「リチャード・ジュエル」5月20日ブルーレイ&DVD発売決定/レンタル同時開始 4月15日デジタル先行配信
クリント・イーストウッドがアトランタ爆破事件の真実に迫る、実話サスペンス
5月20日より「リチャード・ジュエル」のブルーレイ&DVDを発売・レンタル開始いたします。
4月15日よりデジタル先行配信。
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クリント・イーストウッドがアトランタ爆破事件の真実に迫る、実話サスペンス
5月20日より「リチャード・ジュエル」のブルーレイ&DVDを発売・レンタル開始いたします。
4月15日よりデジタル先行配信。
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待望の日本公開を間近に控えた本作から、サム・ロックウェルらキャストたち&監督が本作を語る特別映像が解禁となった。
実母ボビさん、弁護士ワトソン氏らの貴重なコメントも交えたメイキングシーンも満載の映像となっている。
今回解禁された特別映像では、クリント・イーストウッド監督が、23年前に起こったこの悲劇を描くことで「真実を明らかにし、真の被害者に救いを差し伸べたかった」と語り始める。ワトソン・ブライアント氏が「リチャード・ジュエルは爆弾犯と不当に責められメディアに糾弾された」と続ける。FBI捜査官トム・ショウを演じたジョン・ハムは、実名報道によるメディアリンチによって「不運にも、無実の彼の人生は完全に崩壊した」と指摘し、「大勢の命を救った彼は英雄になるはずだった」とサム・ロックウェルが言葉を重ねる。
母として、息子との苦難の日々を実体験した実母のボビ・ジュエルさんは、「ずっと心にひっかかっていた。みんなに真実を知ってほしい」と今も胸を痛めている。だからこそ、この映画を通して世界の人々に真実が伝わることを願っている。「これは戒めの物語でもある、アメリカにおける悲劇よ」というキャシー・ベイツは、ボビを熱演しゴールデン・グローブ賞《助演女優賞》にノミネートされた。
「息子にそっくりなポールを見て驚いたわ、歩き方までリチャードと瓜二つだった」と実母ボビさんを驚かせたのはポール・ウォルター・ハウザーだ。初対面では、「監督よりボビ・ジュエルに合うときの方が緊張した。疑惑をかけられた男の母親だからね」と振り返る。リチャードを体現した彼は、ナショナル・ボード・オブ・レビューで《ブレイクスルー演技賞》を獲得している。
世界いち不幸な男と世界いち無謀な弁護士が“反撃”を開始する!
このままでは死刑にされてしまうと危機感を募らせる弁護士のワトソンが「反撃を始めるか?」と問いかけると、リチャードが「はい」と応じる。決意の瞬間をとらえた緊迫の本編映像に、「多数の数の命を救った男性がテロリストとして糾弾された。本当に衝撃だ」と女性記者を演じたオリビア・ワイルドのコメントが重なる。
イーストウッド監督は、犯人扱いしたFBIにも、過剰報道を続けたメディアにも、「間違えを認め責任を負う者はいなかった」という。だからこそ、ワトソン氏は「真実を知ってもらうことが大切だ」と念を押す。
この後、決意を新たにしたワトソンは、事態の打開を図るために記者会見を開き、「リチャードはふたつの大きな権力から非難を受けている。政府とメディアだ」と重大発言をする。それでも犯人逮捕を急ぐFBIは、「爆弾計画を立てたのは君だろう?」と追求をやめない。途方にくれた母は「あなたをどう守れば良いのか分からない」と涙ながらに息子を抱きしめる。業を煮やしたワトソンは、リチャードを連れて地元メディアの編集部に殴り込む。そして「彼はリチャード・ジュエル。英雄だ」と叫ぶのだが…。
監督、キャスト、そしてリチャードの実母のボビ・ジュエルが登場する特別映像が解禁となった。
「今、我々周りで起こっていることに似ている」と語るイーストウッドは、「英雄的行動をとった男が濡れ衣を着せられた。アメリカ史に残る間違いだ」と断言、23年前の事件を通して、SNSが定着した現代人に対して大きな警鐘を鳴らす、衝撃の問題作を完成させた。リチャードを演じたポール・ウォルター・ハウザーは、「証拠が少ない中、FBIやメディアの執拗さは異常だった」と、この物語に興味をもった。FBIの捜査情報をつかんだ女性記者キャシーはトップスクープを狙って「なぜ、記事を出さないの」と編集長を説得する。先に出さなければ、他紙に出し抜かれるだけだと考える敏腕記者を演じたオリビア・ワイルドは、「この映画は私たちが陥りやすい先入観について、興味深い事実を描いている」と指摘する。イーストウッドは、間違った「少しの情報ですら悪夢に変わりうる」現実を描いた。事件発生後、犯人の手かがりとなる証拠が殆どない中、FBIはプロファイリングによる捜査を進め、警官に憧れを抱き、ガンマニアでもあるリチャードが容疑者に適合すると誤判断したのだ。それは、リチャードにとって悪夢の始まりだった。
母ボビを演じてゴールデン・グローブ賞《助演女優賞》にノミネートされたキャシー・ベイツは、「憧れのイーストウッド作品だからこそ出演したかった。全作品を尊敬しているから、この役をオファーされたとき本当に驚いた」と出演を快諾。『アメリカン・スナイパー』、『ハドソン川の奇跡』など、実話を基にした傑作を世に問い続けてきたイーストウッドは、「実在の人物を知り、敬意を払って彼らの人生を再現するのは、俳優にとって夢のような仕事だ」とキャスティングを進めていく。主役に抜擢されたポール・ウォルター・ハウザーは「誰もがリチャード・ジュエルを応援したくなる。現実でも映画でも」と、熱いエールを胸に秘めてリチャードを演じきった。そして、リチャードを支えるワトソンには、今、最もオファーが殺到するオスカー俳優、サム・ロックウェルがキャスティングされている。
