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メディアプラットフォームnoteにて開催していた映画『母性』の感想募集企画。この度優秀者2名が決定し、お二人の感想文を2週連続で『母性』公式サイトに掲載します!
2週目となる今回ご紹介させていただくのは≪夏目こんぶ≫さんの感想文。
“母性”というものにもともと興味を持っていたという夏目こんぶさん。少し窮屈な想いを日々されていたようですが、この映画を観て感じたことを書き綴ってくださった素敵な感想文となっていますので、是非ご覧ください。
「母性」
辞書によると、「女性のもつ母親としての性質。母親として、自分の子供を守り育てようとする本能的特質」(goo辞書より)
そして、気になった。
「父性」
辞書によると、「父親としての性質」(goo辞書より)
父性、うすっ。
※ぱっと見どの辞書もこんな感じ。goo辞書のせいではないようです
ということで、
映画『母性』見に行ってきました!
もう30日ですが、実は公開初日に観にいってまして。
それくらい待ちに待った『母性』。
待望の理由
私すっごく”母性”というものに興味があって。どちらかというと
後ろ向きな意味で。端的にいうと、母性が全くない。
正直にいうと、子供を全く可愛いと思わないんです。
あまり人に共感を求めるようなことではないので話す機会はなく
ちゃんと知っているのは夫だけです。
自分から話せないから見つからないのかもしれないけど
みんな”子供は欲しい”ってよく言うので
少数派の人間としてどこか肩身の狭い気持ちでした。
そんな時、映画の予告を見て、「私と同じ人がここにいるかもしれない」と思い、映画の公開を待ちわびていたのです。
※ここから先、ネタバレ含みます
「どっちかな」でいいのかな
前述した通り、私は”母性がない”という自覚があります。
だから、子供を産み育てるということを意識的に避けています。
このような人間が、子供を育てるのは無責任だと思うので。
すごくストレートな結論だと思います。
私は子供を育てることに対し、ネガティブだからこそ
人一倍その責任について考えてきたつもりです。
時間も、思いも、お金も、子供を第一に考えることができるか。
そう問われた時に”はい”と答えられないといけないと思うのです。
さて、映画の話に戻ります。映画では最後さやかが妊娠して、ルミ子からも感謝を伝えられ、希望を感じるようなラストだったと思います。
でも、「私はどっちかな」という部分がやはり引っかかってしまいました。
それでいいの? ”娘”だったらどうするの?って。
さやか自身が、母との複雑な思い出がありながらも教職についていることを考えると、人に尽くすことができる人間であるのだろうな、という推測はできます。しかし確信はない。
もし”娘”だったら、さやかは辛い人生を歩むことにならないだろうか。
では、ルミ子はどうでしょう。
母でいなければいけない時間。辛かっただろうなと思います。でも、”娘を強く抱きしめた”と証言しました。この気持ちは”母性”なのでしょうか。
私は、”申し訳なさ”からくると思っています。
ルミ子は少なからずさやかを大切に思う気持ちはあったものの、”母性”は持っていなかったのではないか。
私が導いた”母性”の正体
ここで立ち返りました。
考えを進めると、映画のセリフにヒントを見つけました。さやかの子供の頃のナレーションで「祖母からは無償の愛を受けていたと確信している」という言葉がありました。
この”無償の愛”こそ、”母性”なのではないか。
そう考えることで、私自身が長年持ってきた”母性がない”という気持ちを整理し、消化することができたのです。
私は、夫は一緒にいて楽しいから好きです。友達はいつもくだらない話を笑ってできるから好きです。応援しているアイドルも、努力を惜しまず熱い気持ちを持った人だから好きです……と、理由付きで好きなのです。
でも、これは悪いことでしょうか。ごくごく自然な人間の感情だと、私は思います。大切なのは、”娘”である人たちが、”娘側の人間であること”を自覚し、どんな形であろうと”愛”を持って家族と接することだと思いました。
映画を見て、少し自分が肯定してもらえた気がしました。
見てよかったと、心から思うことができました。
家に帰って、「帰りに原作を買えばよかったなあ」なんて思っていたら、夫の本棚に「『母性』湊かなえ」という背表紙を見つけ、笑いました。
少し借りようと思います。
そういえば、最後ルミ子は義母に「私の娘」と言われていましたね。
またルミ子が娘になれて、ちょっと救いを感じました。
ルミ子にもさやかにも、良い未来があるといいなと思います。
素敵なご感想ありがとうございました!
夏目こんぶさんのnote内での記事をもっと読みたい!と思った方は以下をチェックしてみてくださいね。
https://note.com/natsume_konbu24/
累計発行部数360万部を超え、2010年に映画興行収入38.5億円を記録した超ヒット作『告白』から12年。ベストセラー作家:湊かなえが「これが書けたら作家を辞めてもいい」という覚悟で執筆し、累計発行部数100万部突破した衝撃的問題作『母性』(新潮文庫刊)がついに映画化。ある未解決事件の語り手となる母娘を演じるのは、戸田恵梨香と永野芽郁。人気実力トップクラスの二人の女優が、繊細かつ大胆な演技で新境地を切り開く。さらに物語に登場するキャラの濃ゆ〜い母娘たちを、大地真央、高畑淳子、中村ゆり、山下リオが熱演。監督を務めるのは人間ドラマの名手、廣木隆一。事件はなぜ起きたのか?真相を紐解くキーワードは「母性」。母と娘の食い違う証言に観客=あなたは大いに揺さぶられる事でしょう。この秋11/23(水・祝)、母性が日本を惑わせる!