映画『トワイライト ささらさや』公式サイト

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“ささら” そこは大切な人に会える町

<奇跡の瞬間>
トワイライトに何かが起きる──

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bluraydvd4月22日 Blu-ray&DVD RELEASE!

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作品情報

Introduction イントロダクション

ちっぽけな町“ささら”で起きる“奇跡の瞬間”
人と人の優しい絆に胸が熱くなる愛に満ちあふれた感動の物語

 突然の事故で夫のユウタロウを亡くし、生後間もない息子を抱えて途方に暮れるサヤは、のどかだけれど、どこか不思議な町“ささら”で暮らすことになる。人を疑うことすらできない頼りないサヤが心配で心配で……ユウタロウは成仏できずにさまよい、時に他人の体に乗り移っては、サヤを助けに現れる。落語家の師匠、ささら駅の駅員、言葉を失った少年、旅館の女将──。お人好しで気弱なサヤは、ユウタロウと“ささら”の人々の優しさに支えられ、母親として強く成長してゆくのだが──。

 今作で初めて母親役を演じる新垣結衣と、演技派俳優として不動の地位を確立した大泉洋が、夫婦役で初共演を果たした。サヤにストレートな好意をぶつける“ささら駅”のハジケた駅員に中村蒼、見た目はハデだが気は優しく、心を閉ざした息子を持つ母親役に福島リラ。さらに、売れない落語家であるユウタロウの師匠に小松政夫、ワケあって絶縁していたユウタロウの父に石橋凌、ある事情からささらの町から出て行った男につるの剛士、おせっかいだけれど愛すべき町の人々に、富司純子、波乃久里子、藤田弓子とベテラン勢がそろい、観る者すべてが誰かしらに共感できる物語が生まれた。また、サヤの息子ユウスケを演じる赤ちゃんのキラキラ輝く瞳と愛らしい笑顔が心をほぐしてくれる。

 原作はファンタジーとミステリーを見事に融合した加納朋子のベストセラー小説「ささら さや」。監督は、『神様のカルテ』『60歳のラブレター』の深川栄洋。人生の浮き沈みを穏やかな眼差しで見つめる繊細な演出は、本作でも存分に生かされている。『武士の献立』の山室有紀子と共同で、笑って泣ける脚本を5年の歳月をかけて書き上げた。

 ゆっくりと時間が流れ、青い空や緑の木々が美しい町“ささら”。

ちっぽけだけれど、誰もが帰りたくなるような心の故郷で繰り広げられる、人と人とをつなぐ人情と絆、やがて訪れる本当の別れ。果たして、最後に待ち受ける“奇跡”とは──? 切なくも温かい、涙あふれる感動作が完成した。

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Story ストーリー

 自分の葬儀で涙にくれる妻のサヤ(新垣結衣)を、見守ることしかできないユウタロウ(大泉洋)。売れない落語家だったこの男は、結婚して生まれた子にユウスケと名付け、さあこれからという時にトラックに轢かれて死んでしまったのだ。だが、早くに両親を亡くし、頼る親戚もないサヤが心配で、気が付けば成仏できずにいた。

 その時、コワモテの男(石橋凌)が入ってきて、棺桶の中のユウタロウに「バカもん!」と怒鳴る。驚いたサヤは、男の「ユウタロウの父です」という言葉にさらに驚く。夫から亡くなったと聞いていた義父に、自分の後継ぎに孫を引き取ると言われ、サヤはただ唖然とするばかり。怒りに震えるユウタロウは、いつの間にか師匠に乗り移っていた。「オレだよオレ」とサヤに笑いかけるが、もちろんサヤは質の悪い冗談としか思わない。だが、ユウタロウと全く同じ仕草でユウスケをあやす師匠を見て信じたサヤは、夫に言われるまま義父の前から逃げ出した。

