると思ったけれど、ジェームズがはっきりと希望を説明してくれたから、私もイラストレーターもピンときた」。

マコフスキーはダストマルチャンのために、ビンテージとポストモダンを融合させた衣装を考案した。飛行服に似ていて、カラフルなカスタムメイドのラテックス製の水玉模様で覆われている衣装だ。水玉模様は白い背景のなかで少し透けて見え、物語の重要な場面では視覚効果チームの手によってそれが助長された。また、このキャラクターの心理的抑圧を表現するため、マコフスキーは切替部分に革を用い、肩が前かがみに見えるように縫うことで、彼の姿勢悪さを強調した。最後に、カスタムデザインの第二次世界大戦風のパイロット用ゴーグルを加えている。

ダストマルチャンはこのキャラクターのために、メイク用の椅子に数時間座る必要があった。特殊メイクチームが、ワイヤーにつなげたLEDライトを袋に内蔵し、その上からラテックスを貼り付けていった。ワイヤーは衣装の下に張り巡らされ、衣装のなかに隠された制御装置につながっている。この実用的な効果のおかげで、彼はアクションの大部分を自分で演じられるようになった。

ダストマルチャンはそれを大いに気に入り、「ゴージャスな衣装だったよ」と語る。「僕は人生の大半でコミック本を読み、収集してきた男なんだ。幸運にも、映画とTVの両方で、これまでにいくつかのすばらしいスーパーヒーローの物語に出演してきた。でも今回のようにスーパーヒーローの衣装を着たのは人生で初めてだ。それに、才能あふれる衣装部門の人たちや、デザイナーや特殊メイクチーム、それに監督まで一緒にいてくれるなかで鏡の前に立ったのも初めての経験だった。本当に感動したよ。すばらしい瞬間だった」。

もちろん、ポルカドットマンの武器でもある彼のスーパーパワーは、天の恵みというよりも災いと言ったほうがいいだろう。彼の内部で生成された死の水玉が手首に装着したガントレットから発射される。それらは敵を溶かすことができるが、実は彼自身にも苦痛をもたらすのだ。

うたた寝をしていないときは、キュートな相棒ネズミのセバスチャンといつも寄り添っているミレニアル世代の“イマドキ女子”。知識のすべてを父親から教わった。動物の友達は数多くいるが、セバスチャンがいちばん大切な親友。即席でつくった粗悪な電気の棒を振ると、彼は木の容器から出てきて彼女の手助けをする。

ラットキャッチャー2はコミック本には登場しない。ラットキャッチャーというキャラクターを基に発展させた新キャラクターで、ダニエラ・メルシオールが演じている。「ラットキャッチャー2はひどく怠け者の若い女の子」と、メルシオールは説明する。「起きて何かをするなんて面倒。刑務所にもいたくないけど、いるしかない。でも善良な心の持ち主で、スクワッドのメンバーを友達として認識し始める」。

ガン監督は、ラットキャッチャー2の衣装を、コミック本に登場する父親のいで立ちに似せつつ、彼女自身の柔らかさと強さの両方も示したいと考えた。マコフスキーは抑えた単色使いの衣装デザインを考案し、油布に似た生地を用いた。それにより、薄汚い印象を与え、ノミだらけの毛に覆われたネズミの友人達のように、彼女が路上で生活していることを暗示している。さらに、ダークブラウンの色調で、このキャラクターの内面から滲み出る悲しみを表現した。ガスマスクは、コミック本のラットキャッチャーがつけているものとは少し異なるが、似せた部分もある。マコフスキーはチューブをなくし、ガスマスクに近代的な解釈を加えてデザインし直している。

