すべての人間を操る力とは一体何なのか? また唯一その力が効かない男が存在するのは何故なのか? 「操る力」を持つ“男”=“Z”が引き起こした本事件にあたり、特殊な能力の考察をここに掲載する。 本件の被疑者は「眼で見た人間を意のままに操ることができる」力を持っている。にわかには信じがたい話ではあるが、その力は実際に存在し私自身も操られてしまった。操られている間の記憶は全くないため、記録映像及び「上野コンサートホール大量転落死及び籠城事件」時に設置した各種計測器のデータ、そして事件に巻き込まれた人々からの調書を基に、この“信じられない力”についての科学的解析を試みたい。

 

“Z”の「人間を操る力」は、“Z”の脳内で発生する超強力な思念による『共鳴(共振)現象』と推察する。同じ固有振動数を持つ物体は、離れた場所にあってもどちらか一方を振動させると他方も同様に振動を始め、増幅していくと破壊されることもある。この共鳴現象を量子レベルで発生させ、思念・意識に働きかけ支配していると思われる。近年、人間の強力な意識思念が量子に作用するという実験データが発表された(2013年「バーニングマン」実験)が、“Z”の強力な思念は量子振動を発生させ、量子もつれ(時空を超えて量子が同じ動きをする)のように距離に関係なく他者の量子を同期させ、意識思念を操っているのだろう。上野コンサートホール事件の際、会場付近に複数の「量子カウンター」を設置して計測を試みたが、“Z”が力を発揮している時間帯、特に「操る力」を発揮している時間帯はすべての計測器が異常値を記録している。

「操る力」発生時の“Z”の脳波計測、サーモセンサー計測を行ったところ、“Z”脳内の特に脳幹視神経野が超高稼働していることが記録されている。「共鳴現象」を発生させるほどの超強力な思念を生み出すためには、「視覚」によって「見たイメージ」を同時進行的に増幅させ続ける必要があるのだろう。イメージを遮断されると、思念の増幅ができなくなり、「操る力」も止まってしまうと推察される。

また「操る力」発生時は、“Z”の身体の血流の70%が脳に集中し超高速で代謝が進んでいる。また思念による共鳴は自身の肉体にも影響を及ぼし、多大な「操る力」使用時は“Z”の肉体を蝕み、末端から壊死していくのが確認されている。長年の力の使用で右脚は膝下から失っていて、本件事件中には左手第二指も壊死により失い、確保時には内臓もかなりのダメージを負っていた。

 

今回の調査で実はもう一人の特異体を確認している。当初、西新宿署発砲事件の主犯格として指名手配されていた田中終一である。田中終一は、“Z”に操られない唯一の人間として確認されている。田中終一は異常なまでの回復力を持っている。細胞の再生能力は通常の人間の100倍以上を記録している。また外部からの抗原抗体反応も尋常ではなく、これまで風邪などの病気に侵されたことは一切ない。田中終一の体内では、あらゆる外敵(病原体)に対しての抗体を瞬時に作り出し対抗してしまうようだ。おそらく“Z”の操る力である「共鳴現象」も外敵と判断し、量子レベルでの共鳴を遮断する力を発生させ、操られないのだと推察される。