ハリウッドで引く手あまたの俳優のひとりである。2012年、全米興行収益歴代第4位となった、マーベル・コミックに基づく『アベンジャーズ』で、ロバート・ダウニー・Jr.、サミュエル・L・ジャクソン、スカーレット・ヨハンソンら豪華キャスト陣と共演した。また同年、公開週末の興収が1位に躍り出た『スノーホワイト』(12)にも出演。16年に、続編『The Huntsman Winter's War』(シャーリーズ・セロン、ジェシカ・チャステイン、エミリー・ブラント共演)でタイトルロールを演じる。ケネス・ブラナー監督の11年のヒット作『マイティ・ソー』に、ハンマーを手にしたスーパーヒーロー、ソー役で登場。その後、続編『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(13)でもソーを再演した。また、本作の監督であるロン・ハワードとは、F1ドライバーのジェームズ・ハントを演じた『ラッシュ/プライドと友情』(13)でもチームを組んだ。近作に、世界中を席巻した「アベンジャーズ」シリーズ第2弾『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(15)がある。
オーストラリアで生まれ育った。J・J・エイブラムス監督の『スター・トレック』(09)で、重要な役ジョージ・カークを演じ、米国映画界にデビュー。ほかの出演作に、ジョス・ウェドン脚本の『キャビン』(12)、『若き勇者たち』(84)のリメイク版『レッド・ドーン』(12)、コメディ『お!バカんす家族』(15)、マイケル・マン監督の『ブラックハット』(15)などがある。オーストラリア児童基金の支援など、さまざまなチャリティー活動をおこなっている。
2004年、名門ジュリアード学院演劇科を卒業。07年、リバイバル作品「風の遺産」(クリストファー・プラマー、ブライアン・デネヒー共演)で被告人バートラム・ケイツを演じ、ブロードウェイデビューを飾った。満員御礼の10週連続公演がおこなわれた同作は、トニー賞4部門にノミネートされた。翌08年、ランドアバウト・シアター・カンパニーのトニー賞ノミネート作品「危険な関係」でローラ・リニーと共演した。
ロサンゼルスのカーク・ダグラス・シアターでワールドプレミア公演がおこなわれたミュージカル「Bloody Bloody Andrew Jackson」で、主人公のアンドリュー・ジャクソンを演じた。その後、初のオフブロードウェイ公演となるニューヨークのパブリック・シアター、そしてブロードウェイの舞台で同じ役を再演した。近作には、ブリック役でスカーレット・ヨハンソンと共演したブロードウェイ・リバイバル作品「熱いトタン屋根の猫」(テネシー・ウィリアムズ作)がある。
ビル・コンドン監督の高い評価を受けた伝記『愛についてのキンゼイ・レポート』(04/リーアム・ニーソン、ローラ・リニー共演)で長編映画デビューを飾った。さらに初期のころの出演作に、『ベティ・ペイジ』(05)、硫黄島に星条旗を揚げる兵士たちの象徴的な写真に写っているハーロン・ブロックを演じた、第二次世界大戦を描いたドラマ『父親たちの星条旗』(06/クリント・イーストウッド監督)がある。
ほかの出演作に、『The War Boys』(09)、リンカーンを演じた『リンカーン/秘密の書』(12)、モハメド・アリが良心的兵役拒否者であると認定されるに至った法的文書を記録した最高裁判所の事務官ケビン・コナリーを演じた、『Muhammad Ali's Greatest Fight』(13/スティーブン・フリアーズ監督)などがある。
さらに、インディペンデント映画『The Moon and the Sun』(ウィリアム・ハート、ピアース・ブロスナン共演)、『Look Away』(クロエ・セビニー、マシュー・ブロデリック共演)、『The Choice』(テレーサ・パーマー共演)など多くの待機作が控えている。
TVドラマや、ロンドン、ニューヨークをはじめ世界中の舞台での活躍に加え、大手スタジオ系のヒット作と賞受賞インディペンデント映画の両方に出演。BBC2放送の高い評価を得たドラマシリーズ「ピーキー・ブラインダーズ」(スティーブン・ナイト企画)の第1~第2シーズンの12エピソード(13~14)に出演。現在、第3シーズンを製作中である。米国ではネットフリックスで視聴できる。同ドラマの撮影がオフの間に、犯罪ドラマ『Free Fire』(ベン・ウィートリー監督)と第二次世界大戦を舞台にしたサスペンス『Anthropoid』(ショーン・エリス監督)の撮影を終えた。
