映画『東京リベンジャーズ』 ABOUT THE MOVIE

PRODUCTION NOTES

超人気原作×英勉監督
2017年に「週刊少年マガジン」で連載がスタートした「東京卍リベンジャーズ」。
原作者=和久井健のファンだったという岡田翔太プロデューサー(以下、岡田P)は、連載開始早々、予想のナナメ上をいき続ける展開とその根底に流れる男達の熱い絆と友情に魅了され、すぐに映画化へ向けて動き始める。「1人1人のキャラクターがとてつもなく魅力的なので、少年誌の連載ではありますが女性にも人気が高い。主人公のタケミチがバリバリのヤンキー気質では全くないところが、ヤンキーとは縁遠い自分にも刺さりました。この作品はタケミチの成長譚であるということが重要で、加えてアクションはもちろん、ラブもSFの要素も入っている。こんな盛りだくさんの原作は、絶対に映画向きだと思いました」(岡田P)。原作者サイドにも岡田Pの熱意は存分に伝わり、スムーズに映画化の快諾を取り付けた。
監督には、これまで岡田Pとは一切面識のなかった英勉監督にオファー。「英監督は『トリガール』のような熱いスポコンものから、『賭ケグルイ』シリーズのように原作をキレキレに料理する手腕もお持ちでそのバランス感覚が素晴らしい。『リベンジャーズ』の監督は英さん以外いない!と思い、会社の先輩に連絡先を聞いて直接ご連絡させていただきました」(岡田P)。2018年に岡田Pから連絡を受けた監督は、「お話をいただいてから原作を読ませてもらったんですが、とにかく抜群に面白い原作だった」と当時を回想する。「ただ僕自身ヤンキーを避けてつつましく生きてきた人間なので(笑)、これをヤンキー漫画とは思わずに読んでしまって。岡田さんにヤンキー映画にするなら僕は無理ですと伝えたら、“僕もヤンキー苦手なんで大丈夫です!”と(笑)。登場人物達の熱みたいなものが軸になるドラマにしたいという点で、お互いのやりたいことが一致したので是非とお受けしました」
若手最強キャストが集結
「新しい世代の代表作になる映画にしたい」(岡田P)。そんな熱い思いでオファーしたのが、今最も勢いのある若手俳優陣。主人公=タケミチを演じる北村匠海をはじめ、リアルタイムで原作を愛読していた俳優も多く、単なる与えられたキャラクターを超えた尋常でない熱量でカメラの前に立つ者が多かったのも本作の大きな特徴だ。クランクイン前からタケミチへの並々ならぬ思いを語っていた北村は、もちろん原作の大ファン。「タケミチが好き過ぎるからこそ、自分が演じることの不安もありました」とも口にしていたが、北村の現場での姿は誰が見てもタケミチそのものだった。「北村さんは品行方正で純粋な青年の役も多いですが、本人は心の中に熱いものを持っている。ヤンキーじゃないのにヤンキーをやるっていうのは北村さんにピッタリだと思ったし、この作品で新しい彼を見たいなとも思いました」(岡田P)。「北村くんのタケミチとしての熱の入れ具合は、それだけで2時間見ていられるものがありましたね」(監督)。
同じくこの1年間、ドラケンとして生き続けたのが山田裕貴。「大好きなドラケンをやるからには、あの髪型じゃないとやる意味がない!」と自ら各所に直訴し、原作に忠実に側頭部をそり上げ続けた。「山田さんは間違いなくドラケンに命をかけてくれたと思っています」(岡田P)。原作だとかなりの長身なドラケンに合わせ、15cmのインソールも着用。常にハイヒールを履いているような不安定な状態の中のハードなアクションに、一度も弱音を吐くことなく挑み続けた。「クールでクレバーな雰囲気と、原作のナオトのビジュアルにピッタリだった」(岡田P)という杉野遥亮もハマリ役。唯一ヤンキーとは無縁のナオトは、本作におけるタイムリープの仕組みを、観客に分かりやすく伝えるという重要な役割も担う。
そして原作で女性ファンが最も多いとも言われる超美形のカリスマヤンキー=マイキーは、全員が「吉沢亮しかいない!」と満場一致でオファー。美しい金髪&整った顔立ちで、原作から抜け出したようなマイキーを体現しているが、吉沢もまた原作ファンゆえにマイキーを演じることに葛藤があったとか。「吉沢さんにマイキーを断られたらこの企画は頓挫したかもしれないと思うほど、マイキー=吉沢さんは絶対でした。タケミチ、ドラケン、マイキー。まずはこの3人が完璧でないとこの企画は成立しなかったと思っています」(岡田P)。「僕らが分からないようなレベルまで、彼らは外見も中身もしっかり作り込んで現場に入ってくれました。ここまで演出しなくてよかった作品は初めてかも(笑)。こいつらかっけ~な!と思いましたよ」(監督)。
