夢枕獏さんの「陰陽師」が大好きで、発表当初、資料が沢山残っている安倍晴明と違い、あまり資料の無かった源博雅を国立国会図書館に調べに行き、獏さんや漫画を描いていた岡野玲子さんに送っていました。「映像化するなら是非脚本・監督を」という願いを、長い年月を経てやっと叶えることが出来ました。この映画の為に乗馬、装束の着付け、ナチュラルガーデニングなどを習って準備をしてきました。呪術監修に呪術界の第一人者・加門七海さんをお迎えするのも念願でした。ようやく『陰陽師0』として、完成させて皆さんにお見せできることをとても光栄に思っています。夢枕獏さんの「陰陽師」の呪と呪術の世界を楽しんで頂けたら幸いです。
PROFILE
1964年生まれ。岩手県出身。ロンドン・インターナショナル・フィルム・スクールにて映画制作を学ぶ。監督作品に、『ヴァージニア』(93)、『エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS』(95)、『K-20
怪人二十面相・伝』(08)、『アンフェア the answer』(11)、『アンフェア the end』(15)など。「恋におちたら〜僕の成功の秘密〜」(05)、「アンフェア」(06)、『SPACE BATTLESHIP
ヤマト』(10)、「独身貴族」(13)、「ハイエナ」(23)などの脚本も執筆。
原作者として、実にありがたい映像化となりました。『陰陽師0』は心の底から、本当に感動した、と言える作品でした。佐藤嗣麻子監督とスタッフの皆さんが心血を注ぐ姿を見て感じていたのは、新しい安倍晴明が誕生するんだなということでした。晴明が晴明たる世界観、“呪”の表現、呪術の演出、すべてが素晴らしくきちんとしていながら、珠玉の青春物語でもあり、晴明と博雅の関係性には本当に落涙してしまいました。ご覧いただければ二人の関係はここから出来上がったのかとわかると思います。陰陽師ファンの皆様も、どれだけ楽しみにしていただいても大丈夫です。ぜひご期待ください。
PROFILE
1951年生まれ。神奈川県出身。77年、「カエルの死」で作家デビュー。「キマイラ・吼」シリーズ(82〜)、「サイコダイバー」シリーズ(84〜)、「餓狼伝」シリーズ(85〜)など人気シリーズ多数。86年、「オール讀物」9月号に短編小説「陰陽師」を発表。幅広いジャンルでメディア化、現在も続く大人気シリーズである。その他、「上弦の月を喰べる獅子」(89)、「神々の山嶺」(97)、「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」(04)、「大江戸釣客伝」(11)など著書多数。2018年、紫綬褒章受章。
『陰陽師0』は安倍晴明の活躍を描いた一級のエンターテイメントですが、呪術とは何か、人の世にどう働きかけるものなのかを描いた作品でもあります。ここまで正面から呪術と向き合った映画は、日本では初めてでしょう。呪術にご興味のある方ほど興奮できるのではないでしょうか。事実、私は興奮しました。綿密に構成された美しい映像には隙が無く、画面の端々に様々な仕掛や記号が施されています。何度でも見返して、佐藤監督が築いた世界の仕掛を解き明かしてみてください。
PROFILE
東京都出身。美術館学芸員を経て、1992年、「人丸調伏令」で小説家デビュー。少年・安倍晴明を主人公にしたオカルトファンタジー「晴明。」シリーズ(95、96)のほか、「203号室」(04)、「祝山」(07)、「目囊」(16)などの小説、「大江戸魔方陣
徳川三百年を護った風水の謎」(94)、「「怖い」が、好き!」(10)、「お咒い日和 その解説と実際」(17)、「呪術の日本史」(21)など呪術にまつわるエッセイやノンフィクションなどを多数執筆している。