 「ラットキャッチャー2の衣装は、私のお気に入りのひとつ」と、マコフスキーは認める。「細かい部分も、すべてのベルトも特別にデザインされたもの。もちろん、衣装につける本物のネズミ用のポケットをデザインしたのも楽しかった」。メルシオールは、試行錯誤の末、特に一匹のネズミを可愛がった。「お気に入りの一匹がいた」と、彼女は打ち明ける。「実名はスクイーキーといって、とてもお行儀がよくて、社交的で、抱っこが大好きな子。撮影初日に、ネズミの一匹が私の肩に糞をした。カメラは回り続けたし、それは仕方ないこと。でも結局、そのネズミじゃないほうがいいと思ったから、ネズミを交換してもらうように頼んだ。そのとき、スクイーキーがネズミのなかで最高だと気づいたから、それからはずっと彼女を使った」。

マコフスキーはこう言う。「セバスチャンを演じるネズミたちはとても可愛らしかったけど、ネズミの起用には難しさもあった。正直なところ、衣装部門にとってこの映画で最大の挑戦のひとつは、ネズミが脱いでしまわないような衣装をデザインすることだった。ネズミの肩は脱臼するから、何でもすり抜けられる。だから、いろいろな案を考え、新しい衣装を試し続けた。あるとき、ロサンゼルスで最新の衣装を試したビデオを受け取った。それを見ながら、『衣装から抜け出そうとしている。やれそうだわ』と思った。その子は後ろに下がり続け、頭と腕をくねらせながら、抜け出すことに成功した」と、マコフスキーは笑う。

「ある時点では、CGの衣装に頼るしかないと、正直思っていた。上手くいくものをつくれそうにないと感じた。でもネズミの調教師から多くのアドバイスをもらい、最終的にネズミを傷つけないような何かが首のまわりにあればいいことがわかった。そうすることで、ネズミは頭をくねらせて抜け出すことができなくなるのよ」と、マコフスキーは微笑んだ。ラットキャッチャー2が普段の服装を捨て、変装するときは、おそらくもっと人目を引くことだろう。可愛らしくシンプルなサマードレスに、スニーカー、そして星形のサングラスという、いつものパンクスタイルとは正反対の衣装なのだ。

このキャラクターの武器は、その名が示すとおり、ネズミである。本物と本物そっくりのネズミの両方がセットで使われた。後者は、レガシー・エフェクツによって制作され、本物のネズミではあまりに危険すぎるシーンで代役を務めた。

武器使いや接近戦の達人。筋肉質で、ヨレヨレのロングストレートの“白髪の老獪”。スクワッドへの参加を打診されたが、ほかの囚人同様、乗り気ではなかった。しかし、ベルレーブ刑務所の退屈さの極みを抜け出すためには何でもする。

ガン監督が彼のために特別に書き下ろしたこの役は、盟友マイケル・ルーカーが演じている。「サバントは接近戦の達人なんだ。私はずっと合気道と柔道をやってきた。それにライフル、ピストル、ナイフ、斧で、目視しなくてもターゲットに当てることができる。目を閉じていても、ターゲットのある場所が感覚でわかる。脳が速度と位置に順応するんだ。サバントも同じようなことができる。監督は私の能力を使ってシーンを書いた。そのシーンでサバントは、ゴムボールを見ることなく弾ませて正確にターゲットに当てるよ」。そのシーンは、ベルレーブ刑務所でのサバントの生活を見事に物語っている。「この男は死ぬほど退屈している。だから、刑務所から出るためだけに、スクワッドの仕事を引き受けると決める」。

サバントは強く、寡黙なタイプで、たとえ武器がゴムボールであっても強力な力を発揮する。コミック本に描かれた赤と黒のコスチュームはそのまま映画にも登場するが、このキャラクターは非常に多くの時間を水中で過ごすため、最も複雑な衣装デザインのひとつとなった。泳ぎに対する十分な耐久性を保ちつつ、ビジュアルとしても印象的な衣装にするため、衣装開発は複数の段階を経ておこなわれた。

「コミックから用いる衣装はシンプルだけど、実際はそれほどシンプルではない」と、マコフスキーは語る。「サバントの衣装は、いちばん難しい衣装のひとつだった。コミック本ではレオタードみたいに見えるし、このキャラクターにはふさわしくない。それに彼は水中にいる時間が長いから、機能的な複雑さもあった」。サバントの髪は肩の下まで垂れ下がり、このキャラクターの容姿の大部分を占めている。理想的な灰白色を達成するため、複数のカツラがテストされた。