紅一点のヒロイン=ヒナには「若い女性達のインフルエンサー的存在」(岡田P)であり、全男子のマドンナ的存在という説得力も十分な今田美桜、タケミチの前に何度でも立ちふさがる極悪ヤンキー=キヨマサには「典型的なオールドヤンキーを楽しみながら演じてくれた」(監督)という鈴木伸之、タケミチのタイプリープに最も影響を受け「1人で5役を演じてもらった」(監督)というアッくんには磯村勇斗、「ラスボス感タップリ」(岡田P)なトーマンと対立する愛美愛主の幹部=キサキに間宮祥太朗。ミツヤ=眞栄田郷敦、ハンマ=清水尋也というフレッシュな2人も原作に寄せた完成度の高いルックを披露し、製作陣を驚かせた。
初日からいきなりマイキー無双
クランクイン前からアクション監督=諸鍜治裕太のもと、アクション練習を重ねたメインキャスト陣。決して喧嘩が強いわけではないタケミチには泥臭い人間味あふれるアクション、キャスト陣が「どう見ても一番強そうな人!(笑)」と口を揃えていたキヨマサはその体躯とリーチの長さを活かしたパワー系、そして異次元の強さを誇るマイキー&ドラケンにはそれぞれのキャラクターを活かしたアクロバティックな動きがどんどん足されていく。いきなりマイキー&ドラケンの強さを見せつけられた撮影初日は、学校にタケミチを訪ねていく2人のシーン。「タケミっち~♪」と笑顔で手を振りながら、いかにも悪そうな生徒達を凄まじいスピードで殴り倒し、次々に窓から投げ飛ばしていく(!)マイキー。ドラケンも赤子の手をひねるように軽々とヤンキー達をのしていき、あっという間にタケミチの元にたどり着く2人。恐怖のあまりオタオタするしかないタケミチのコミカルな芝居も光り、監督はモニター前で大爆笑。「タケミチ、(2人が)来るぞ~来るぞ~!(涙)って感じでね」と笑いながら演出をつけ、北村も思わず笑顔。「カット」がかかった瞬間、テンションの上がり切った山田が「マイキーかっこいい~!」と叫んだり、2人同時に「ふ~!」と奇声を上げるなど、初日から抜群のコンビネーションを見せる。
しかし2度にわたる抗争シーンでは、そんな和やかな雰囲気は一転。出演者全員がアドレナリンを爆発させる中、原作でも有名なマイキーのハイキックも炸裂!
カポエラのようなトリッキーな動きを織り交ぜ、ワイヤーを駆使し空中で1回転してのハイキックは、素人目に見ても難易度がヤバい。見事成功した時は、全員が「お~っ!」と歓喜の声を上げた。撮影後半はロックミュージシャンのライブのようにライトが激しく点滅する倉庫の中で、トーマン、愛美愛主、溝高4人衆、そしてタケミチが勢ぞろいしてのガチンコ肉弾戦が繰り広げられる。カットがかかると全員が肩で息をし、水をがぶ飲みする異様な熱気に包まれた空間(ちなみにこの日は真冬かつ極寒の気候であった)。そしてタケミチの「ドラケンくんが刺された――!!」という悲痛な叫び声に、一瞬静まり返る現場。北村の魂の熱演が、現場の緊張感を最後まで持続させる。俳優陣の本気の戦いぶりに、「めちゃめちゃかっこいいな!」と監督も満足気な様子を見せていた。
最終日はタケミチVSキヨマサの死闘
撮影スタートからコロナ禍による2度の中断を経て、通算309日目にしてクランクアップを迎えた本作。最終日はドラケンを背負ったタケミチが、宿敵=キヨマサと最後の死闘を繰り広げるというまさに最終日にふさわしいシーンとなった。何度殴り倒されても、絶対にあきらめずにフラフラと立ち上がるタケミチの姿を万感の想いで見つめるスタッフ。タケミチ渾身のチョークスリーパーは、クランクイン前から北村が何度も練習を重ねてきたタケミチ唯一の必殺技だ。最後は「うわああああ!」と絶叫した後、ボロボロの体を引きずってドラケンに「勝ったよ…」と伝えるタケミチ。これまでその明るい笑い声で誰より現場を盛り上げていた監督が、一言「泣けるね!」とつぶやいたのも印象的だった。クランクアップ後、「まだまだ殴られ足りないので、もう少しいたぶってもらえますか?(笑)」と茶目っ気タップリのコメントをする北村に、現場はさらに盛り上がる。何度撮影が中断になってもキャスト間で連絡を取り合い、本作の完成を信じて気持ちを繋いだ座長の頼もしい姿がそこにはあった。最後はスタッフの「解散!!」の一言で、長かったリベンジャーズ達の戦いの日々はようやく終わりを告げた――