ジョン・ハムが演じるのは「間違った思い込みをしてしまう人々のひとり」であるFBI捜査官トム・ショウだ。「この題材を選んだ理由や現代社会との関連性など、監督に対して質問が多くあった」と撮影に臨んだ彼は、「20年以上前の事件なのに、現在の社会状況にも通じる。1996年には、ニュースが24時間入ってくる状況はまだ新しく、誰もが特ダネをとるために競争していた。そして今、僕たちはそれがさらに加速し、際限なくなっている時代に生きている。インターネットにつながり、自分が感じたことが一瞬で世界中に伝わり、それに同調する声がすぐに上がり始める。冷静な者が事態を収拾しようとしても難しい」と分析する。この映画が描くテーマは、誰もが「被害者」や「加害者」になりうるSNS社会の落とし穴に見事に重なるのだ。キャシー・ベイツは、監督が「アメリカの悲劇を描くこの映画を、自分でも観たいと言っていた」と証言する。実母のボビ・ジュエルさんは、「長年一人で苦しんできたわ。でも今、クリント・イーストウッド監督が伝えてくれる」と涙を浮かべる。弁護士ワトソン役のサム・ロックウェルも、23年前と「同じようなことが起こり続けている今こそ大切な題材だ」と、一人でも多くの人が観るべき作品だという。
映画監督としても活躍するオリビア・ワイルドが「監督は人を気遣いながら、素晴らしい物語を描く。監督の映画制作を見られて感激した。彼はキャストとスタッフ全員を信じ、優雅で静かな物腰で進めていった。独特のやり方だわ」と、その演出に魅了されたと結んでいる。
本作の公開を目前に控え、ジャーナリストや科捜研心理学分野などを目指している学生に向けた、ティーチインイベントが開催された。
ジャーナリストでありNHKで約30年の取材歴やキャスター、コメンテーターとして活躍されている柳澤秀夫さんと元警察官で犯罪ジャーナリストの小川泰平さんをゲストに招き、Business Insider Japan統括編集長であり、テレビ朝日「モーニングショー」にもご出演されている浜田敬子さんが進行、それぞれの観点から犯罪報道のありかた、冤罪について、そしてゴーン被告の主張によりいま議論が沸騰中の“司法制度”、“取り調べ”についても議論を交わした。また、リチャード・ジュエル本人へ取材し「英雄から爆弾犯にされて」、「メディアリンチ」を執筆したジャーナリストの浅野健一さんもサプライズ登壇し、学生からの質問に答えていく特別講義となった。
日程 2020年1月15日(水) 18:50~19:30
会場 日本大学文理学部 本館B1F センターホール
登壇
柳澤秀夫さん(ジャーナリスト)
小川泰平さん(元警察官、犯罪ジャーナリスト)
浅野健一さん(元同志社大学教授)
進行:浜田敬子さん(Business Insider Japan統括編集長)
イベントのMCはBusiness Insider Japanの統括編集長である浜田敬子さん。「アトランタ五輪の時には、週刊朝日の編集部に所属しており本作の爆破事件が大きな話題になったことも記憶していましたが、裏でこんなことがあったとは全く知りませんでした」と語り、ゲストである柳澤秀夫さんと小川泰平さんを呼び込むと、映画本編を見終えたばかりの生徒たちからは大きな拍手が起きた。柳澤さんは「今から43年前の1977年に、NHKの記者としてこの世界に足を踏み入れました。最初の勤務地は横浜で警察回りをしていました。その記憶をたどりながら、今日は正直にお話ができればと思います。」、小川さんは「私は警察に30年、現在は犯罪ジャーナリストとして取材活動を8年続けています。警察とメディア、両方の立場から本作を観ることができまして、大変考えさせられました。」と挨拶しイベントがスタートした。
映画について、柳澤さんは「マスメディアの仕事をしている人間は絶対に観るべき作品だと思いました。映画の中に自分を乗せると、ひょっとしたら自分も…と、思わずにはいられません。他人事ではなく自分事としてこの映画のテーマを考えると、針のむしろに乗せられたような気持になります。やはり周辺取材をどこまでできるか、情報をどこまで幅広く集められるか。時間に追われながら、果たしてどこまでできるかが問われると思います。最近話題のゴーン被告の件も同様、記者は事実関係を確認しようとしても当局からのリークをもとにするしかありません。裏付けを取るのに血眼になって周辺取材をしなければ記事は書けないはずですが、どうも検察から出てきている話がそのまま報道されているようにも感じます。」と率直な意見を語った。小川さんは「捜査機関とメディア、どちらかにだけ問題があるわけではありません。通信機器の発達によりメディアの取材力自体は高くなっています。実は警察は怪しいと思った人物には任意でしか話を聞くことができませんが、記者が取材をする分には問題がないので、逆に記者を使って話を聞くということもあるのです。ですからこの映画で起きたことは日本で起きても違和感はないと思います。私はメディアの人の気持ちも、警察の気持ちも理解できます。」とコメントした。
