PRODUCTION NOTES
最もやりたかった
エピソード=【血ハロ】
2021年実写邦画No.1ヒットという輝かしい記録をたたき出した、『東京リベンジャーズ』。だが本作は『1』がヒットしたから、続編決定!という通常の流れとは少し異なる。「そもそも映画『東京リベンジャーズ』の企画を出した時、一番やりたかったのは今回の“血のハロウィン”(以下、血ハロ)のエピソードでした」と岡田翔太プロデューサー(以下、岡田P)は語る。“血ハロ”は原作ファンの間でも熱狂的な人気を誇り、かつ最も泣けるエピソードとして有名。「極端な言い方をすれば“血ハロ”をやるために、どう物語を積み上げていくかと考えていたくらいです。なので『1』の撮影時から、『2』(=“血ハロ”エピソード)は必ずやろうと俳優全員には話していて。『1』の公開初日に正式に続編の”GO”が出た時は、もう僕らとしては準備はできていた感じ。最初から“『2』までやって『リベンジャーズ』でしょう”という気持ちを、俳優全員と共有できていたのは大きいですね」。
2部作への決断
続編製作が決まり早速脚本作りに着手するが、膨大な情報量と熱量を含んだ“血ハロ”を1冊の本にまとめるのは想像以上に難航する。原作を愛する製作陣だからこそカットできるエピソードが見当たらなかったのだ。「実は最初は1本にまとめた本も作っていたのですが、3時間半以上の超大作脚本になってしまって(笑)。どう見せるのが最善か、全員で議論を重ねました」(岡田P)そんな時、原作者・和久井健を筆頭とした原作チームからの、「“血ハロ”はミステリー要素が強く、ある種のサスペンスだと思って書いていました」という一言が岡田Pの心に刺さる。「『1』が王道の青春成長譚だとすれば、『2』はそこにサスペンス&ミステリーの要素が加わる。だとすれば【問題提起編】=“運命”と、【解決編】=“決戦”に分けるのが可能だと思ったんです」。謎に包まれた前編をたっぷり見せ、様々な人物の想いを積み上げたものを爆発させるのが後編。こうして前作の倍近い時間をかけた、濃度の高い脚本が完成することに。
北村匠海を中心に――
続編の真摯な想い
続編への想いを製作陣と共有していたキャスト陣は、いよいよ撮影がスタートするというタイミングになっても、いい意味で全くはしゃいだところがなかった。「全員が“血ハロ”がいかにヘビーなエピソードかを分かっていたので、お祭り感のようなものはなく、いい緊張感で初日を迎えました。『1』を全力でやり切ったぶん、またあのベストな状態に自分達を持っていけるのか?というプレッシャーもあったんだと思います」(岡田P)主演の北村匠海を筆頭に、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、鈴木伸之、磯村勇斗、眞栄田郷敦、清水尋也、堀家一希、間宮祥太朗、そして吉沢亮。これだけのメンバーが誰一人欠けることなく、再び集まったのがもはや奇跡に近い。「全員がこのメンバーで作品を作るのは、これが最後だという気持ちで撮影していたと思います」。ハードな日々の中、このチームの精神的な支柱となったのはやはり北村だったという。「北村くんはどんなに辛い現場も笑顔で乗り越えられる人。現場で何かひとつつまずいた時でも、なんとか完成させようと全員で持ち上げていくのが英組で、その中心にはいつも北村くんがいた」
前作と変わらず公私ともに強い信頼関係で結ばれていたメインキャスト陣。ムードメイカーとして現場を盛り上げ、最後まで高い士気を保ち続けた山田。「絶大な安定感」(岡田P)でマイキー同様、圧倒的なオーラで現場を支配した吉沢。
「ヒロインとしての風格が前作より増していた」(岡田P)というヒナタ役の今田美桜も、男性だらけの本作で可憐な存在感を残している。
新キャラ3人の覚悟