ダニー・ボイル監督の『28日後...』(02)で、無気力な生存者ジム役を演じ、国際的に注目を集めた。2005年、クリストファー・ノーラン監督の『バットマン ビギンズ』でジョナサン・クレイン博士(通称スケアクロウ)を演じて強烈な印象を残し、ロンドン映画批評家協会賞にノミネートされた。その後、ノーラン監督の大ヒット作『ダークナイト』(08)と『ダークナイト ライジング』(12)でも同役を演じた。また、高い評価を得たヒット作『インセプション』(10)でも同監督とタッグを組み、億万長者の法定相続人役を演じた。
ニール・ジョーダン監督の『プルートで朝食を』(05)では、性同一性障害の落ちこぼれパトリック・“キトゥン”・ブレイデン役を演じ、ゴールデングローブ賞にノミネートされた。その後、ケン・ローチ監督の06年度カンヌ国際映画祭パルムドール賞受賞作『麦の穂をゆらす風』とダニー・ボイル監督と再タッグを組んだ07年のSFサスペンス『サンシャイン2057』で2年連続して英インディペンデント映画賞最優秀男優賞部門にノミネートされた。さらに、『ブロークン』(12・未)は、同賞最優秀作品賞を受賞し、自身も最優秀助演男優賞部門で同賞に3度目のノミネートを果たした。この作品は、12年度カンヌ国際映画祭国際批評家週間でプレミア上映された。
そのほか、『オン・エッジ 19歳のカルテ』(01・未/ジョン・カーニー監督)、『ダブリン上等!』(03/ジョン・クローリー監督)、『真珠の耳飾りの少女』(03/ピーター・ウェーバー監督)、『コールド マウンテン』(03/アンソニー・ミンゲラ監督)、サスペンス『パニック・フライト』(05・未/ウェス・クレイブン監督)、『Perrier's Bounty』(09)、『TIME/タイム』(11/アンドリュー・ニコル監督)、『レッド・ライト』(12/ロドリゴ・コルテス監督)、『Aloft』(14/クラウディア・リョサ監督)など、幅広いジャンルの作品に出演している。
また、定期的に舞台に出演しており、アイルランドの脚本家エンダ・ウォルシュとたびたびコラボレートしている。最近では、ウォルシュの戯曲「Ballyturk」のワールドプレミア公演に出演。同作は、ゴールウェイ国際芸術祭で上演されたのち、ロンドンのナショナル・シアターで上演された。
ウォルシュ作「Disco Pigs」で見事な演技を披露し、頭角を現した。96年度ダブリン演劇祭のフリンジショーと97年度エジンバラ演劇祭のフリンジファースト部門で絶賛された同作は、広く、アイルランド、イギリス、カナダ、オーストラリアにツアーを敢行。のちに、カーステン・シェリダンが監督した映画版にも出演した。その後、ゴールウェイ国際芸術祭で上演されたウォルシュ作「Misterman」のオリジナル作品で、アイリッシュ・タイムズ賞最優秀男優賞を受賞した。また、ブルックリンのセント・アンズ・ウェアハウスで上演された同作では、12年度ドラマ・デスク賞最優秀ソロ演技賞を受賞。そののち、同作のナショナル・シアター公演にも出演した。
06年、ジョン・コルベンバック作、ジョン・クローリー演出の「ラブ・ソング」でウエストエンド・デビューを飾った。トニー賞受賞歴をもつ演出家ギャリー・ハインズとは「The Country Boy」「ジュノーと孔雀」、ダブリンのゲイエティ・シアターで上演された「西国の伊達男」などの作品で何度もコラボレートしている。また、エジンバラ演劇祭で上演された「かもめ」、ダブリンのゲートシアターで上演されたニール・ラビュート作「The Shape of Things」、キルケニー城で上演された「恋のから騒ぎ」にも出演した。
ヒット作「ジェームズ・ボンド」シリーズ『007 スカイフォール』(12)で、英国諜報機関MI6の天才コンピューターおたくQ役を演じた。同シリーズ最新作『007 スペクター』(15)でもQ役でボンド役のダニエル・クレイグと共演している。ほかの近作には、『Suffragette』(15/キャリー・マリガン、メリル・ストリープ共演)、カンヌ国際映画祭でプレミア上映されて好評を博した『The Lobster』(15)、『リリーのすべて』(15/エディ・レッドメイン共演)などがある。