 東京からローカル線を乗り継いで数時間、古くさい大きな乳母車にユウスケを乗せて、“ささら駅”に降り立つサヤ。亡き叔母が遺してくれた、小さな家があるのだ。引っ越したその夜、見知らぬ女が勝手に入って来て、上手くできないサヤに代わって、慣れた手つきでユウスケの沐浴をしてくれる。近くの旅館の女将お夏(富司純子)で、引っ越し屋でバイトしているバカな孫が出来心で盗んだサヤの荷物を返しに来たのだ。

 ふいにお夏の体に、ユウタロウが乗り移る。「俺が見える人間にだけ乗り移れるらしいんだ。しかも一度っきり」と説明する夫に、「お父さんと何があったの」と問い詰めるサヤ。ユウタロウは病気で瀕死の母より仕事を優先した父との確執を打ち明けるが、そこで時間切れとなる。乗り移れても、長くはいられないらしい。

 翌日、途中から記憶を失くしたお夏が改めて謝りに来る。そこへサヤが引っ越して来る前にこの家に住んでいた久代(波乃久里子)が現れ、隣人の珠子(藤田弓子)も加わり、元同級生だという三婆が勝手に集結する。3人はすぐにユウスケに夢中になり、以来何かとサヤを訪ねて来ては、子守や家事を手伝い、育児の知恵を授ける。さらにサヤは、ささら駅の駅員佐野(中村蒼)に、ちょっとメーワクだけど、微笑ましくもある好意を寄せられ、スナックで働きながら幼い息子を育てるエリカ(福島リラ)とも友達になる。

 いろいろな人の体を借りて現れるユウタロウと街の人々に支えられ、少しずつ逞しくなっていくサヤ。だが、ユウタロウは乗り移れる人間が、もう見当たらないことに気付いていた。そんな中、サヤがユウスケの母親として自分のことを認めてもらおうと、義父をささらへ招いたことから、思わぬ事件が起きる。ユウタロウは、最後の秘策を思いつくのだが──そこには“奇跡の瞬間”が待っていた。

Correlation Diagram キャラクター相関図

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Cast キャスト

サヤ 新垣結衣

1988年6月11日、沖縄県生まれ。ローティーン雑誌「nicola」のモデルとして活躍した後、女優業を中心に活動を始め、2006年放送のCMで注目を浴びる。『恋するマドリ』(07)で映画初主演を果たし、続けて主演を務めた『恋空』(07)が大ヒットを記録、日本アカデミー賞新人俳優賞を始め、数々の賞に輝く。その後、『ワルボロ』(07)、『フレフレ少女』(08)、『BALLAD~名もなき恋のうた~』(09)、『ハナミズキ〜君と好きな人が百年続きますように〜』(10)、『麒麟の翼~劇場版・新参者~』(12)などに出演。TVドラマでは、「全開ガール」(11/CX)で連続ドラマ初主演を飾り、「空飛ぶ広報室」(13/TBS)、「リーガルハイ」(13/CX)、「S-最後の警官-」(14/TBS)など話題作に次々と出演。演技でも凛とした美しさでも、若手女優を代表する存在。

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ユウタロウ 大泉 洋

1973年4月3日、北海道生まれ。男女を問わず、幅広い層からの人気を誇る。映画では、『探偵はBARにいる』(11)で高く評価され、日刊スポーツ映画大賞、石原裕次郎賞、日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞、2013年の続編にも主演している。その他、『しあわせのパン』(12)、『清須会議』(13)、『青天の霹靂』(14)などの話題作に出演し、新作に『ぶどうのなみだ』(14)がある。「ドレッサー」(13)など、三谷幸喜演出の舞台でも知られる。TVドラマでは、「地の塩」(14/WOWOW)、「おやじの背中」(14/TBS)などに出演。また、演劇ユニット「TEAM NACS」のメンバーで、脚本・演出も手掛けている。2013年には、自身の過去8年間にわたるエッセイ連載をまとめた「大泉エッセイ~僕が綴った16年」を出版。

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佐野 中村 蒼

1991年3月4日、福岡県生まれ。第18回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞。2006年、寺山修司原作による舞台「田園に死す」で主演デビューを果たす。『ハラがコレなんで』(11)、『潔く柔く きよくやわく』(13)などを経て、2013年には初のNHK大河ドラマ「八重の桜」に出演する。主演映画『東京難民』(14)、主演TVドラマ「なぞの転校生」(14/TX)、TVドラマ「罪人の嘘」(14/WOWOW)、TVドラマ「アリスの棘」(14/TBS)など、話題作に次々と出演している。