ガン監督は冗談交じりにこう語る。「ハリウッドで映画をつくるために、僕は監督人生をマイケル・ルーカーに賭けているんだ。僕の映画すべてに彼を登場させるつもりだよ。この映画で、彼に灰白色の長髪のカツラを被せたのは、特に愉快だったね」。

黒いアーマーを身にまとった“悪ノリヤンキー”。強い力を用いてエネルギーシールドやエネルギーメイスを生成していた。といってもそれは、ベルレーブ刑務所に放り込まれ、アマンダ・ウォラーによってスクワッドに誘われる前のこと。

スケジュールがぶつかってしまい、衣装のマコフスキーは、撮影前にブラックガードを演じるピート・デヴィッドソンと会うことができなかった。そのため、幾分コミック本の容姿からは脱線するものの、主要デザインは残した黒と金色の衣装の大部分を想像によって制作した。ガン監督はそれを喜んだが、ブラックガードの容姿をもう少し重厚なものにしたいと考えた。デヴィッドソンにとってそれは、カスタム成形された大量の金属によって60ポンド(約27キロ)近い重さの衣装を身に着けることを意味した。

マコフスキーは当時を振り返り、こう語る。「ピート・デヴィッドソンはとてもやさしい人だった。撮影が始まる2日前まで彼と会うことができなかったので、衣装は部位にわけて制作した。各部位は彼が実際に現れるまでつなぎ合わせることができず、着てもらいながら合体させる必要があった。この映画のブラックガードは、レオタードが多いコミック本の描写とは少し違っている。でもコミック本を反映して、金属部分は生かした。ジェームズは彼の容姿をもっとリアルにしたいと考えていた。彼の衣装は、初日には完全に仕上がらなかったし、とても重くて暑かったけれど、ピートはとても潔く、やさしかった。彼に着てもらって初めて、レイヤーを少し取り除き、着やすくする方法がわかった。彼は最初の夜、ずっとそれを着て、水にも浸かっていた。おそらく60ポンド(約27キロ)はあったと思うけど、彼は不満を言うこともなく、とても楽しんでいた」。

ブラックガードは、胸当てに装着したピストルや鞭など、さまざまな実世界の武器を使いこなす。

肩幅が広く、ボディースーツとマスクを身につけている“謎キャラ”。いかにもヒーローらしい見た目にもかかわらず、その能力や名前の意味はスクワッド仲間にとっても謎のまま。彼らに聞いてみても、知らないと答えるだろう。コミックの特定のキャラクターをモデルにしていないキャラクターのひとり。ガン監督が、長年の友人ネイサン・フィリオンの起用を念頭に、面白みもある見た目のT.D.K.を考案した。

ガン監督がこう説明する。「ネイサン・フィリオンは、私の映画にほとんど毎回出演しているので、彼とは多くの仕事をしてきた。この役を彼が演じてくれることを願っていたよ。映画版のキャラクターをつくり出すとき、コミックでは知りえない声のイメージが頭のなかにあることで、とても楽しい作業になるんだ」。

フィリオンにこの役を引き受けてもらうために、ガン監督が取った方法は少々怪しい。「実はT.D.K.は“ザ・ダーク・ナイト”という意味なんだ」と、フィリオンは無表情で言い、こう続ける。「誰もがスーパーパワーや特殊能力をもつヒーローやヴィランのことを話題にするけど、T.D.K.も能力をもっているんだ。ただ僕は、その能力がどうすごいのかを知らない。スーパーパワーのリストがあったとしたら、彼のもつ能力にみんなが惹かれるとは限らない。『この能力があれば、すべての問題が解決できそうだ。便利だね!』というようにはいかないんだ。スーパーマンの弱点がクリプトナイトのように、T.D.K.の最大の弱点は自信過剰なところだと思うよ」。

