プロフィール:
1995年12月27日生まれ、米NY出身。その端正な顔立ちからアイドル的人気を博しているが、実は俳優としてもいま最注目、ファンのみならず映画関係者、ファッション業界からも絶賛されるトップ・スター、それがティモシー・シャラメだ。
『ロー&オーダー』(09)や『ロイヤルペインズ 〜救命医ハンク〜』(09〜16)などのTVシリーズで端役を演じ、ジェイソン・ライトマン監督の『ステイ・コネクテッド〜つながりたい僕らの世界』(14)で映画デビュー。クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』(14)ではマシュー・マコノヒー演じる主人公の息子(若い頃)を演じたシャラメ。そんな彼の名を一躍世に知らしめたのはルカ・グァダニーノ監督の『君の名前で僕を呼んで』(17)だ。同作での彼の圧倒的な美しさは多くの人に衝撃を与え、一気に人気若手俳優としてブレイクを果たした。さらに、アカデミー賞主演男優賞、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされるなど、その演技力も高く評価された。
以降、グレタ・ガーウィグ監督の『レディ・バード』(17)、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19)、ウェス・アンダーソン監督の『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(20)、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『DUNE/デューン 砂の惑星』(21)など作家性の強い監督と組み、作品選びにもこだわりを見せている。グァダニーノと再び組んだ『ボーンズ アンド オール』(22)では出演のみならずプロデュースも兼任。アイドル的人気に甘んじることなく、自らのキャリアをコントロールしようとする姿勢が見て取れる。
と、ここまでのキャリアの積み方が、とある人物にとてもよく似ていることに気づく。そのルックスから“王子様”的人気を得るも、その後のキャリア・コントロールを徹底してハリウッドにおいて独自の存在感を示すレオナルド・ディカプリオである。相通ずるものがあるのか、2人はプライベートでも親交が深いという。そんなディカプリオの助言に従って、シャラメは「ドラッグとスーパーヒーロー映画は絶対にやらない」と心に決めているらしい。また、アル・パチーノも「彼は素晴らしい俳優だ。それにルックスも最高だ」とシャラメを絶賛。『ヒート』続編で主人公ヴィンセントの若い頃を演じるのはシャラメがいい、と公の場でご指名までしている。
ファッション業界も彼を見過ごすわけがない。2023年5月から「ブルー ドゥ シャネル」のアンバサダーに就任。映画祭やプレミア、METガラでの彼のファッションは常に話題を呼ぶ。デザイナーのハイダー・アッカーマンとは親友同士で、彼の衣装を着てイベントに登壇することも多い。ファッション・アイコンとしての存在感も抜群なのである。
ジョニー・デップやブラッド・ピット、ディカプリオ以降、「ハリウッド・スターの不在」が言われて久しい昨今、シャラメは久々に登場した純然たるスターなのだ。そんな彼が主演最新作『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』で演じるのは、ジョニー・デップがかつて演じたウィリー・ウォンカだ。歌って踊る表情豊かな劇中での彼の姿は、“憂いを帯びた美少年”的だったこれまでのイメージを覆す陽性に満ちていて、彼の新たな魅力が大きく花開いている。さらにその直後には、『デューン 砂の惑星 PART2』(24年公開予定)も控える。こちらはまさに“貴公子”役。突如戦乱に巻き込まれ、指導者として覚醒していく主人公の姿は、人気・実力ともにうなぎのぼりな現在のシャラメ本人の姿が重なる。この2作とともに、2023〜2024年、間違いなくティモシー・シャラメの時代が来ている。そう思わずにはいられない。