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エリカ 福島リラ

東京都出身。2003年にニューヨークに移住後、国内外ブランドのキャンペーンモデルを務めて脚光を浴びる。その後も東京やNYのファッション&カルチャーシーンを中心に、雑誌、広告などで活躍し、ハリウッド映画『ウルヴァリン:SAMURAI』(13)のメインキャスト:ユキオ役で本格的に女優業を開始する。続いて、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」(14)、「ロング・グッドバイ」(14/NHK)などに出演する。

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義男 つるの剛士

1975年5月26日、福岡県生まれ。「ウルトラマンダイナ」(97~98/TBS)のアスカ隊員役で、一躍人気俳優となる。「クイズ!ヘキサゴンⅡ」(CX)にて“羞恥心”を結成し、リーダーとして活躍、日本レコード大賞特別賞を受賞する。2009年にカバーアルバム「つるのうた」でオリコン1位を記録、以降精力的に音楽活動を続ける。映画出演作は、『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』(98)、『うまれる』(10)、『ウルトラマンサーガ』(12)など。

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久代 波乃久里子

1945年12月1日、神奈川県生まれ。父は十七世中村勘三郎。1962年劇団新派に入団。初代水谷八重子に師事する。「京舞」「日本橋」「明治一代女」「金色夜叉」などの新派の古典はもちろんの事「浅草パラダイス」「華岡青洲の妻」「女の一生」といった作品や、また蜷川幸雄演出の「エレクトラ」まで様々な舞台に出演。映画では、『てなもんや商社』(98)、『三文役者』(00)、『わたしのグランパ』(03)などに出演。2011年には紫綬褒章を受章、2014年には松尾芸能賞大賞を受賞する。

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珠子 藤田弓子

1945年9月12日、東京都生まれ。1964年、文学座付属演劇研究に入る。1968年、NHK連続テレビ小説「あしたこそ」で初のヒロインを演じる。その他、「八日目の蝉」(10/NHK)、「相棒(Season11)」(12~13/ANB)、「三匹のおっさん ~正義の見方、見参!!~」(14/TX)などのTVドラマ、『泥の河』(81)、『水のないプール』(82)、『さびしんぼう』(85)、『魂萌え!』(06)、『幼獣マメシバ』(09)、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(10)などの映画に出演する。吹き替えやナレーションでも活躍している。

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師匠 小松政夫

1942年1月10日、福岡県生まれ。植木等の付き人を経て、TV歌謡バラエティ「シャボン玉ホリデー」(61~/NTV)でデビュー、その後、「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」(76~79/ANB)の伊東四朗とのコンビで一世を風靡する。俳優としても活躍、近年では『笑いの大学』(04)、『ひゃくはち』(08)、『20世紀少年〈第2章〉最後の希望』(08)、TVドラマ「相棒(Season9)」(10~11)、『TOKYOてやんでぃ The Story Teller’s Apprentice』(12)などに出演。2011年社団法人 日本喜劇人協会10代目会長に選出され、72歳になった今年、芸能生活51周年を迎え、「小松政夫一座」を旗揚げした。

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ユウタロウの父 石橋 凌

1956年7月20日、福岡県生まれ。ロックバンドA.R.Bのボーカルとして熱狂的に支持される中、82年に宇崎竜童監督作『さらば相棒』で映画デビュー。その後、松田優作監督・主演作『ア・ホーマンス』(86)でキネマ旬報ベスト・テン、くまもと映画祭の最優秀新人賞を受賞する。その後、『ヤクザVSマフィア』(94)でヴィゴ・モーテンセンと共演。96年にはショーン・ペン監督、ジャック・ニコルソン主演の『クロッシング・ガード』でハリウッドに進出し、アメリカの俳優ユニオン「スクリーン・アクターズ・ギルド」の会員証を取得。