情報を発信する側として気を付けていることは?という質問に対し、柳澤さんは「正直、自分をコメンテーターというのには違和感があります。自分で取材したものについては責任をもって話ができますが、誰が言っているのか裏付けはあるのかわからないことに対しては自分なりに確認するようにしています。まずソースがどこなのかということは、少なくとも確認してから言葉にしなければと思っています。」と語った。また、「先週カルロス・ゴーン氏がレバノンに逃亡しましたが、日本の司法制度に問題があったためだと言われています。本作でいうと、FBIの捜査もかなり強引でしたが実際日本の捜査機関はどうなのでしょうか。」という質問を受けて小川さんは「”人質司法”と言われますが、日本の警察で働いていた人間として違和感はありません。ほかの国で言えば、捜査手法が相当荒っぽい国も実際にあります。欧米諸国の人が日本の司法制度を見ると違和感を覚えることはあるかもしれませんがね。」と意見を述べた。柳澤さんは「確かに我々の常識として、取り調べに弁護士が同席するということはありません。ただ、一歩外にでると弁護士が同席するなどは当然のことですし、人権について考えるならばもう少し我々も熟慮すべきことはあると思います。特に今回の映画を観てつくづく思いました。」とコメントした。
ここでサプライズゲストとして元同志社大学教授の浅野健一さんが登壇。主人公のリチャードをよく知る人物として大きな拍手で迎えられた。「映画を観て、まず主人公がジュエルさん本人とそっくりで驚きました。私はこの事件があった翌年の3月にゼミの学生を連れてアトランタに行き、ジュエルさんに会いました。また、TBSのニュース番組で(地下鉄サリン事件で冤罪被害を受けた)河野義行さんをお連れして現地から生出演をしました。また、そのあと日本にお招きして合計で3回お会いしています。よくこんなによく似た俳優さんを見つけたなと驚きました。」と感想を述べた。
さらに議論は盛り上がり、インターネットの力によって増す冤罪事件の可能性について話が及ぶと、柳澤さんは「職業柄、最初に出くわした情報は疑ってかかる癖があります。それが記者の仕事です。自分が加害者になる可能性があることを忘れないようにしなければ。」と語り、浅野さんは「SNSで誰もが情報を発信できるので、一時の感情で発信すると大変なことになります。私は安易に事件関係者の名前を公開すべきではないと考えています。」と語った。また、オリンピックイヤーである2020年には冤罪事件が多発するのでは、という懸念に対して小川さんは「それは言い過ぎではないかと思います。ただ国際大会ですので、事件が起きたときに早く犯人を捕まえないと、として冤罪を生むことはあるかもしれません。」と意見を述べると、柳澤さんは「だからこそ、われわれがチェックする必要があります。」とコメント。浅野さんも「大きな事件でなくとも冤罪は起こります、そのために弁護士がいて、裁判があるのです。メディアの目的は犯罪者を叩くことではありません。事実をチェックすることなのです。」と同意した。
学生からの質問コーナーになると熱心な学生たちから次々に手が挙がる。「映画を観て、ジュエルさんのようにメディアと警察により人生を壊される人がいるのだと痛感しました。取材の際にこころがけていることがあれば教えてください」という質問に、柳澤さんは「周辺取材というものがまさにそれに当たります。取材対象に真摯に向き合って、信頼関係を得ることが大切です。」と語った。浅野さんは「京アニの放火事件の時、多くの遺族が実名報道を拒否しました。海外には報道倫理コードがありますが、日本にはそれがありません。」と問題点を指摘した。また、「劇中の女性記者は結果的に誤った情報を発信しました。彼女の焦りの気持ちが原因かと解釈しましたが、スクープを見つけるときに意識していることがあれば教えてください。」という質問に、柳澤さんは「正直言って記者はとにかく特ダネが欲しいんです。それで気持ちが前のめりになってしまう。大事なのは、自分がそういう気持ちでいるということを客観視すること。『新聞は必ず過ちを犯す』と言われたことがあります。今の時代、『ジャーナリズムは過ちを犯す』と言えるでしょう。自分も間違えることがあるのだということを常に考えておくべきだと思います。」と力強くコメントした。
最後に浅野さんは「この映画でアメリカのメディアがひどいとは思わないでほしい。それどころか日本よりもレベルは高いと思います。大学でジャーナリズムを勉強した人がジャーナリズムの仕事に就いているからです。司法制度にしても、日本は遅れています。本作で取り調べの場面に公衆電話があったことを思い出してください。ジュエルが弁護士に電話をかけたら、話をすることができました。そのやりとりは日本では絶対にできません。海外の司法制度がどうなっているかを、知っていただきたいです。」と語った。小川さんは「この場にも犯罪心理学、メディア理論、法学部などの学生さんがいると聞いています。自分たちの目指す道へ進んでください。統計や分析はAIがやることになるかもしれませんが、犯罪心理学、新聞、法律は人間がやるべきものです。これから日本はもっと変わっていくはずです。」と語った。
柳澤さんは「すみません、話に夢中になってうっかり忘れていました。」とポケットから、本作を観た人ならピンとくるアメリカのお菓子「スニッカーズ」を取り出し、会場の笑いを誘う。「映画の中で印象的だったのは、最後にジュエルに対して『終わったぞ』という場面です。皮肉に聞こえました。確かに事件は終わりましたが、第二第三のジュエルは絶対に出てきます。それを自分の胸に刻み込みました。それでないとこの映画を観た意味がないとすら思いました。」と力強く語り、イベントを締めくくった。
1月13日(現地時間)に発表された第92回アカデミー賞®で、爆破事件の容疑者とされた主人公、リチャードの無実を信じ、見守り続ける母ボビを演じたキャシー・ベイツが見事《助演女優賞》にノミネートされた!
キャシー・ベイツは1990年に『ミザリー』で《主演女優賞》を受賞しており、二度目の栄冠に期待がかかる。同賞の授賞式は2020年2月9日(現地時間)に行われる。
現代社会に警鐘を鳴らす、衝撃の実話サスペンスである本作に各界著名人からたくさんのコメントが寄せられた。
著名人、ジャーナリスト、犯罪と向き合う弁護士らは本作をどう観たのか?
