ますます広がりを見せる原作者L.J.スミスのファンタジーワールド
「ヴァンパイア・ダイアリーズ」の原作者L.J.スミスは、アメリカでは若者層を中心に女性に人気の高い女性作家だ。大学卒業後、フルタイムの作家になる前に幼稚園の先生などをして働きながら、1987年に作家デビュー。その後、魔女を主人公にした『The Secret Circle』に始まる三部作に続き1991年~92年にかけて「ヴァンパイア・ダイアリーズ」シリーズを発表。オリジナルは『The Awakening』『The Struggle』『The Fury』『Dark Reunion』の四部作からなり、「ヴァンパイア・クロニクルズ」シリーズの著者アン・ライスなどと並んで、このジャンルではよく知られた存在となる。日本では2010年に『ヴァンパイア・ダイアリーズⅠ~Ⅳ』(オークラ出版)として発売されており、「トワイライト」シリーズほかでライトノベル市場にヴァンパイア人気の基盤を築いたファンの間で、既に話題を呼んでいる。
90年代後半には『Secret Vampire』に始まる「Night World」シリーズが大ヒット。00年代後半には08年の映画『トワイライト~初恋』公開と前後して、前述の3つのシリーズが相次いで再出版された。09年から始まったドラマ「ヴァンパイア・ダイアリーズ」は、そうした原作ファンの要求にようやく応えた形となったわけだが、ドラマは原作と同じくロマンスをベースにしつつ全体を大胆に脚色している。圧倒的に若者をターゲットにした原作に比べて大人向けの作りにしたドラマは、より多くの視聴者にアピールすることに成功。原作ファンを満足させるだけでなく、新たなファンを取り込み大ヒット番組に成長した大きな理由がここにある。また、ドラマ化と呼応するかのように原作のスピンオフや関連本が出版されると、ドラマのファンを逆に小説に呼び込む形に。
今年10月には、ケヴィン・ウィリアムソンが製作総指揮を手がける『The Secret Circle』がTV映画としてCWで放映予定。L.J.スミスのファンタジーワールドは、ますます広がりを見せている!