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お夏 富司純子

1945年12月1日、和歌山県生まれ。初主演作『緋牡丹博徒』(68)が大ヒットし、シリーズ化されて一躍スターとなる。その後、司会業や休業期間を経て、『おもちゃ』(98)でアジア太平洋映画祭最優秀助演女優賞はじめ多数受賞。『フラガール』(06)でブルーリボン賞、日刊スポーツ映画大賞、東京スポーツ映画大賞などの助演女優賞に輝く。また、NHK連続テレビ小説「てっぱん」(10~11)でギャラクシー賞を受賞する。2007年、紫綬褒章を受章。2010年 日本放送協会 放送文化賞受賞。

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Staff スタッフ

監督/脚本 深川栄洋

1976年、千葉県生まれ。専門学校東京ビジュアルアーツの卒業制作『全力ボンバイエ!』(99)が、第2回水戸短編映像祭水戸市長賞などを受賞する。卒業後、『ジャイアントナキムシ』(99)と『自転車とハイヒール』(00)がPFFアワードで入選を果たし、注目される。
2004年、オムニバス映画『自転少年』で商業監督デビュー。同年、自身が設立した(有)ジャンピング・ニー製作の『紀雄の部屋』を監督する。2005年、初の劇場用長編映画監督作『狼少女』が、東京国際映画祭「ある視点部門」に選出される。続いて、フジテレビ製作の「アイランド タイムズ」で脚本・監督を担当し、高い評価を得る。
2007年、『真木栗ノ穴』が再び東京国際映画祭「ある視点部門」に正式出品される。2008年は『同級生』『体育館ベイビー』の2作品を監督する。
2009年、『60歳のラブレター』がスマッシュヒット。続く2010年には、『半分の月が上る空』を監督する。同年、『白夜行』が東京国際映画祭で特別招待上映される。また、ベルリン映画祭のパノラマ部門へも正式出品され、海外の映画関係者からも高く評価される。
2011年、『洋菓子店コアンドル』で、サンタ・バーバラ国際映画祭にてイースト・ミーツ・ウエスト賞を受賞。同年、櫻井翔、宮﨑あおい主演の『神様のカルテ』が、第1週目の興行収入ランキングで堂々第1位に輝き、2011年度の邦画では大ヒット作品となる。その後、『ガール』(12)、『くじけないで』(13)、大森南朋主演のTVドラマ「LINK」(13/WOWOW)、『神様のカルテ2』(14)などを監督する。

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原作 加納朋子

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主題歌 コブクロ

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Production Notes 製作日誌

今の時代にこそ、笑いと涙が同居した
爽やかな感動ドラマを

プロデューサーの石田雄治が、小説「ささら さや」を読んだのは、今から9年前になる。笑いの後にしんみりと泣けて、爽やかな語り口が逆に哀しさを誘う、一筋縄ではいかない物語に惚れ込んだ。だが、当時はストレートな感動作として作ろうとして試行錯誤した結果、映画化を諦めてしまった。しかし、ここ数年救いのない重苦しい映画ばかり作って来た石田は、そろそろ本作を改めてチャレンジしようと決意、2年前から再始動させた。
基本的には夫婦と親子の絆を描いたドラマだが、古き良き時代のホームドラマのような笑いと涙が同居した爽やかな感動作として、今のお客さんに楽しんでもらえればというのが製作陣の思いだ。また、脚本には時間をたっぷりかけて、小説にはない映画オリジナルの重要なエピソードが付け加えられた。そのおかげで映画は後半思いもかけない方向に進む。この予期せぬ展開がより一層人々の心を揺さぶり、観た後に深い余韻と感動を与えるであろう。

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不思議な物語を生かすために
リアルさを追求したキャラクター設定