本作から新たに参戦する重要な3人の新キャラ。原作の中でも非常に高い人気を誇るキャラクターばかりだが、ビジュアルの再現度はもちろん、内面への寄り添い、確かな演技力も含め「狙い通り…いや狙い以上の分厚いキャスティングができました」と岡田Pも自信をのぞかせる。一虎は今作において一番複雑な役割を担い原作チームとも何度も推敲したほど思い入れのあるキャラ。一見暴力的には見えないが、突然人を病院送りにするようなかなり危険な男=一虎を、村上虹郎は天性のカリスマ性を漂わせて熱演している。「村上さんも原作を読んでいて、当初から自身に一虎をイメージしていたほど入り込んで演じてくれました」。
タケミチの過去パートの新たな相棒となる千冬には、高杉真宙。北村とは共演経験のある高杉だが、ここまでのヤンキー役は初。「ヤンキーっぽい歩き方など最初は戸惑われていたこともあるようですが、いざスイッチが入った時の役の深め方が凄まじい人です」。
そして“血ハロ”で神格化されつつある場地を演じるのが、永山絢斗。無頼で破天荒な一方、愚直で仲間想いな面もある場地は、「実際の永山さんに重なるところがある」と岡田P。「続投キャストですら重いプレッシャーを感じていた中、高いハードルを毎日超えていってくれました」場地のトレードマークでもある八重歯は、特注の薄いマウスピースで製作されたが、永山はこれを撮影前から私生活でも常に装着していた。
日本映画史上最大規模の
ロケセット
撮影は2022年の8月にスタートし、10月いっぱいまで連日続いた。本作の象徴とも言えるのが、廃車場のロケセット。この場所が実に映画全体の1/3を占めている。原作からの再現率の高さに震えるこのセットは、「日本映画史上最大規模のセットです」と言い切る岡田P。予算度外視で約3か月かけて入念に作り込まれたこの一大セットは、東京卍會と芭流覇羅がぶつかり合う戦場でもある。危険を伴うアクションは、アクション監督の諸鍛冶裕太氏を中心に、キャストも積極的に意見を出し合って作り上げられていった。「『リベンジャーズ』のアクションは、アクションのキレだけを見せたくてやっているわけではなく、動きにキャラクターの感情が乗っかっているものばかり。それもあって吹き替えはほぼないし、できないんです」。地上から10mはあるという廃車場の山のてっぺんは、日が昇るとさらに温度が上昇。“ワイヤーに吊られながら、サウナの中で全力のアクションをやっている状態”のキャストはもちろん、スタッフも熱と緊張感でフラフラになりながらのハイカロリーな撮影となった。
衣装へのこだわり
スタイリッシュな東京卍會の黒トップク(特攻服)と、ややカジュアルな “芭流覇羅”のMA-1スタイルにも、それぞれスタッフのこだわりが詰まっている。「メインキャストだけではなく両チームの隊員全員の名前が台本に載っていて、なおかつ衣装は全て特注でひとりひとりの(役の)名前が入っています」(岡田P)”芭流覇羅”の【顔のない天使】のモチーフが、原作よりやや大きめにデザインされているのも映像ならではの特徴である。
主題歌は珠玉の2曲
主題歌は前作に続きSUPER BEAVERが担当。「これは僕と彼らの契りで、絶対に次も主題歌をお願いしたいですと。でもその為には『名前を呼ぶよ』という名曲を、はるかに超える2曲を書いて下さいとお願いしていました」(岡田P)そんなある意味とてつもなく高いハードルを超えてきたのが、【運命】の主題歌『グラデーション』と、【決戦】の主題歌『儚くない』。「何度もデモを上げてもらって、紆余曲折あった中で出してきてくれたのがこの2曲。映画に寄り添った本当に素晴らしい楽曲です」。SUPER BEAVERは撮影中の廃車場セット内でライブを開催し、同時にMVも撮影するなど、映画と連動した二人三脚ぶりで頼もしく作品を支える。