精神科医の名越康文氏は「読むことを情報収集だと思っている人は、この作品に震えが来るのではないだろうか。そう、情報社会の中で、我々の知る事実は、99%「誰かが書いた物語」なのである。」と、情報に対する意識を変える映画だと指摘する。国際政治学者の三浦瑠麗氏は、「自らの正義を声高に主張するメディアと権力の暴走が、ひとりの善人の人生を奪ってゆく。正義とは、目の前の人に対し何を為すかではないか。」と、正義の本質を問う映画だという。脳学者の茂木健一郎氏は「イーストウッド監督はこの映画で世界を救おうとしているように見える。人々から正義の心が無くならないように。」と、作品が訴えかけるメッセージを真摯に受け止めた。また、TBS「グッとラック!」でも活躍中の落語家、立川志らく氏は「私の今の立場として、発信者でもあり、被害者にもなり得る、ということを感じながら拝見しました。そしてイーストウッドの映画って江戸っ子気質なんだよねぇ(笑) それが重いテーマなのに、ちゃんとエンタメとして見れちゃうっていう面白さだと思う。」と、衝撃の実話をエンタメに昇華させた監督の手腕を讃える。そして、映画『新聞記者』の藤井道人監督は、「ごくわずかな間違った情報がその人生を転落させる。映画の中で必死に戦うリチャードの姿を見て、これは「今」を生きる私たちの物語であることを確信した。素晴らしい映画」だと、現代を照射する傑作だと絶賛している。
映画が問いかける報道の在り方について、ジャーナリストの柳澤秀夫氏は「メディアに携わる者はこの映画を眼にしっかりと焼き付けるべき。「これで終わった」というラストシーンの言葉は、終わりではなく、我々はこれからも第二、第三のリチャード・ジュエルを生みかねないという警鐘だ。」と受けとめた。報道キャスターの長野智子さんは「圧倒的なリアリティ! 報道では伝えきれない説得力。暴走する権力、世論を誘導するメディアの問題が直球に描かれていて震えました。」、デーブ・スペクター氏は「人を傷つけても「知る権利」を優先すべきか。日本を含め世界中の“冤罪“と戦う国に共通するリアル過ぎるストーリーは必見!」とレコメンドする。TVリポーターで京都美術工芸大学客員教授の阿部祐二氏は「マスメディアに携わる人間として、最もあってはならないこと。(中略)他人事とは思えない、身の引き締まる131分だった。」と自戒を促す作品になった。
リチャード・ジュエル本人に取材した「メディアリンチ」著者の浅野健一氏は、「SNSで自由に発信できる時代だから、あなたにも無実の人の人生を一瞬のうちに破壊する恐れがある。自分が‟情報加害者“にならないためにどうすべきかを考えるために多くの人に観てほしい。」と語る。TBS系「報道特集」キャスターの金平茂紀氏は「当局とメディアが合作してあなたを犯人にでっちあげた時、一体誰があなたを助けてくれるだろうか。C・イーストウッドのこの映画は、実話に基づき、この問いを今の私たちに問いかけてくる。事実はこうだ。リチャード・ジュエルの冤罪が晴れた後、日本のニュース番組にたった一度だけ彼は出演した。TBS系『筑紫哲也NEWS23』にだ。誇りに思う。彼も筑紫さんも今は天国にいる。」と万感の想いを寄せてくれた。
弁護士からもコメントが届いている。「冤罪弁護士」著者の今村核氏は「刑事裁判において有罪率99.9%という日本社会においても、他人事とは思えない。」と実感した。菊地幸夫氏は、「『刑事上の罪に問われている全ての者は、法律に基づいて有罪とされるまでは、無罪と推定される権利を有する(国際人権規約)』。この権利の尊さを、涙と興奮でこの映画は描ききった。と推定無罪が適用されなかった事実までも描いたと讃えている。
誰もが「加害者」にも、「被害者」にもなり得るSNS社会に、イーストウッドが警鐘を鳴らす。
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爆弾犯にされ悪夢のような日々を過ごすリチャードの潔白を信じ、母のボビが会見に臨む本編映像が解禁された。
アカデミー賞ノミネートのキャシー・ベイツが渾身の演技で母ボビを演じる。状況打開を願って会見に臨む母の姿が胸を打つ“号泣必至”の名場面だ。
数多くのビデオカメラとシャッター音が待ち受ける中、弁護士のワトソンに導かれて母ボビが登壇する。背後にはアメリカを象徴する星条旗がある。
眼鏡をかけた母ボビは、緊張した面持ちで会見場の記者たちを見つめると、ゆっくりと話し始める。傍らで弁護士のワトソンが母を慈しむように見つめている。
私はボビ・ジュエル。ほぼ4週間前に100人以上の方々が負傷し、2人が命を失いました。
記念公園での爆弾によるものです。犠牲者の方々とご家族を思うと心が痛みます。
アトランタ市民として爆破事件の被害者に対する哀悼の意を表したボビは、記者たちを見つめてながら、言葉を続けていく。
つらくてたまりません。皆さんは私たちの日々を想像できないでしょう。
メディアは私の息子について、事件の犯人だと表現しました。平和を踏みにじりました。
会見場には「リチャードが容疑者」だと実名報道した女性記者キャシーの姿ある。目に涙を浮かべたボビが話を続ける。
我々からプライバシーを奪い、FBIも息子のすべてを追い、私の家を絶えず監視しています。
なぜですか?息子は…、息子は無実です。
「息子は無実」だという母の切実な訴えを聞いたキャシーは、自分が犯した過ちを後悔するかのようにこみ上げる涙をぬぐう。沈痛な面持ちで耳を傾けていたワトソンがボビを労るように見つめる。リチャードの潔白を真実続ける母は、万感の思いを込めて訴える。