監督に深川栄洋が決まり、彼と共同で山室有紀子が脚本を執筆することになり、まずはキャラクター像が固められた。物語は成仏できない夫が、いろいろな人に乗り移って妻を助けるという不思議な設定だ。観る人に普通なら起こり得ない出来事に感情移入してもらうには、その設定以外の部分はできる限りリアルにしなければならない。
サヤは、原作ではもっと控えめでか弱い女性だ。しかし、映画の主人公として前へ押し出したかったのと、現代という時代設定を考慮して、お人好しながらも芯の強い女性に変えた。
原作には全く描かれていないユウタロウと父親の関係性も、練りに練られた。なぜそこまでユウタロウが父親を拒絶するのか、誰もが納得のいく理由が必要だった。ユウタロウの誕生から絶縁に至るまでの親子の人生の歩みが、年表にして細かく作りこまれた。
さらに深川監督が、原作とは違う落語家という職業をユウタロウに与えた。誰にでも必ず訪れる死や別れに向き合った上で、それでも人生を爽やかな喜劇として描きたかったのだ。

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見たことのない意外性のある
夫婦役のキャスティング

不幸に見舞われて不安でいっぱいだったけれど、周りの人たちに助けられ成長していくうちに、心の中に眠っていた強さに目覚めていく──そんなサヤのキャラクターに一番ピッタリなのは誰か、製作陣全員の頭に真っ先に思い浮かんだのが、新垣結衣だった。年齢は若いのに芯の強さを感じ、明るさの中に独特の翳を持つ深みのある女優・新垣結衣。そんなサヤの分身のような彼女が母親役に初挑戦する姿を、多くの人が見たくなるはずだという確信もあった。
さらに誰もが思いつくようなありきたりのカップルではなく、意外性のある組み合せにしたいという発想から、夫役に名前が挙がったのが、大泉洋だった。また、落語家という職業も、ずっと以前から落語を愛好している彼のために用意されたような設定だ。彼らの初共演とは思えない夫婦の絶妙な掛け合いはきっと笑いと涙を誘うであろう。

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俳優の今までにない一面を求めた
キャスティング

正真正銘の大女優に出演してもらい、スクリーンを引き締めてもらいたい。同時に、その大女優に新たな挑戦をぶつけてみたいという理由から、お夏役は富司純子にオファーされた。富司はかつてない役柄に、深川監督との面談を希望した。お夏はユウタロウに乗り移られるのだが、そのシーンはどんな演出になるのか。監督から明確な制作意図と演出プランを聞いた富司は、その場で快諾する。
三婆の二人は、必然的に富司と同世代の女優となり、波乃久里子と藤田弓子に依頼されたが、偶然にも全く同じ歳で、まさに同級生となった。
ユウタロウの父親役には、コワモテを演じてきた人ほど、感情が崩れる時の落差が面白いはずだと考えて石橋凌に依頼。石橋は脚本は面白いが、自分が今まで出演した映画の世界観とは違うので、果たして役になりきれるかどうか迷いがあったという。プロデューサーは、最後に親子の絆の真実を紐解く重要な人物を、石橋に演じてほしいという監督の想いを伝えた。
落語家の師匠に扮するのは、そこにいるだけで、笑いのセンスが滲み出て来るような人物でなければならない。監督のたっての希望で、小松政夫に決まった。

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“乗り移られた”演技の
秘密の舞台裏

ユウタロウに乗り移られたシーンは、どうなるのか? 編集の段階で別撮りした大泉洋の声に変えるというのが、誰もが思いつく演出だろう。ところが答えは、「全員がすべて自分で演じる」だった。舞台裏を明かすと、まず大泉洋自身が乗り移られた人たちのシーンをすべて演じ、それをDVDに録画する。乗り移られる俳優たちは、それを見ながら練習するのだ。何度も繰り返し見たという中村蒼は、「世界中で一番大泉さんのことを見ているのは、この僕です」と語っている。
子役の寺田心が、いきなり江戸っ子口調で話し出したり、あの富司純子が、お茶漬けをかきこんであごにご飯粒をつけたり、寝っ転がって足をバタバタさせたり──ユウタロウが透けて見える彼らの姿を、観客もサヤと一緒に大笑いしながら見ているうちに、やがて切なくなるというのが深川監督の意図だ。

