幅広い作品に監督/脚本家/プロデューサーとして携わり、称賛を浴び続ける賞受賞歴をもつフィルムメーカーである。妻であり製作パートナーでもあるエマ・トーマスとともに製作会社シンコピーを運営している。
ロンドン生まれ。幼いころから父親のスーパー8ミリカメラで映画を作り始めた。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(UCL)で英文学を学ぶかたわら、UCLの映画クラブで16ミリ映画を撮影し、のちに制作した初の長編映画『フォロウィング』(98)で用いることになったゲリラ撮影のテクニックを培った。このノワールスリラーは、数々の国際映画祭において高い評価を獲得し、その後劇場公開された。
インディペンデント映画『メメント』(00/主演:ガイ・ピアース)で、初めて国際的な注目を浴びた。弟ジョナサン・ノーランの短編物語を自身で脚本化し、監督したこの作品は、多くの栄誉をもたらし、米アカデミー賞とゴールデングローブ賞の最優秀オリジナル脚本賞、そして全米監督協会(DGA)賞にノミネートされ、インディペンデント・スピリット賞の最優秀監督賞と最優秀脚本賞を受賞した。
次に、アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンクが共演して高い評価を得た心理サスペンス『インソムニア』(02)を監督。さらに、ミステリー・サスペンス『プレステージ』(06/出演:クリスチャン・ベイル、ヒュー・ジャックマン)では監督/共同脚本/製作を務めた。
そののち、クリスチャン・ベイルがタイトルロールを演じた『バットマン ビギンズ』(05)から始まる三部作の第二弾で、大ヒットを記録した『ダークナイト』(08)の脚本/監督/製作を務めた。『バットマン ビギンズ』から3年後に公開された『ダークナイト』は、10億ドルを超える世界興収を記録し、世界中から絶賛を浴びた。自身はDGA賞/全米脚本家組合(WGA)賞/全米製作者組合(PGA)賞にノミネートされ、作品は米アカデミー賞8部門にノミネートされた。物語を締めくくる三部作の最終章『ダークナイト ライジング』(12)もまた、10億ドル以上の世界興収をたたき出した。さらに、DCユニバースのスーパーマンシリーズを復活させた『マン・オブ・スティール』(13/監督:ザック・スナイダー)では製作に携わった。
2010年、自身のオリジナル脚本を基に監督/製作を担当し、高評価を受けたSFサスペンス『インセプション』で批評家と観客を魅了した。思考力を大いに刺激するこのドラマは、興収8億ドル超えの世界的ヒット作となり、その年の話題作のひとつとなった。『インセプション』は数々の賞に輝き、自身の最優秀作品賞と最優秀脚本賞を含む米アカデミー賞8部門でノミネートされ、そのうち4部門を受賞した。また、自身は同業者たちに評価され、DGA賞とPGA賞にノミネートされ、WGA賞最優秀オリジナル脚本賞を受賞した。
2014年、SFサスペンスドラマ『インターステラー』(出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、ジョン・リスゴ―、ケイシー・アフレック、マイケル・ケイン)で脚本/監督/製作を担当。高い評価を受けたこの作品は、米アカデミー賞5部門と英アカデミー(BAFTA)賞4部門にノミネートされ、両賞の最優秀視覚効果賞を受賞した。
近作には、監督/脚本を担当し、5億ドル超の世界興収を記録したアクションサスペンス大作『ダンケルク』(17)がある。この作品も高い評価を受け、最優秀作品賞と最優秀監督賞を含む米アカデミー賞8部門でノミネートされ、最優秀編集賞、最優秀録音賞、最優秀音響編集賞の3部門を受賞した。さらに、いずれも最優秀作品賞と最優秀監督賞を含むBAFTA賞8部門、米放送映画批評家協会賞8部門、ゴールデングローブ賞3部門にノミネートされ、BAFTA賞最優秀音響賞と米放送映画批評家協会賞最優秀編集賞を受賞した。
高い評価を受けて成功を収める幅広いジャンルの映画を製作してきた。夫のクリストファー・ノーランとともに、ふたりが所有する製作会社シンコピーを統率している。
ノーラン監督の好評を博したSFサスペンス『インセプション』(10)でプロデューサーとして米アカデミー賞にノミネートされた。レオナルド・ディカプリオ、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、エレン・ペイジ、トム・ハーディー、マリオン・コティヤール、渡辺謙、マイケル・ケインなど、国際的なアンサンブルキャストが出演するこの作品は、8億ドルを超える世界興収をあげ、米アカデミー賞4部門を受賞し、さらに作品賞を含む4部門にノミネートされ、同じく作品賞を含むゴールデングローブ賞4部門と英アカデミー(BAFTA)賞9部門にもノミネートされるなど数多くの栄誉に輝いている。自身は全米製作者組合(PGA)賞にノミネートされた。