大統領、息子の名誉を挽回させて下さい。
「この物語は、今、我々の周りで起きていることとすごく似ている」というクリント・イーストウッド監督最新作は、事実が真実をねじ曲げてしまった実話を描く。SNSが定着した現代社会では、思わぬ所で「加害者」や「被害者」になってしまう危険に満ちている。監督は、「23年前の事件でリチャードが体験した苦難が現代人に対する大きな教訓になるとするなら、それこそが英雄ではないか」と語っている。
リチャード・ジュエルと母ボビが体験した悪夢の日々。イーストウッド作品に初参加となるキャシー・ベイツとサム・ロックウェルが、無実の罪に問われた男を懸命に支える母と弁護士を熱演する。母の切実な願いは届くのか。緊迫の実話サスペンス『リチャード・ジョエル』は、この先どんな展開を迎えることになるのか。その真実は、是非、映画館で見届けていただきたい。
1月17日の公開を前に、報道に携わってきたゲストを招いたトークショーを開催。長年報道キャスターとして活躍されている長野智子さん、TVプロデューサーでありながらアメリカの今を日本に伝えてこられたデーブ・スペクターさん、ミシガン州立犯罪報道プログラムを受講しTVリポーターとして日々現場に足を運ばれている阿部祐二さん、元TBSニューヨーク支局に勤務されリチャード・ジュエル本人に会ったことがある下村健一さん、以上4名が登壇し、メディア界に身を置く人間だからこそわかる実情を語り、“報道のあるべき姿”を徹底討論。さらに松本サリン事件の報道被害者である河野義行さんも急遽登壇となった。
【日程】2020年1月8日(水) 18:30~19:00
【会場】よみうりホール
【登壇】
長野智子さん(報道キャスター)
デーブ・スペクターさん(TVプロデューサー)
阿部祐二さん(TVリポーター/京都美術工芸大学客員教授)
下村健一さん(元TBSニューヨーク支局)
★サプライズゲスト:河野義行さん
MC:有村昆さん(映画コメンテーター)
MCの呼び声でゲスト4名が次々に登壇。早速映画についてのコメントを求められると、下村さんは「私は実際にリチャード・ジュエルさんご本人にお会いしていたので、映画の冒頭で彼のアップが出たときに『あれ、本物?』と思ってしまいました。監督がリチャードの姿を忠実に再現しています。話し方も含め、本当によく似ていました。」阿部さんは「我々メディアは取材対象にかなり前のめりになってしまいます。その態勢を起こして立ち止まることが自分にできるのかどうか、と思いながら映画を観ていました。」とTVリポーターとして活躍する自身の立場を映画と重ねる。
デーブさんは「去年アメリカで観たのですが、字幕がないからわかりませんでした(笑)」と会場の笑いを誘い、「(本作は)暴走して行き過ぎたメディアの典型事例。また、弁護士がいかに重要な存在かがよくわかります。フェイクニュースがあるこの時代だからこそ観る価値のある映画だと思います」と絶賛。長野さんは「以前、ある調査報道番組で冤罪事件を取材していました。メディアが暴走する場面、あるいは誤った報道をしても責任を取らないところなど、日本で起きていることと変わらないので、観ていてゾクゾクしました。」とコメントした。
テレビレポーターとして心に留めていること、報道とはどうあるべきでしょうか?という質問に阿部さんは「取材者は、誰も見たことがないもの、聞いたことがないものをどうしても追い求めてしまいますが、その中には罠が潜んでいます。 “信頼筋”と言いますが、いったい何が信頼筋なのか。一度流れに乗ってしまうと報道は怖い。その流れが間違っていた時に誰が食い止められるのか。実は、数年前に取材をしていた時、たまたま当事者の家の中からカーテンを開けて外を見るという機会がありました。家の周りをメディアが取り囲んでいて、ものすごい恐怖を感じました。同じような場面が映画にあり、あの時の恐怖を思い出しました。我々はその恐怖を人に与えかねない。身につまされる思いでした。私は本作を既に2回観ましたが、さらに重ねて観るつもりです。僕が見なければならない映画だと思っています。」と誠実なコメント。事件当時、アメリカにいたという長野さんは「当時は仕事ではなく、大学院に通っていて、学生としてテレビで報道を見ていました。この事件は7月27日に起きていますが、実は8月にアトランタオリンピックの事件現場に行ったのです。現場は意外にも何事もなかったように整然としていて、アメリカもこの事件を隠したかったのでは、と感じました。そういう特別な空間で起きた事件だったのかなと。実際には、ジュエルさんの存在と現場の人たちの動きのおかげで、被害は最小限にとどまりました。そこから学ぶことはあると思います。“オリンピック”、“テロ事件”となれば飛びつくメディアの姿が目に浮かぶようで、想像すると背筋が寒くなります。」と、当時の様子を振り返った。また、デーブさんは「最近ではコンプライアンスもあって日本のテレビ局はとても慎重です。あるテレビ局が報じていたとしても、独自のテレビ局が自分たちで確認しなければ報じません。そういう意味では、この映画に出てくるようなことが日本でも起きるというのは考えにくいと思います。報道被害という観点でいえば、今はSNSがあるのでネットで叩かれ放題になってしまいますね。アメリカではトランプになる前から完全に分断していて、自分にとって有利にならないものはフェイクニュースとして切り捨ててしまいます。