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天才俳優の赤ちゃんと、
母親としての役作り

赤ちゃんと動物がいたら、撮影スケジュールはメチャクチャになる、それが映画界の常識だ。ところが、本作の赤ちゃんたちは、常識を覆す天才俳優たちだった! 泣きやんでほしいタイミングで泣きやみ、笑ってほしい時に最高の笑顔を見せてくれる。緊張感あふれるシーンだけは、それが伝わるのか泣いてしまったが、スケジュールを遅らせるようなことは一度もなかった。
赤ん坊を抱くのが意外に難しいことは、多くの方がご存知だろう。新垣結衣は親戚の赤ちゃんに普段から接していたので、何の問題もなかった。さらに新垣は、4カ月くらいの赤ちゃんがいる女性の胸の重さに合わせて作られた、特殊な型を付けて演じている。自身の経験と役作りから、母親としての自然な立ち居振る舞いが生まれたのだ。
天気も良く、赤ちゃんと年配のキャストに配慮して、朝9時で始まり夕方6時に終わるという日程も変わらなかった。深川監督はキャストに優しく丁寧に接することで知られ、現場の雰囲気は和やかだった。撮影終了後、俳優たちは口々に「楽しかった」「いい時間だった」と告げた。大泉洋だけは一人のシーンが多く、「僕だけ23時入りとかありましたよね」と嘆いていたが……。

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不思議な町ささらを
撮影方法や美術で表現

ミニチュアのような風景が度々挿入されるが、カメラにシフトレンズを付けて実景を撮影すると、このような効果が現れる。イタリアの著名な写真家オリボ・バルビエリで知られる手法で、画面の手前と奥がぼかされて人や建物が小さく見える。俯瞰で撮影すると、より効果がハッキリする。監督は最初のロケハンの時から、この撮影方法を決めていた。ささらを不思議な町として表現するためだ。ロケ地の秩父の実景は、主に空撮用のマルチコプターで撮影された。リモコンヘリにカメラが搭載されていて、目視できるところなら、どこでも飛ばすことができる。
不思議なささらの町の象徴として監督がこだわったのは、至るところにある稲荷大明神の赤い幟だ。ユウタロウが人に乗り移ったり、何か不思議なことが起きると、幟がパタパタとはためく。幟がたくさんある小道を抜けると、サヤがお参りしている稲荷神社の祠に辿り着く。ここが、ささらの町の言わばパワースポットだ。サヤが叔母から遺された家、庭と玄関周り、隣の珠子の家は、日活撮影所にセットが作られた。小道具でこだわったのは、やはり乳母車。原作と同じく、今はほとんど見られない大きな昔の乳母車だ。装飾部が既存品を古く見えるように作り変えた。

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コブクロが歌う愛する妻への
最後のメッセージ

エンディングに使う主題歌には、人気アーティストのコブクロが起用された。最後は大団円で明るく終わる作品なので、彼らが得意とするポップでミディアムテンポなバラードがピッタリ。プロデューサーは、観客の皆さんへと前置きして、こう語っている。
「爽やかだけど切ないメロディと、天国へ先立つ男が愛する妻に送る最後のメッセージをイメージした詞があまりにも素晴らしいので、ラストにもう一度感動を呼び、深い余韻を残してくれるでしょう。ですから、是非エンドクレジットが終わるまで、席を立たないでください。曲が流れている間も曲が終わった後も最後までドラマは続きます。」

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Sasara Town ささら町紹介

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原作紹介

文庫版

ささら さや

突然の事故で夫を失ったサヤ。しかし、奇妙な事件が起きる度、サヤと赤ん坊のユウ坊を、亡き夫が他人の姿を借りて助けてくれる。ゴーストになった夫と残された妻サヤの、切なく愛しい日々を描く連作ミステリ小説。

幻冬舎文庫 定価(本体571円+税)

加納朋子 プロフィール & コメント

1966年福岡県生まれ。92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。95年に「ガラスの麒麟」で第48回日本推理作家協会賞(短編及び連作短編集部門)を受賞。著書に『ささら さや』『てるてるあした』『はるひのの、はる』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』などがある。