舞台と映画の両方でさまざまな賞を受賞している。絶賛を浴びた『アイム・ノット・ゼア』(07/ケイト・ブランシェット、クリスチャン・ベイル、リチャード・ギア、ヒース・レジャー共演)で、インディペンデント・スピリット賞の栄えあるロバート・アルトマン賞をトッド・ヘインズ監督や共演者たちと分かち合った。キャリア初期のころ、『My Brother Tom』(01)で英インディペンデント映画賞を受賞し、数々の映画祭でも賞に輝いた。
これまでに、トム・ティクバ監督とは、主役のジャン=バティスト・グルヌイユを演じた『パフューム ある人殺しの物語』(06)を皮切りに、アクションサスペンス『ザ・バンク 堕ちた巨像』(09)、ティクバとウォシャウスキー兄弟との共同監督作『クラウド アトラス』(12)でコラボレートしている。このほか、ロジャー・ミッシェル監督の『Jの悲劇』(04)、マシュー・ボーン監督の『レイヤー・ケーキ』(04)、キース・リチャーズを演じた『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』(05)、ジュリアン・ジャロルド監督の『情愛と友情』(08・未)、ジェーン・カンピオン監督の『ブライト・スター ~いちばん美しい恋の詩(うた)~』(09)、ジュリー・テイモア監督の『テンペスト』(10)などに出演。また、『パディントン』(14)では、パディントンの声を演じた。
TVでは、BBC放送のシリーズ「Criminal Justice」の第1シーズンの全5エピソード(08)に出演し、国際エミー賞と英国王立TV協会賞の最優秀男優賞を受賞し、英アカデミーTV(BAFTA TV)賞最優秀男優賞にノミネートされた。近年では、「The Hollow Crown」の1エピソード(12)でリチャード二世を演じ、BAFTA TV賞最優秀男優賞に輝いた。ほかの出演作に、TV映画「The Booze Cruise」(03)、ドラマシリーズ「Nathan Barley」の6エピソード(05)、「THE HOUR 裏切りのニュース」の第1~第2シーズンの12エピソード(11~12)、「London Spy」の5エピソード(15)などがある。
舞台では、オールド・ビックで上演されたトレバー・ナン演出の鮮烈な若者版「ハムレット」でハムレットを演じ、オリビエ賞にノミネートされた。また、ナショナル・シアターで上演された出演作には、フィリップ・プルマン原作の舞台版「ライラの冒険」、ケイティ・ミッチェル演出の06年の「かもめ」(チェーホフ作)、主役を務めた08年の「白痴」などがある。このほか、ウエストエンドでは、「Cock」、ジュディ・デンチ共演の「Peter and Alice」(ジョン・ローガン作)、「Mojo」(ジェズ・バターワース作)などに出演した。最近、「バッコスの信女」のアルメイダ・シアター公演が千秋楽を迎えた。
英国ハートフォードシャー州出身。03年、英国王立演劇アカデミーを卒業。
最近、アクションアドベンチャー『Captain America: Civil War』の撮影を終えた。2016年春に公開予定の同作で、ピーター・パーカー/スパイダーマンを演じている。さらに待機作に、『The Lost City of Z』(チャーリー・ハナム、シエナ・ミラー、ロバート・パティンソン共演)、インディペンデント映画『Pilgrimage』と『Backcountry』などがある。
高い評価を受けた実話ドラマ『インポッシブル』(12/ナオミ・ワッツ共演)で、華々しく映画デビューした。同作で、04年の壊滅的な津波から生き残った少年を演じ、ロンドン映画批評家協会賞、全米映画批評会議賞、エンパイア賞をはじめ、数多くの栄誉に浴した。その後、『わたしは生きていける』(13)に出演。
俳優に加え、ダンサーとしても活躍。ヒットミュージカル「ビリー・エリオット ミュージカルライブ/リトル・ダンサー」のステージに立ち、有名になった。08年6月、ビリーの親友マイケル役でウエストエンド・デビューを飾り、同年9月に主人公のビリー役を射止めた。ふたりの若手俳優が交替で主役を演じていたが、10年3月、同ミュージカル5周年記念公演ではビリーを演じた。10年3月、同ミュージカルを卒業した。
