イントロダクション

日本中を夢と感動で包み込んだあの国民的コミックの、まだ描かれていない《本当の始まり》。「約束だ。俺らは二人で宇宙飛行士になる。」幼い頃に誓った宇宙飛行士への夢 ― 兄弟揃って月に立つために、兄・南波六太と弟・日々人は、幾多の苦難を乗り越え、果てしない夢に一歩ずつ近づいていく。2008年に雑誌モーニングで連載開始されたコミック「宇宙兄弟」。その巧みな物語構成に、私たちは興奮し、涙した。単行本は1400万部を突破し、2012年のテレビアニメ化および実写映画化を経て、全世代注目の国民的作品となった。そして2014年夏、その夢の原点が、原作者・小山宙哉オリジナル脚本によってシリーズ初のアニメーション映画となる。これは、原作でもテレビアニメでも見ることができない、宇宙兄弟第0話である。

宇宙兄弟第0話は“さよなら”と“勇気”の物語。ふたりが宇宙を目指す、本当の理由とは?南波兄弟よりも先に兄弟で月に立つことを夢見た、もうひとつの“宇宙兄弟”がいた ― ブライアン・ジェイとエディ・ジェイのジェイ兄弟である。しかしブライアンは、自らのバックアップクルーである日々人にメッセージを残し、この世を去ってしまう。彼の死がもたらしたもの、それはやがて六太と日々人の夢を、不屈の使命へと鍛え上げてゆく。すべての人に起こりうる人生の壁 ― 大切な人を失ったとき、人はどうやって立ち直るのか。仲間たちはどうやって支えればよいのか。宇宙兄弟第0話は、“さよなら”と“勇気”を描く物語である。