映画化について

『ささらさや』を出版していただいたのはもう十三年も前のこと、第一話を書き始めたのはさらにその三年前、と私の中では既に懐かしく、そして大切な作品となっています。
そんな『ささらさや』の映画化が、現実味を帯びてきたのは昨年のこと、正直言って嬉しいというよりも、「本当に?」と疑う気持ちと、「大丈夫?」という不安な思いが圧倒的でした。だってだって、幽霊が出てくるといってもちっとも怖くなくて、とてもささやかな、もしかしたら地味だと思われるかもしれない物語ですよ?
実際完成した作品を観てみて、私の心配は本当に無用のものだったと知りました。なんだこの、切なくって笑えてちょっぴり泣ける素敵なお話は。
本を世に出してから後、本作は最良の時、最良の人々に恵まれ、こんなに素敵な映画となりました。立派に成人した我が子を人様に紹介するように、私は少し照れながらこう申しましょう。
「ぜひ、ご覧になってみて下さい」と。

クランクアップ
コメント

新垣結衣

今回初めての母親役ということで新たな挑戦にドキドキしていますが、サヤと共に成長できる機会をいただけた事を嬉しく思います。大泉さんは、伝えたいことをとても良く汲み取ってくださる方でとても頼りにさせていただいています。合間もお芝居のアイデアも面白くて楽しく撮影しています。
壮大壮絶ではありませんが、愛情溢れたとても可愛らしいストーリーで見終わった後になんだか心があたたかくなる素敵な映画になるように精一杯頑張りたいと思います。

大泉 洋

信頼する深川監督のもとで私が幼少から憧れていた、落語家の役を演じさせて貰えるのが大変光栄です。そして今回はあの新垣結衣さんの夫役という、男性なら誰もが羨む大役をいただき、この上ない喜びを感じております。新垣さんとは初共演ですが、とても落ち着いている大人な女性という印象です。そしてこちらが困るくらいに真っすぐな眼差しを向けてくれる美しい方です。この映画は笑える展開の中に一瞬の切なさが入り交じる、素敵な作品です。無理に泣かせようという演出は全くありませんが、気がつけば涙が出てるような映画だと思います。最高の作品にするべく、全力で頑張っていきます。

監督 深川栄洋

小説「ささら さや」と出会い、プロデューサーと映画にしようと始めたのは5年前の秋。
歳月をかけた映画の制作がとうとう始まりました。大胆な変化を良しとしてくださった加納先生の想いを背負い、企画に集まってくれた仲間と私たちらしい映画にしたいと思います。新垣さん、大泉さん、その他の出演者に、これまでと違う光をあてて作られる『トワイライト ささらさや』にどうぞご期待下さい。

主題歌情報

kobukuro

主題歌:コブクロ

プロフィール & コメント

小渕健太郎は1977年3月13日生まれ。宮崎県出身。黒田俊介は1977年3月18日生まれ。大阪府出身。共にそれぞれ単独でストリート・ライブをやっていた二人は、1998年9月に「コブクロ」を結成。インディーズ時代から幅広い世代の支持を集め、2001年3月、ワーナーミュージック・ジャパンより「YELL?エール?/Bell」でメジャーデビュー。2005年5月、日本テレビ系ドラマ「瑠璃の島」の主題歌として発売された「ここにしか咲かない花」、同年11月に発売した「桜」が共に大ヒットを記録。同年12月発売のアルバム「NAMELESS WORLD」はオリコン初登場1位、100万枚突破を記録。年末のNHK紅白歌合戦にも初出場を果たした。2006年9月には初のベスト・アルバム「ALL SINGLES BEST」をリリースし、オリコン4週連続1位を獲得。350万枚を売り上げる。2007年3月にはフジテレビ系ドラマ「東京タワー ?オカンとボクと、時々、オトン?」の主題歌「蕾(つぼみ)」がリリースされた。「蕾(つぼみ)」は第49回日本レコード大賞を受賞。2010年、初のカバーアルバム「ALL COVERS BEST」を40万枚限定で販売し、即完。フジテレビドラマ「流れ星」主題歌のシングル「流星」発売。2011年8月末に休養を発表。2012年7月に復活宣言。「ALL SINGLES BEST 2」をリリースし100万枚を突破。9月には、大阪の万博公園にて5万人を動員してフリーライブを実施。2013年、2年ぶりのツアー「KOBUKURO LIVE TOUR 2013 One Song From Two Hearts supported by glico」にて、7月20日、21日、初のドーム公演となる京セラドーム大阪でのライブを実施。7月24日(水)、ダブルAサイド・シングル「One Song From Two Hearts/ダイヤモンド」をリリース。「ダイヤモンド」は、2013 ABC夏の高校野球応援ソング。12月18日(水)に4年4か月ぶりとなるオリジナルアルバム「One Song From Two Hearts」をリリース。2014年 NHKソチオリンピック・パラリンピック放送 テーマソング「今、咲き誇る花たちよ」を2月にシングルリカットリリース。同年5月17日より全国TOUR「KOBUKURO LIVE TOUR2014 “陽だまりの道”」敢行。6月4日(水)にはシングル「陽だまりの道」をリリース。2014年の第4回大阪マラソンテーマソング「42.195km」を担当。11月8日(土)公開映画『トワイライト ささらさや』主題歌「Twilight」を発表。