また、およそ25億ドルの世界興収をあげたノーラン監督の「ダークナイト」三部作(05, 08, 12)でも製作を務めた。クリスチャン・ベイルがブルース・ウェイン/バットマンを演じた『バットマン ビギンズ』(05)から始まるこの三部作の第二弾『ダークナイト』(08)はボックスオフィスの記録を塗り替え、米アカデミー賞8部門にノミネートされて4部門を受賞し、BAFTA賞9部門にもノミネートされるなど、数々の栄誉に浴した。自身はこの作品で初めてPGA賞にノミネートされた。2012年、『ダークナイト ライジング』で三部作の製作を締めくくった。
さらに製作を担当した作品に、ザック・スナイダー監督のヒット作『マン・オブ・スティール』(13)がある。また、ノーラン監督のSFアクションアドベンチャー『インターステラー』(14/出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ)も製作。同作は、世界興収6億7500万ドル以上をあげ、米アカデミー賞5部門にノミネートされ、1部門を受賞した。
近作に、5億ドル超の世界興収を記録したアクションサスペンス大作『ダンケルク』(17)がある。この作品は、最優秀作品賞と最優秀監督賞を含む米アカデミー賞8部門でノミネートされ、最優秀編集賞、最優秀録音賞、最優秀音響編集賞の3部門を受賞した。さらに、いずれも最優秀作品賞と最優秀監督賞を含むBAFTA賞8部門、米放送映画批評家協会賞8部門、ゴールデングローブ賞3部門にノミネートされ、BAFTA賞最優秀音響賞と米放送映画批評家協会賞最優秀編集賞を受賞した。
権威あるロンドン大学ユニバーシティ・カレッジで学び、ロンドンのワーキング・タイトル・フィルムズでキャリアをスタートさせ、映画製作を実体験した。1996年、インディペンデント映画『フォロウィング』(98)の製作を担当。1年間、わずかな予算で週末だけ撮影されたこのノワールスリラーは、ゲリラ撮影の芸術性を極める作品となり、公開以前から世界中の映画祭で認められ、海外でも劇場公開されることになった。
次に、世界中で高評価を受けたインディペンデント映画『メメント』(00)で製作補を務めた。この作品は、インディペンデント・スピリット賞、英インディペンデント映画賞、そのほか多くの批評家協会賞の最優秀作品賞を含め、数多くの賞を受賞。この成功を受けて、サイコスリラーのヒット作『インソムニア』(02/出演:アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンク)の共同製作者として、初めて大手スタジオ作品を手がけた。
さらに、『プレステージ』(06/出演:クリスチャン・ベイル、ヒュー・ジャックマン)を製作。悲劇と殺人を引き起こすふたりのマジシャンの嫉妬に取りつかれた姿を描き、クリストファー・ノーランが監督したこの作品は、米アカデミー賞の最優秀美術賞と最優秀撮影賞にノミネートされた。
高い評価を受けたアクションサスペンス大作『ダンケルク』(17)でクリストファー・ノーラン監督とコラボレートし、米アカデミー賞、英アカデミー(BAFTA)賞、全米撮影監督協会(ASC)賞にノミネートされた。ノーラン監督と初タッグを組んだSFアクションアドベンチャー『インターステラー』(14)では、BAFTA賞にノミネートされた。また、両作品で多くの批評家協会賞を受賞した。
スパイク・ジョーンズ監督の高評価を得た未来型ラブストーリー『her/世界でひとつの彼女』(13)の撮影を担当。また、サム・メンデス監督のボンド映画『007 スペクター』(15)、ジェイムズ・グレイ監督のSFサスペンス『アド・アストラ』(19)の撮影も担当している。
わずか10年のキャリアで、レコード業界と映画業界の両方で多くの素晴らしい曲を送り出し、米アカデミー賞を1回、グラミー賞を複数回受賞し、さらに数々の賞にノミネートされている作曲家。ルーカスフィルム製作のスターウォーズの世界観で描く初の実写アクションシリーズで、ストリーミング配信された「マンダロリアン」(19~)で音楽を担当し、エミー賞に初ノミネートされた。
ライアン・クーグラー監督とのパートナーシップがキャリアの礎を築いた。『フルートベール駅で』(13)では、抑揚をおさえたメロディーを作り、『クリード チャンプを継ぐ男』(15)では観客のテンションを上げ、『ブラックパンサー』(18)では楽曲にアフリカのパーカッションを取り入れた。直近のコラボレート作品『ブラックパンサー』で、米アカデミー賞最優秀作曲賞とグラミー賞最優秀サウンドトラック賞を受賞し、さらにゴールデングローブ賞ノミネート獲得をはじめ、数々の栄誉に浴した。