T.D.K.が胸につけているのは、スカルと両腕を交差させた図柄のエンブレムだ。もちろん、この図柄はT.D.K.専用にデザインされており、彼のスーパーパワーの特性を表している。衣装のマコフスキーは、濃い青緑や黒を組み合わせた、革製のノースリーブベストとズボン、すじ状の模様がついたチェストパッド、ヘルメットという衣装をつくった。「ジェームズが色に関心が強いのはとてもいいこと。私たちは、ほどよく明るくて夜でも映えるという理想の色を探っていった」と、彼女は説明する。明確にデザインの指標となる資料はなかったが、それでもこのキャラクターがコミック本から飛び出てきたように見える必要があったとマコフスキーは語る。「何度も試行錯誤を重ねたけど、一旦ジェームズの狙いを理解できたら、がぜん面白くなった。それに、ネイサンとは本当に楽しく仕事ができた」

スクワッドの一員になるために独房監禁から解放された“キモカワ”。フワフワの毛と寄り目というルックスで、狼人間やアフガン・ハウンドのようにも見える。イタチのような動きは戦いにおいて優れた俊敏性を発揮するが、子どものベビーシッターとして彼を雇ってはいけない。

ウィーゼルの最終的なルックスはCGIの力を借りて完成されたが、その身体つきや声は、モーションキャプチャ・スーツを着たショーン・ガンが、実際に演じている。「私の映画に登場する擬人化されたクリーチャーには、通常モーションキャプチャではなくモーションリファレンスを使うことが多い」と、ガン監督は言う。「だが、このウィーゼルは、ショーン・ガンとそっくりの体型をしていた。だからシーンによっては、モーションキャプチャで彼の体や動作をとらえることにしたんだ」。役づくりをするために、ショーンはイタチの動きや鳴き声について学んだが、ジェームズとショーンの兄弟がウィーゼルに関して本当にインスピレーションを得た先は、兄弟そろって大好きな漫画「Bloom County」に登場する、舌を出してブー(THBBFT!)と言うボブ・ザ・キャットだった。

武器に関しては、ウィーゼルは銃やナイフなどをもたせても役に立たなさそうに見える。だが、あの鋭い爪と乱杭歯には近づいてはいけない。ぐりぐりの目玉の焦点を獲物に合わせるまでに多少時間がかかるかもしれないが、一旦狙いを定めたら……むしゃむしゃと食いつくぞ!

ウォーワールドの支配者モングルの娘“猪突猛進ガール”。邪悪で筋肉質、オレンジ色の皮膚を持ったエイリアンで、ほかの人とはうまくいかない。

モンガルを演じるメイリン・ンは、彼女についてこう語る。「邪悪なエイリアン。コミックで描かれる彼女は、本当に意地悪で攻撃的。強大な力をもち、彼女のことを認めない父親と強い兄がいて、彼らと張り合っている。でも、それこそが彼女の強靭さの理由だと思う。彼らと肩を並べようとしているだけじゃなく、自分の本当の姿を見せて自立するために彼らを追い抜いて打ち負かそうとしている。怖いもの知らずなとても頑固者で誰の言うことも聞かないから、誰とも仲良くなれない。この風変わりなキャラクターを楽しく演じられた」。

モンガルの身体的特徴と衣装は、コミックに登場するキャラクターに入念に合わせてつくられた。メイリン・ン自身がスーパーヒーローにふさわしい体型をしているため、衣装のマコフスキーは彼女の体型をベースとして、体にぴったりとしたバイクショーツとコルセットのようなトップスを組み合わせた濃い紫と黒の衣装をデザインした。詰め物や体型補正は一切加えておらず、ン自身のリアルな筋肉を見せつける衣装となっている。マコフスキーはこう語る。「モンガルは、コミックに忠実に基づいたキャラクターなの。彼女の奇妙な甲冑をつくるのは面白かった。そしてメイリンの見事なボディ!あれほどすばらしい素材を提示されたら、デザイナーとしてはそれを使わない手はない」。

