1970年生まれ。広島県出身。大学在学中に脚本・監督を務めた短編映画『寮内厳粛』(94)が、ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞。行定勲監督作品などの脚本を務めた後、『LOVE SONG』(01)で長編監督デビュー。『GANTZ』シリーズ(10・11)や『図書館戦争』シリーズ(13・15)などの実写アクション大作で高く評価され、『アイアムアヒーロー』(15)で世界三大ファンタスティック映画祭にてグランプリを含め、5冠を制覇。その他の監督作品に、『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』(14)、『デスノート Light up the NEW world』(16)。前作、『いぬやしき』(18)ではブリュッセル国際ファンタスティック映画祭にてグランプリを受賞。

映画化する上で意識したこと

原作の前半戦でまず惹かれるのは、日本刀を持った侍や日本古来の雰囲気が、この現実世界と混じり合っている、その世界観です。普通なら融合し得ないイメージが渾然一体となり、日本的な情緒や、歌舞伎さながらのカブいた気分がこれを彩る。そういった世界観と、そこを跋扈する奇抜なキャラクターが「BLEACH」の魅力だと思うので、それらをマイルドにせず、よりリアルに堂々と描きたいと思いました。実写化する難しさや勝算よりも、これを描いてみたいという強烈な衝動があったんです。

キャスティングについて

本読みで初めて福士さんに発声してもらった時、「あ、一護だ」と思いました。一護は乱暴でカブいているけれど、ひとつのことに一途だったり、曲がった事が大嫌いだったり、様々な一面を持っています。それらを全部含めて演じてもらう時に、どういう声でどう動くのか。福士さんが演じる一護には、各々の性格の響きあいも感じられながら、何よりも一本芯の通った頼もしさがありました。ルキアに関しては、杉咲さんと、人間ではなく「死神」を演じる難しさに共に取り組んだ感じです。取り組むうちに、人間ではない異界の雰囲気が徐々に備わり、それでいて、非常に繊細な人間味が見えてきた。表情、立ち居振る舞い、話し方が本人の持っているものと合わさって、えも言われぬ、古風で澄み切った、なおかつキュートな存在感が醸せました。

アクションへの想い

今作は、青春群像でありつつ、突き抜けるようなアクション映画でありたいと思っていました。アクション監督の下村さんと話して、侍ものとして今までにないものをやりたいなと。全体の流れとして、最初は見たことのないもの(虚)と戦い、次第に力をつけた一護と、形の違う虚との戦いが続き、そして人間同士の、次元の違う戦いになる。そういう流れがいいと思って全体の構成を決めました。恋次戦では、スーパーアクションにならないように人対人の戦いを意識しましたね。超人的になりすぎないよう探りながら、ビデオコンテを何度も作っては検証し、作り直し、最後は下村さんと、絵コンテをハサミで切り貼りしながら練り上げました。そして白哉との戦いは、私が兼ねてからやりたかった、静と動の侍の戦いを表現しました。

こだわり抜いたグランドフィッシャー戦

一番思い入れが強いのは、やはりクライマックスですね。ほんの2シーンだけど2週間かけて撮りました。脚本の段階から、予想を超えた実写版『BLEACH』にするための見せ場として、とことん話し合いました。駅前ロータリーという舞台は原作にないのですが、「BLEACH」の一番面白いところは、この現代の都会に侍姿の死神がいて、巨大な虚(ホロウ)や死神と戦うところだと思ったので、最後の舞台として設定しました。グランドフィッシャー戦を最後に持ってくることは決めていましたが、それを現代の日常的な街並みの中でやりたかったんです。実際のセットとCGのセットとが融合し、さらにそこに、巨大な虚が加わって完成する場面なので、スタッフもキャストもあらゆる角度から何度も検証と打ち合わせを積み重ねて取り組みました。気持ちとしては、日本でも他でも見たことのない映像にしようと思って作りました。

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