コメント

「Twilight」は、映画「トワイライト ?ささらさや?」の原作を読んで書き下ろした、ラブソングです。

大泉洋さん演じる男性の目線からの歌詞で、新垣結衣さん演じる女性への「離れてからの心配事」を綴り、二人の間にある強い絆を、 カジュアルかつリアルに描きました。

恋愛において、一度好きになった人とは、たとえどんなサヨナラをしても、いつまでも相手の事が心配だったり気になったりするものです。好きなまま離れ離れになった場合はもちろん、嫌いになって別れてしまった場合でも、相手の事を完全に忘れ去る事などきっと無理でしょう。

この物語のように、愛し合ったまま一人だけが天国に行ってしまうような場合、残された側の悲しみや不安も計り知れませんが、天国からその人を想いながら抱く心配な気持ちもきっと大きいと思います。

傘や洋服など身の回りの物には、一緒に過ごした頃の想い出が沢山浸み込んでいます。そこにはまだ魂が宿っている気がして、捨てるに捨てられないものにこそ残った記憶の中で、一瞬でもいいからもう一度会いたい、守りたいと想う気持ちこそ、愛でしょう。

そんな切ない気持ちをこの映画と共に感じてもらえたら嬉しいです。

コブクロ

「Twilight」楽曲歌詞

作詞・作曲 小渕健太郎

離れ離れになってからの方が ずっと君をそばに強く感じてる
君の事考えずに過ぎた日など 思い出せない
心配かけるのが 君の何よりの得意技で
安心させ なだめるのが 僕の返し技だった

傘の左端に寄る癖が治らない君は
左肩の鞄がいつもびしょ濡れで
今もまだ 右側を空けてしまう訳は
きっと 君も気付いてる

そこに いつでも僕がいる事 想い出と手を繋いで
僕の居ない道を 君が真っ直ぐ歩けるなら
何処にも還らない その心の中に居るよ

やたら派手な色のこのTシャツは ノリで二つ揃いを買ったんだ
一つずつじゃ成り立たない物が 幾つも残ってる
二度と袖は通さなくても あの日 笑い転げた夏の日を
大切に畳んで また しまってる

風邪ひき屋の君が弱る 冬が近づいてる
何もしてあげられないけど
僕から奪い取った あのジャンパーなら凌げる
どんな寒さも

そこに 消えない愛があること 温もりに肩埋めて
雪が包む夜を 君が真っ直ぐ歩けるなら
誰にも溶かせない その心の中に居るよ

サヨナラが来たあの日の 一秒前に戻して
その背中抱き寄せ 僕に何が出来るだろう?
雨降る傘の右側 思い出と手をつないで
一人きりの道を 僕は真っ直ぐ歩けるかな?
誰にも似合わない この心と同じ色の
君の心 抱きしめて

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