もちろん、彼女の筋肉には大がかりなメイクが施され、鱗状の肌をしたエイリアンに変身させている。また、役に最適な肌の質感を出すために、全身に特殊メイクが施された。特殊メイクから始まり、メイクチームが彼女の肌にオレンジ色のスプレーを吹き付け、シーラントを施すまでの全工程を終えるのに4時間を要した。さらに、肌の色を引き立てるようなオレンジ色の髪を三つ編みにし、それをヘルメットから出してモヒカンのように形づくり、バイキングを想起させるようなスタイルにしている。

彼女のルックスに恐れをなして退散する敵ばかりではない。その場合は彼女の怪力と俊敏性がものを言う。さらに巧みに使いこなせる武器ももっている。モンガルの剣は、あたかも彼女がかつて古代エイリアンの神であり、地球での戦いに準備万端でやって来たとでも言うような、いにしえの異世界の戦いを彷彿とさせるようにつくられた。

髪はブロンドで筋骨たくましいハンサム(自称)。スクワッドメンバーのなかでも最もクラシックな格好である、全筋肉を見せつけるピチピチな青と黄色のボディースーツとマスクを着用している“金髪ナルシスト”。その名の通り、彼の自慢の武器は誰もが驚く超強力な投てき槍である。

ドイツ生まれの俳優フルーラ・ボルクが演じるのは、元ドイツ代表オリンピック選手のジャベリン(別名グンター・ブラウン)。ウェーブのかかったブロンドの髪をなびかせて、外見は光り輝いているが、内面は冴えわたっているというわけではない。そうは言うものの、その特徴は間違いなくハーレイ・クインを惹きつけている。

「昔からコミックが大好きなんだ」と、ボルクが言う。「今回、ジェームズはあえて目立たないキャラクターを起用した。実はジャベリンという役に決まったと聞いたとき、グーグルでジャベリンが登場するコミックを片端から探した。そうして見つけたコミック本をすべて購入して、彼についての情報を余すところなく自分のなかに取り入れた」。そのときの発見についてボルクはこう語る。「僕が演じたジャベリンは典型的な1980年代っぽさがあり、その時代から連れて来られたような雰囲気がある。これは、さまざまなDCコミックユニバースから、異なるスタイルのキャラクターが集結するという、この映画の構想の一部でもあるんだ」。

ジャベリンの衣装をデザインするとき、マコフスキーはコミックアート本に見つけた鮮やかな青と黄色のスーツに大きな変更を加えなかった。「ジャベリンは、ほぼコミックに合わせた。初めてフルーラに会ったとき、彼は役に最適な体型ではなかったのだけど、デザインスケッチを見て『この体型に絞ってくるよ』と言ってくれた。そして、本当にその体型になった。本当にすごいこと」と、彼女は笑って言う。「正直なところ、彼以外にこの衣装を着こなせる俳優はいなかったと思う。彼はとても愉快で、衣装を自分のものにしていた」。

ボルクはスーパーヒーローとしての準備を整えて撮影に臨んだので、スクリーンに登場する姿のほとんどは、手が加えられていない彼の生身の姿である。「ストレッチの効いた生地は、着る人の体を少し平たく見せてしまう。だから、いつもは詰め物を少し入れる。だけどフルーラの場合、スーパーヒーローに見えるように“見せかけの強さ”が必要だと感じた部分を誇張して面白く表現するために、ほんの少しだけ使った」とマコフスキーが言う。もちろん、彼が武器を巧みに使うためには、隆々と盛り上がった上腕二頭筋が必要だった。

ジャベリンの投てき槍をつくるにあたり、小道具チームは古代の象形文字など2000~3000年前の美術品をリサーチし、本物かつ独創的なデザインを見極めていった。そしてゴールドとシルバーを基調とした投てき槍が完成した。また、さまざまな戦いのシーンでさまざまなキャラクターたちを相手にするために、異なるサイズと重さの投てき槍を制作し扱いやすくした。投てき槍に加え、ジャベリンの第二の武器は口説き上手なことであると、ボルクは言い放っている。

