1/31(金)公開御礼舞台挨拶レポート「みんな、この映画をもう一回見よう!」
公開御礼舞台挨拶が1月31日(金)に都内劇場で開催され、主演の菅田将暉さん、岸善幸監督が上映後の舞台挨拶に登壇しました!
映画を見終えたばかりの観客との質疑応答となった本イベントでは、質問を募ると客席のあちこちから即座に手が上がりました。
最初の質問は高校3年生の女性。劇中では、菅田さん演じる主人公・晋作が、コロナ禍でのリモートワークを機に、南三陸にお試し移住をするが、質問に立った女性はコロナ禍での学校生活で、体育祭や文化祭など様々な機会を奪われてしまったという。そんな彼女を含む10代に向けて、この映画を通じてのメッセージを求められた菅田さんは「僕がこの映画の好きなところは、ラストのまとまり方、向き合い方なんです。見ていただいてわかるように、全員がワガママで、協調性ゼロの人たちの映画です(笑)。だからこそ、共存できているというか。(菅田演じる)西尾は好きなこともあるけど、生きていかなきゃいけないから仕事もやっていて、でもそれだけじゃ満足できない中でコロナ禍になってしまって『いまなら逆に好きなことを両立できるかも』と急に(南三陸の)家に行って、迷惑をかけつつ、『好きだから』という思いで暮らし始めるわけですよね」「そこで地元のみなさんとのセッションがあって、最終的に百香さん(井上真央)の家のお話になって、ああいう形での“ゴール”というのは、それぞれが自分の思いを具現化した結果、好き勝手やった結果で『こんな家族の形になりました』という、その生き方が僕はすごく好きです。もちろん協調性、『みんなで共存していきましょう』というのは大事なんですけど、その前に自分を大事にする、もうちょっとワガママになってもいいんじゃないかなと、この映画を見て思いました」と自身が本作から受け取ったメッセージを語り、将来は「カメラマンになりたい」という夢を語った質問者の10代の女性に向けて「いま一番ワガママをやっていい時期だと思うし、(間違ったことをしたら)きっと誰かが怒ってくれるので。我を磨いてほしいです」とエールを贈りました。
岸監督は「コロナ禍でいろんなことを制限されて、良い点があったとすれば、自分を見つめ直すというタイミングが持てたことで、あれがなかったら、この作品はできなかったと思います」と述懐。そして、メッセージとして「菅田さんが言ったことに近いかもしれないですが、他人がワガママに生きていくことを認めないといけないんですよね。そういうことを念頭に置きつつ、人に会いに行ってほしいと思います。自分の世界だけでなく、旅をしてもいいと思いますし、たくさん人に出会ってほしいです」とアドバイスしました。
地方出身者という女性からは、映画の中で描かれる移住と絡めて、菅田さんと岸監督に「人生の終着地として、都会で人生を終えたいか?それとも田舎や地方がいいか?」という質問が。菅田さんは「今回の映画は、移住というスタートの話ですけど、ゴールはどこが良いかということですね? 良い質問ですね。僕らよりもこの映画の先を見ているわけで、プロデューサーにしたほうがいいですね」と笑顔でうなずきつつ「自然があるところがいいですかね。僕は大阪出身といえども山育ちで、学校帰りにイノシシがいて、友達のオカンとイノシシが戦ったり、猟銃会の方々と一緒に『おいしくいただきました』というような地域だったので、やっぱりどっちかというと田舎がいいかな」と回答。
岸監督は「難しいな…。大切な人に言いたい言葉だけ伝えられたら、場所はどこでもいいのかな」と語り、その言葉に菅田も「たしかに。伝えに行ける距離にいるかってすごく大事なことですよね」と深くうなずいていました。
既に4回も本作を鑑賞しているという菅田さんの大ファンの女性は、役に合わせて体重をコントロールする菅田さんに「どうやって短期間で絞っているんですか?」と質問。菅田さんは「トレーナーさんをつけて管理していて、準備の期間によりますが、基本的にシンプルに食事と運動だけですね」と明かしました。ちなみに、本作ではあえて、7キロほど体重を増やして撮影に臨んだことについて、「なんとなく、(晋作が)ちょっと丸いくらいのほうが、(食べ物が)おいしそうに見えるかなと思ったし、好きなだけ食べようと思って食べていたら、おいしくて、ああなっただけです(笑)。普段、我慢しなきゃいけないことが多いので、しなくていい時くらい、食べてやろうかと」と笑みを浮かべました。
舞台挨拶の最後に岸監督は「(質疑応答を通して)みなさんから感想をいただきましたが、本当にそういうこと伝えたくて、宮藤さんともいろいろ議論しながらこの作品を作りました。菅田さんをはじめ、脚本を読んだ時点でこの作品を好きになってくれて『やりたい!』と言ってくれた人たちと一生懸命作った作品です。もし、他の人に勧めていただければもっと見ていただけるのでよろしくお願いします」と呼びかけました。
菅田さんは、劇中で竹原ピストルさんが口にする「たまに見にくればいいんでない?ご馳走用意して待ってっから」という言葉に言及し「これは(脚本の)宮藤さんが実際、地元の人たちに震災後にインタビューした時に言われた言葉を反映しています。岸さんをはじめ、地元をよく知っている人たちによって、この映画の濃度――映画というファンタジーの中の本当の部分がちゃんと作られていると思います。今日みたいに、この映画を軸にディスカッションをしたりすることで、映画というものがずっと残っていけると思うので、これからもそういう存在になってくれたら嬉しいです。そんなきっかけを作ってくださって、ありがとうございました。みんな、この映画をもう一回見よう!」と呼びかけ、温かい拍手の中で、舞台挨拶は幕を閉じました。