クリントン時代はそんな分断がなかったので、判断しやすかったのですが、そういう意味では被害は余計大きくなっていると思います。」と日米の報道被害についてコメントした。また、下村さんはリチャード本人の貴重な写真をスライドで示し、リチャードにインタビュー取材をする写真、また松本サリン事件で実際に報道被害を受けた河野義行さんをアトランタまで連れて行った際にリチャードと対面している写真、また、リチャードが日本に公演に来た時の写真や、ワトソン弁護士本人の写真など、貴重な資料をいくつも提示した。「松本サリン事件と本作の事件の構造は全く同じ、どちらも第一通報者が容疑者にされました。世間が不安になったとき、一刻も事件を解決したいときにこのような暴走が起きます。この事件は1996年のアトランタではなく近未来の東京で起きたとしても、全くおかしくないものだと思います。ジュエルさんから聞いたのですが、彼は毎年この事件のあった日に現場に行き、亡くなった方のために1輪のバラの花を手向けていました。誰にも言わずに。自分がもっとうまく動いていれば、この人は亡くならずに済んだはずだという気持ちからだそうです。そんな心の優しい人なのだと思いながら、この映画を観ていただきたいです。」と、さらに驚きのエピソードを披露した。また、フェイクニュースの見分け方について問われると、下村さんは「情報源を確認するなど、ごくごく基本的なことが大事です。サリン事件の時にはSNSはありませんでしたが、それでも血祭りのようなことが起きました。今はスマホなどの普及により、全ての個人がメディアという時代です。他人事ではなく、発信者責任を各自が持つべきではないでしょうか。」長野さんは「メディアスクラムは今では少ないかもしれませんが、ネットの世界では起きるのですよね。」と相槌を打つ。さらに阿部さんが「私もSNSの動画を見て、取材に行くことがあります。でも実際現場で確認すると全く違う世界が見えるのです。」とコメント。それを受けて下村さんは「テレビやスマホの中の四角く切り取った映像が世界だと思うな、ということでしょうね。」とまとめた。
ここで、MCからサプライズゲストとして、トーク中にも何度も話題に挙がった26年前に松本サリン事件で報道被害を受けた河野義之さんが紹介された。会場の客席隣には元・同志社大学教授の浅野健一さんの姿も。浅野さんはリチャード・ジュエルに2回取材をしており、河野さんの対面を実現。さらにリチャードを日本に招いた実績もある。MCの呼びかけで河野さんは客席から舞台に登壇した。「私はアトランタでジュエルさんにお会いしていますが、実は本当の目的は彼とニジマス釣りをすることが目的でした(笑)。事件の構図・展開は松本と全く一緒でした。映画はすでに拝見しまして、中でもジュエルさんのお母さんの記者会見の場面では、本当に涙が出ました。皆様、映画を楽しんでください」とユーモアを交えてコメントした。
最後に下村さんは「『メディアギャング』という言葉をジュエルさんから聞きました。まさに、ギャング映画のように見えるかもしれません。自分自身がギャングになるかもしれない、と思いながら見ていただきたいです。」阿部さんは「キャシー・ベイツがお母さん役で出演していますが、この方のお芝居に何度目が潤んだかわかりません。見事な映画です。楽しみにご覧ください。」デーブさんは「先入観で判断してはいけない、とい強いメッセージが込められた映画です。娯楽作品としても楽しめますが、今年は東京でオリンピックがあるのでタイムリーな作品として観られると思います。」長野さんは「一人の善良な市民と権力の暴走。それが対峙したときにどんな恐ろしいことが起きるのか。それがメッセージとしてストレートに響く映画です。」とコメント。会場からは大きな拍手が起こり、イベントは終了した。
2020年元旦、誰もが心を一新する新たな年が始まった。
今年90歳を迎えるクリント・イーストウッドの記念すべき40作品目となる最新作『リチャード・ジョエル』が、いよいよ1月17日(金)から日本公開となる。
待望の日本公開に向けて、クリント・イーストウッド監督からニューイヤー・メッセージが到着した。
日本の皆さん、あけましておめでとうございます。
映画『リチャード・ジュエル』は、96年アトランタ爆破事件の実話です。
全国民が敵になってしまった英雄の物語を世界に伝えたいです。 -----クリント・イーストウッド
イーストウッドが描く、「全国民が敵になってしまった男、リチャード・ジュエル」とは…
イーストウッドの心をとらえたのは、リチャードがどこにでもいる普通の男だったことだ。国家に対して忠誠心を持ち、ただひとりの母を愛し、ただ人のためになる行動をしようとした男だ。「だからこそ、私はこの映画を作りたかった。潔白なリチャードの名誉を挽回するためにね。英雄的な行動によって大きな犠牲を払う羽目になり、彼は世の中から見捨てられたんだ」と思いを寄せる。リチャードの警備員の潔白は、事件発生から6年後の真犯人逮捕まで晴れることはなかった。だが、イーストウッドは言う。「人は情報をきちんとまとめて考えない。6年後に真犯人が現れ、罪を告白し、逮捕されたということと、リチャードの潔白を人々はつなげて考えない」のだ。一度報道された「爆弾犯」というレッテルは、容易に払拭することができないのだ。
日本の刑事裁判の有罪率は99.9%! これは他人ごとではない映画。 ---今村 核(弁護士)