巨大な図体をもつ“サメ人間”。子どものような純真さを持っているが、その下には牙を隠している。遺伝子実験の大失敗作であり、その噛みつきは吠え声をはるかにしのぐ威力。脳みそよりも筋肉で行動し、常に次の食べ物のことしか考えていない。誰が餌食となろうとも、むしゃむしゃと食べる。

シルベスター・スタローンが声を担当するナナウエ(キング・シャークの“本名”)は、サメの神の息子である。人間とサメの部分を併せもつが、サメの特徴や気質が人間のあらゆる要素をはるかに上回っている。少なくとも外見の面ではそうだ。彼の思考は食べ物と好物の人間の肉のことを中心に回っているにも関わらず、奥底に人間の感情の核となるものをもっており、心を打たれたタスク・フォースXのメンバーは少なくない。

キング・シャークについて、スタローンはこう語る。「彼には、自分が誰にも好かれていないことが分かる知能がある。嫌われる理由のひとつは人間を食べる悪癖のせいだ。だから映画『ノートルダムの鐘』のカジモドに似ていると思ったんだ。醜くて、徹底的に拒絶されるが、彼のあらゆる短所には、ある種の高潔さがある。そして彼が人とつながることを切に欲していることを通じて、みんなが彼に深い同情を抱くんだ」。

「この役はシルベスターのために書いた。彼の声が入ったときに、やっとキャラクターに命が吹き込まれたと感じたよ。『そうだ、これが奴だ!これぞキング・シャークだ』と思ったんだ。彼の声は今までなかったかたちでキャラクターに命を宿し、生き生きとさせた。これは、キャラクターをつくるうえで、すべての適切な要素がひとつになった、まさにマリアージュだ。観客に大人気のキャラクターになると思う」。

キング・シャークは、ポストプロダクションでCGIを使用して完成したが、俳優のスティーブ・エイジーがセットでこの役を演じることで、身体的特徴を捉え、せりふを落とし込み、キャストが実際に共演できるようにした。アニメーターたちへ資料を提供するために動作の撮影に加え、エイジーは巨大な胸のピースとふたつの目がついたヘルメットを身に着け、仲間のキャストたちが正しい目線の位置を捉えられるように手助けした。またエイジーは、スクワッドを監視する政府の技術者のひとり、ジョン・エコノモス役でも本作に登場する。エコノモスは、寄せ集めだが信頼できるメンバーが集結した小さなグループで働いている。

ベルレーブ刑務所に収監した悪党からスクワッドメンバーを選び、結成したタスク・フォースXの極秘任務における“女帝”。スーパーパワーはないが、誰よりも恐ろしく、はるかに残虐。彼らを投獄したり解放したり、ときには見殺しにすることすら厭わない。

前作でウォラーを演じ、彼女に悪名高い印象を植えつけたヴィオラ・デイヴィスが、今回も相変わらず彼女の冷酷さを見せつける。「大胆不敵で強気な人物を演じるのが好きだし、そのことに悪びれたりしない」と、デイヴィスは興奮気味に言う。「それに、法律は守らないけど種々雑多な超人たちが集結して良いことのために行動するという、アンチヒーローたちの集団スーサイド・スクワッドの構想がとても気に入っている。一作目で彼女を演じるのが楽しかったから、また戻って来られてとても嬉しかったし、ジェームズ・ガン監督による演出も興味深かった」。

マーゴット・ロビーは、ウォラーは『ア・フュー・グッドメン』でジャック・ニコルソンが演じるキャラクターと同種であると語る。つまり彼女は、人々が知らない方がいいようなことを進んで引き受け、行動することで、人々が安眠できる状況をつくり出す、唯一の役回りであることを自覚している必要悪なのだ。デイヴィスはつけ加える。「彼女が何者かと言うと、大義のために背後で指揮を執る黒幕。かなり際どい戦術を使っているとしても、自分がしていることは愛国心に基づいていると思っている」。