2014年度サンダンス映画祭でプレミア上映された、ジョン・マイケル・マクドナー監督の『ある神父の希望と絶望の7日間』(未)でジェイムズ神父を演じ、英インディペンデント映画賞最優秀男優賞に輝いた。また、マクドナー監督/脚本の『ザ・ガード ~西部の相棒~』(11・未)では、ゴールデングローブ賞、イブニング・スタンダード賞、ロンドン映画批評家協会賞にノミネートされた。さらに、サラ・ガブロン監督の『Suffragette』(15/メリル・ストリープ、キャリー・マリガン共演)で、英インディペンデント映画賞最優秀助演男優賞にノミネートされた。待機作には、『Trespass Against Us』(マイケル・ファスベンダー共演)、『Alone in Berlin』(エマ・トンプソン共演)、『Assassin's Creed』(ファスベンダー、マリオン・コティヤール共演)がある。
「ハリー・ポッター」シリーズの『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(07)、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』(10)で演じたアラスター・“マッドアイ”・ムーディ役で、世界中の観客に知られている。
ジム・シェリダン監督の『ザ・フィールド』(90・未)で映画デビューを果たし、続いてマイク・ニューウェル監督の『白馬の伝説』(92)とロン・ハワード監督の『遥かなる大地へ』(92)で小さな役を得たのち、米アカデミー賞最優秀作品賞を受賞したメル・ギブソン監督/製作/主演の『ブレイブハート』(95)の演技で初めて注目された。次に、ニール・ジョーダン監督の『マイケル・コリンズ』(96)や『ブッチャー・ボーイ』(98・未)、そしてジョン・ブアマンが製作総指揮を務めたインディペンデント映画『Angela Mooney』(96)に出演した。
98年、ブアマン監督による伝記『ジェネラル 天国は血の匂い』(98・未)で、アイルランドの実在のヒーロー、マーティン・カヒル役に抜擢される。その演技で、ロンドン映画批評家協会賞最優秀男優賞など多くの演技賞を獲得した。それ以来、ジョン・ブアマンとは、『テイラー・オブ・パナマ』(01)、『イン・マイ・カントリー』(04・未)、『The Tiger's Tail』(06)でもチームを組んでいる。
マーティン・マクドナー監督の『ヒットマンズ・レクイエム』(08・未)で、ゴールデングローブ賞、英アカデミー(BAFTA)賞、英インディペンデント映画賞にノミネートされた。また、HBO放送のTV映画「チャーチル 第二次大戦の嵐」(09)ではウィンストン・チャーチルを演じ、エミー賞を受賞し、ゴールデングローブ賞にノミネートされた。
ほかに、ジョン・ウー監督の『M:I-2』(00)、『戦場のジャーナリスト』(00・未)、『Wild About Harry』(00)、スティーブン・スピルバーグ監督の『A.I.』(01)、マーティン・スコセッシ監督の『ギャング・オブ・ニューヨーク』(02)、ダニー・ボイル監督の『28日後...』(02)、アンソニー・ミンゲラ監督の『コールド マウンテン』(03)、ウォルフガング・ペーターゼン監督の『トロイ』(04)、M・ナイト・シャマラン監督の『ヴィレッジ』(04)、リドリー・スコット監督の『キングダム・オブ・ヘブン』(05)、ニール・ジョーダン監督の『プルートで朝食を』(05)、ロバート・ゼメキス監督の『ベオウルフ/呪われし勇者』(07)、『Perrier's Bounty』(09)、ポール・グリーングラス監督の『グリーン・ゾーン』(10)、『アルバート氏の人生』『The Cup』(共に11)、『デンジャラス・ラン』『推理作家ポー 最期の5日間』(共に12)、タグ・ライマン監督の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)などがある。また、アニメ『The Pirates! Band of Misfits』(12)、『スマーフ2 アイドル救出大作戦!』(13)では声の出演をしている。
アイルランド生まれ。教師の職に就いたが、演技キャリアを求めてその職を辞し、アイルランドのシアター・カンパニー、パッション・マシンに参加した。舞台作品には、「King of the Castle」「The Plough and the Stars」「Prayers of Sherkin」「桜の園」「ジュノーと孔雀」「On Such As We」などがある。