「冤罪弁護士」筆者で、弁護士の今村核氏は、日本でも他人事ではないと指摘、「見ごたえある、カタルシス溢れる作品。 被疑者にされる恐怖。刑事裁判において有罪率99.9%という日本社会においても、他人事とは思えない。 私にとっては「被疑者を信じること」、非常に共感できる部分も多かったです。」とコメントを寄せている。SNSが人々の生活に根付いた今、姿なき誹謗中傷が蔓延する現代社会で“今”起こっていることに似ている。ひとつのつぶやきが瞬く間に拡散し、誰もが「被害者」、あるいは「加害者」にもなりえる時代を生きる我々に対するイーストウッドからの警鐘となるメッセージなのだ。
イーストウッドは、こんな時代だからこそ「この映画を観て、観客にはこの現実を知ってほしい。また、社会として、我々はもっとましな行動をとれるのではないかということにも気づいてほしい。その“気づき”が、リチャードが我々に与えてくれた教訓だとすれば、素晴らしいことであり、それこそ“英雄”なんだ」と語っている。
2020年元旦よりオンエアされるTVスポット2タイプが先行解禁。
“バディ編”は、爆発犯扱いされて「僕は救いたかっただけ」だと心情を吐露するリチャードに、無実を信じる無謀な弁護士ワトソンが、「何も話すな」と助言し、24時間監視し続けるFBIとメディアに立ち向かう姿を伝える。FBIの容疑者ファイル、嘘発見器を受けるリチャードの姿なども盛り込まれたサスペンスフルな映像のラストでは、ワトソンが「反撃を始めるぞ」と檄を飛ばす。
衝撃の実話、緊迫の30秒予告完成。
1996年、アトランタ爆破事件。第一発見者のリチャード・ジュエルは、数多くの人々を救った英雄として報道される。だが、事件からわずか3日後、事件の第一容疑者として実名報道されたことで状況は一転、爆弾犯の汚名を着せられる。情報は瞬く間に拡散し、メディアによる連日の報道によって、リチャードは名誉だけではなくプライバシーまでをも奪われてしまう。そんな時、リチャードの潔白を信じる世界一無謀な弁護士ワトソンが立ち上がる。まるで犯人のように報道されているリチャードに、このままでは「死刑にされてしまう」と警告するワトソンは、「彼の人生を潰す気か」と吠える。だが、ふたりの前に立ちはだかるのは、国家の威信をかけて爆弾犯の早期逮捕を急ぐFBI、スクープという獲物に容赦なく襲いかかる“メディアリンチ”の罠だった!!
今、爆破事件の容疑者とされたリチャードと潔白を信じるワトソンが、巨大権力に向かって反撃を開始する。
日本版オリジナルポスターが解禁となった。
日本版ポスターは、実名報道されたことでメディアに取り囲まれ、沈痛な表情でうつむくリチャード・ジュエルをとらえている。後ろには、巨大権力に立ち向かう決意をした弁護士のワトソンが厳しい表情で寄り添い、リチャードの隣で母ボビが悲嘆にくれて涙ぐんでいる。報道陣の中には、アトランタ・ジャーナルの女性記者キャシー・スラッグスとFBI捜査官トム・ショーの姿がある。
12月9日(現地時間)に発表された第77回ゴールデン・グローブ賞で、爆破事件の容疑者とされた主人公、リチャードの無実を信じ、見守り続ける母ボビを演じたキャシー・ベイツが《助演女優賞》にノミネートされた。キャシー・ベイツは1990年に『ミザリー』で同賞ドラマ部門の《主演女優賞》を受賞しており、二度目の栄冠に期待がかかる。
同賞の授賞式は2020年1月5日(現地時間)に行われる。
リチャード・ジュエルがFBIに事情聴取される場面写真が到着した。
事件の第一通報者であるジュエルを第一容疑者と断定して捜査を開始したFBIは、彼を犯人と断定する証拠品を押収するために自宅に押しかける。その最中、弁護士のワトソンが席を外した隙を見計らって、無防備なジュエルに対してFBIがボイスサンプルを強要する。「公園に爆弾がある。爆発まで30分」---犯行予告の音声とジュエルの声が合致すれば事件の早期解決となる。逮捕を急ぐFBIのトム・ショー(ジョン・ハム)は、同僚と共にジュエルを睨みつけるように受話器を渡そうとするのだが…。
この後、リチャード・ジュエルはFBIの求めに応じるのか。そして、事件はどんな展開を見せていくことになるのか…。
今回、巨大権力と不寛容な断罪報道を続けるマスコミと戦う3人をとらえた場面写真が解禁となった。高圧的な権力による追求、不寛容なマスコミ報道に晒されたジュエルと彼に抱きかかえながら涙を流す母ボビー、そして、二人を見つめる弁護士の切実な姿をとらえた場面写真は、衝撃のサスペンスドラマの展開を予想させる1枚だ。
爆破物の第一発見者から一転、事件の第一容疑者とされたリチャード・ジュエルを演じるのは、『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』で個性的な演技が高く評価されたポール・ウォルター・ハウザー。愛する息子の無実を信じ、彼に寄り添う母にオスカー女優キャシー・ベイツ。ジュエルの無実を信じる弁護士ワトソンを、『スリー・ビルボード』でアカデミー賞®《助演男優賞》に輝いたサム・ロックウェルが演じている。
この度、日本時間11月21日(木)(※現地11月20日(水))、LAチャイニーズ・シアターにてワールドプレミアが実施された。
本プレミアには、御年89歳のクリント・イーストウッド監督はもちろん、主演のポール・ウォルター・ハウザー、サム・ロックウェル、ジョン・ハム、キャシー・ベイツなど、豪華キャストが登壇。ひょうが降るほどの荒天の中、各国からの取材陣と、公開を楽しみにする多くのファンが集まる注目度の高いイベントとなった。