 「ヴィオラと仕事をするのは、楽しかったよ。魅力的でとても面白い人だ。それに、彼女はアマンダ・ウォラーに本当に恐ろしいイメージを植えつけた」と、ガン監督は言う。「私が思うに、アマンダ・ウォラーは、ジョン・オストランダーの最高傑作だ。歴代のDCキャラクターに彼女のようなキャラクターはほかにいない。このキャラクターが誕生した1980年代を振り返ると、彼女の登場は奇跡的だ。善人でも悪人でもなく、その中間に属していて、任務を遂行するためなら何でもする驚異的なキャラクターだ。この役にはヴィオラ・デイヴィス以外考えられない」。

数々の任務の立役者であり、もともと非常に複雑な女性であるウォラーは、最もタフで最も大物のDCキャラクターのひとりだと言えるだろう。この点を浮き彫りにするために、衣装のマコフスキーは典型的なフェミニンスタイルの衣装をつくり上げた。彼女が着るきれいなライラック色のスーツには、シルクのブラウスを合わせ、パールのアクセサリーを加えている。

「脚本を読んだとき、ジェームズにこう言った。『彼女はライラック色の服を着ているの?』とね。すると彼は『そうなんだ。イメージと逆のスタイルにしたいんだ』と答えてきた。この衣装にヴィオラはとても満足していた」。デイヴィスはこのスタイルを喜んで受け入れた。「昔風の地味なアフロヘアに、薄紫色のスーツを着て小さなパールのイヤリングをつけたウォラーは、悪意がなくおとなしい印象を与えると思う。だけど、彼女はサイコパスの特徴をもつ社会病質者かも知れないということがわかったときこそ、スーパーヒーロー映画に格好のキャラクターになる瞬間だと思う」。マコフスキーは、デイヴィスに少しだけ詰め物を施し、貫禄のある風采にした。「ヴィオラ・デイヴィスに貫録が必要というわけではない。彼女は十分にすばらしい人だから」と、マコフスキーは加えて言う。それでもなお、彼女が戦争のさなかに身を置いていなかったら、お茶に行っていると思う人がいるかも知れない。

ウォラーの武器は、第一にスクワッドだ。しかし、彼女が本当に正確かつ巧みに活用しているのは、自分が下した命令を実行するために必要な者全員に行使する権力である。そしてこの物語では、小さくて危険な島コルト・マルテーゼでの任務を全うするために、彼女が所有する(ほぼ)人間の“武器庫”から兵力を派遣する。

ルナ将軍とスアレス長官に家族全員を惨殺されたことで復讐を誓う。今では島国のなかのジャングルを徹底的に捜索する抵抗勢力のメンバー、いわゆる自由の闘士を率いて、政府を転覆させようと計画している。アメリカ人に典型的な策略のないスクワッドのやり方に嫌気を感じているが、敵視している悪魔を阻止するために、スクワッドの悪魔のような取引をする。

このリーダー的人物を演じるアリシー・ブラガは、スクワッドメンバーや彼らの大胆不敵なリーダーとの共演を存分に楽しんだ。「この映画に参加できて、特別な体験ができた」と、彼女は言う。「私がジェームズの大ファンであるからだけじゃなく、彼がこの作品で手がけたことは、ことさら並はずれていたと思う。アクション満載のスーパーヒーロー映画だけど、同時に思いやりにもあふれている。とても楽しい作品だから、観客には笑いながら楽しめる映画体験を届けられると思う。キャストのひとりとして、この作品に貢献できて光栄だった。みんなが観てくれるのをとても楽しみにしている」。

「映画の冒頭で、コルト・マルテーゼ島はかつてエレーラ家によって統治されていたということがわかる」と、製作のピーター・サフランが打ち明ける。「だがクーデターが勃発し、新たに台頭した支配者は、言うなれば慈悲の心に欠けているようだ。そしてウォラーは、アメリカ政府が彼らから権限を取り上げたがっていることを知っている」しかし、ソリアと彼女が率いる部隊が望むのは現支配者の失脚である。彼女にとってスクワッドは、目的を達成するための手段なのだ。

衣装は、信憑性をもたせるという点において、フラッグの衣装と同じようなアプローチでデザインされた。兵士であるソリアは、周囲にあるジャングルの環境に溶け込むように深緑と茶色でできたタンクトップにコンバットパンツ、ブーツを身に着けている。その衣装にファッション性は一切考慮されておらず、衣装のマコフスキーは機能性を追求した。全体的なスタイルは、ほとんどが男性の非常に危険な世界で生きるキャラクターから着想を得たが、マコフスキーはソリアが女性らしさを完全に放棄したいわけではないと感じたため、イヤリングやネックレスでわずかに女性らしい印象を加えた。

もちろん、派手な装飾品はそれだけではない。ソル・ソリアはゲリラ部隊の必須アイテム、マシンガンを見せつけるように携帯している。そしてマシンガンが活躍するのは、宮殿、つまり前政権を追放した武闘派のリーダーが駐在し生活する大邸宅に攻め入る方法を見つけたときだろう。

ファン・ディエゴ・ボトが演じるこのキャラクターは、人々が邪悪な独裁者に抱くイメージとはかけ離れている。ハンサムで独身の犯罪王であり暴君の彼は、交際相手募集中の狂気的なハーレイ・クインに惹かれている。すでに宮殿に住む彼は無慈悲ながらもロマンチック。彼の恋は、王様が女王様を見つけたという感覚なのかもしれない。

穏やかでやさしい面をハーレイに見せれば、その効果はてきめんだろう。圧政をおこなうなか、彼の手の上ではレインボーカラーの上品なインコたちが餌を食べている。実際に手を下すのは二番手のスアレス長官だ。

ホアキン・コシオが、一流の戦士であり、ルナ将軍の忠実な二番手のスアレス長官を演じる。パワフルにして屈強で、シガーを吹かす、白髪交じりのこの独裁主義者は、一心にそして手際よく仕事に熱心だ。不忠が少しでも見えたり、それに繋がる些細なことでもあったりしたら、その人の頭は食事の大皿か槍の上に乗せられるだろう。

製作のチャールズ・ローヴェンがこう述べる。「スアレスやルナ、とりわけアマンダ・ウォラーのようなキャラクターを巻き込んでジェームズが見せたかったのは、ある時点ではスクワッドよりもはるかに闇が深いダークサイドだ。そうすることで、観客はスクワッドをますます応援したくなるんだ」。

WETAデジタルの視覚効果チームがまず取り組まなければならなかったのは、コルト・マルテーゼ島潜む怪獣スターロである。第一段階で取りかかったのは、悪名高い体長150フィート(約46メートル)のヒトデの最適なルックスを見いだすことだった。美術チームによるイメージ画を参考に、視覚効果技術でデザインを具現化し細部まで調整し、可能な限りガン監督のビジョンに近い完成品をつくることをめざした。

視覚効果監修のケルビン・マキルウェインはこう回想する。「私はスターロの歴史を知らなかったけど、ずい分昔に彼はDCユニバースに登場していたようだ。ジェームズよるスターロの起用は、コミックファンにとっては格別の楽しみになると思う。すでにウィーゼルとキング・シャークがいることは知っていたんだけど、脚本を読んだとき、直径40フィート(約12メートル)の目が体の真ん中にある巨大なピンクと青色のヒトデがいることがわかった。これは新たな面白い仕事になると察知した」。

彼の外見はさておき、アニメ・造形・シェーディング・テクスチャ・キャラクターおよびクリーチャーデザインのエキスパートたちで構成されるチームは、スターロがもつ身体的特徴を把握する必要があった。彼らは半年近くかけて、スクリーンに登場する最終バージョンに展開させた。鮮やかなセルリアンブルーとバブルガムピンク色のスターロは、街中をドシンドシンと歩き回り、その行く手にあるすべてのものを破壊する恐ろしく残忍な習性を隠しもっている。

MENU OPEN
チケット情報はこちら