レッドカーペットにはリチャード・ジュエル役を務めた主演のポール・ウォルター・ハウザーをはじめ、ジュエルの敵となるFBI捜査官役のジョン・ハム、赤い服と赤い口紅が印象的なキャシー・ベイツ、ひげを蓄えワイルドなサム・ロックウェルなどそうそうたるキャストがレッドカーペットを歩いた。
そして、クリント・イーストウッド監督もレッドカーペットに降臨した。御年89歳の巨匠が、ポップコーンを頬張るおちゃめな場面も。本作でリチャード・ジュエルという人物を題材にしたことについて問われると、「ジュエルは、ひどい悲劇の犠牲者だったからだよ。 彼は、「疑わしきは罰せず」という扱いを受けなかった。彼は、適切な調査をされずに(犯人だと)判断されたんだ。それは、憲法に反することだし、僕らが信じているすべてのことに反している」とコメント。
さらに今この作品を公開する理由については「今世界で起きているのととても似たことだからだよ。人々は、ちゃんと確認する前に、早まった判断をするんだ」と、この時代だからこそ伝えたいテーマを語った。
そして、日本のファンにメッセージを求められると「お会いできてうれしいよ。ビバ・ジャパン!」笑顔を見せた。
主演のポール・ウォルター・ハウザーはにこやかにコメントに応じた。作品について問われると、「僕はこの映画が大好きだよ。僕にとってものすごく大切なものだ。クリントと仕事をするのは喜びだったし、とても奥行きのあるキャラクターや意義のあるストーリーを語るのは喜びだった」と、イーストウッドとの仕事はもちろん、リチャード・ジュエルを演じることは、自身の中で大きな経験だったと語る。
そしていよいよ作品がお披露目される事には「僕は多くの観客がこの作品を楽しんでくれることにとても興奮している。人々は一礼して(映画館を)後にするよ。そして自身、それか誰か知っている人をリチャード・ジュエルの中に見出すんだ。(今ここに)リチャードが僕らと一緒にいて、僕らと一緒に祝うことが出来たらよかった。彼の魂はここにいるよ。そして、彼の母親がここにいる」と、なんとリチャード・ジュエルの母ボビー・ジュエル本人も、このレッドカーペットへの登壇が実現したことを明かした。
さらに、作品と今の社会の関連について「残念なことに、この映画はいつも今日的な意味を帯びている。僕らが同じ間違いを犯し続けている限りは、歴史は繰り返されるんだ。FBIのようなグループの人々は、もっとちゃんとわかっているべきだ。リチャード・ジュエルは、88日間も捜査をして何も見つからなかったうえに、彼の人生を台なしにしたんだ。この映画はそれを明らかにすると思う。歴史と真実に光を当てているんだ。だから僕らは今夜ここにいるんだ。リチャード・ジュエルを称賛し、彼のストーリーを語るためにね」と強くメッセージを送った
『アメリカン・スナイパー』(2014)、『ハドソン川の奇跡』(16)、『15時17分、パリ行き』(18)、『運び屋』(18)と、実話を基に“衝撃の真実”を描いてきたクリント・イーストウッド監督。89歳、40本目となる監督最新作『リチャード・ジュエル』は、1996年のアトランタで起こった爆破テロ事件の“真実”を描く“衝撃の問題作。
1996年、アトランタで爆破テロ事件が勃発。不審なバックを発見した警備員リチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)の迅速な通報によって数多くの人命が救われた。だが、爆弾の第一発見者であることでFBIから疑われ、第一容疑者として逮捕されてしまう。ジュエルの窮地に立ち上がった弁護士のワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)は、この捜査に異を唱えるのだが…。
今回解禁となった予告編は、緊迫感に溢れる衝撃的な映像となっている。パニックに陥った会場の公園で「爆弾だ!早く逃げろ!」と人々を避難させるジュエルの姿、警察による爆破物の検証シーンが連射される。「彼が爆破犯だと?」というFBIと思われる声に、爆弾を発見した警備員に疑いの目が向けられたことが示唆される。彼の無実を信じるたった一人の弁護士ワトソンは「容疑が晴れるまで黙秘しろ、俺が話す」とアドバイスし、息子を愛する母ボビー(キャシー・ベイツ)は「母さんが守るからね」と、第一容疑者となった息子への報道を見つめる。声紋判定のためにボイスサンプルが欲しいFBIは、ジュエルに「公園に爆弾がある、爆発まで30分」と言えと強要する。
ワトソンは「彼を陥れようとしているのは、政府とマスコミだ」と会見で釘を刺すが、「事件を起こす動機は、ヒーロー願望と警察への憧れ」だとする女性記者キャシー・スクラッグス(オリビア・ワイルド)によって、“悪人か聖人か”という記事がスクープされ、容疑者報道は次第にエスカレートしていく。その頃、FBIの取調室では、「公園に爆弾がある、爆発まで30分」と執拗に迫る捜査官(ジョン・ハム)の尋問が続いていた。
今回、撮影現場でのひとコマをとらえた3ショットのメイキング写真が同時解禁された。クリント・イーストウッド監督が話しかけ、スーツで正装した主人公リチャード・ジュエル役のポール・ウォルター・ハウザーと、弁護士ワトソンを演じるサム・ロックウェルが耳を傾けている。腕組みをしたサムが監督をじっと見つめている姿が印象的な1枚だ。
この爆破テロ事件は国とメディア報道、それに便乗する世間の誹謗中傷。SNSの普及により冤罪社会が確立された現代社会、こんにちにも通じる、他人事ではない事件である。
リチャード・ジュエルは悪人なのか、それとも聖人なのか!? その真実は、スクリーンで明らかになる。