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突然、人類を滅亡から救うミッションに巻き込まれてしまった名もなき男が、現在から未来へ進むという「時間のルール」から脱出し、相棒ニールと共に未来で起こる第三次世界大戦を防ぐタイムサスペンス超大作『TENET テネット』。
全世界で社会現象級の大ヒットとなっている本作を、一足先に体験したGACKTさん、岩田剛典さん、カズレーザーさんがその魅力を語ります。
GACKTさん
ミュージシャン
岩田剛典さん
俳優
カズレーザーさん
(メイプル超合金)
芸人
磯村勇斗さん&カズレーザーさん登場!
“逆行体験”イベント
時間の流れが入り乱れる『TENET テネット』の世界。観るものをくぎ付けにする怒涛のクライマックスは、まさにクリストファー・ノーラン監督が作り上げた大迷宮です。本解説は、オフィシャルの見解ではありませんが、謎が謎を呼ぶ本作を、様々な視点から考察します。
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01タイトルロゴ
本編冒頭の「ワーナー ブラザース」のロゴは時間の“順行”を示す「赤」で、続く「シンコピー・フィルムズ」のロゴは時間の“逆行”を示す「青」で彩られている。さらに音楽も逆再生になる。オープニングから本作のテーマが描かれている。
02エントロピー増大の法則
時間を逆行させても、実は物理法則は変わらない。その数少ない例外がエントロピー(乱雑さを意味する物理学用語)。エントロピー増大の法則により、時間に進むと必ず増大する。だから、バーバラが説明したように、エントロピーが減少すると時間が逆行して見える。一瞬だが関連した図式や数式もバーバラの部屋に映し出されている。
03研究所にあった残骸
研究所にあった時間を逆行する無数の残骸。未来で起こる第3次世界大戦で使われた逆行兵器の残骸だとされる。
04ダイエットコーク
ムンバイでの初めての出会いの際に、ニールが名もなき男のためにオーダーした飲み物。彼が任務中は飲酒しないことを知っての注文。ニールは調査のプロであることを自慢するが、すでに彼と出会い、交流をしていたことが垣間見える。
05ブルックスブラザーズ
アメリカで創業された世界最古の紳士服ブランド。マイケル・クロズビー卿との会合の際に着用。英国紳士の卿からは、粗末ないで立ちであり、大富豪のセイターに対するのは、分不相応だと断じられてしまう。
06トマス・アレポ
キャットと親密な関係にあった絵画の贋作作家。アレポによるゴヤの贋作を900万ドルの高額でセイターは落札した。
07ロータス社
オスロ空港の金庫室区画に建設された会社。絵画や古美術などのフリーポートとなっており、いわゆるタックスヘイブン(租税回避地)である。外部と隔絶されたその中央には、回転ドアがある部屋が存在していた。
08回転ドア

人間や物を時間に逆行させる回転ドアに似た装置。世界に数か所存在し、未来から送られてきた。4つのルールがある。

ルール1:
検証窓から、逆行(順行)する自身を確認しながら入室しなければならない。
自分の姿が確認できずに入ると、回転ドアから出られなくなる。

ルール2:
逆行する世界では、外気を肺に取り込めないため、酸素ボンベが必要。

ルール3:
逆行する世界では、もう一人存在する自分と直に接触してはならない。
防御スーツを着用せずに触れると粒子の対消滅が起きる。

ルール4:
逆行する世界では、高温のものが冷たく、低温のものは熱い。炎は氷に変化する。

09スタルスク12
セイターの故郷で架空の都市。核関連施設を有し、1970年代にソビエト連邦時代に20万人が居住していた。しかし爆発事故で、街は閉鎖され地図にも載っていない。放射能に晒される危険の中、瓦礫の中からプルトニウムを探す仕事に従事していた10代のセイターは、地中より未来から送られてきたタイムカプセルを発見する。
10アルゴリズム
物理的形態を持つ“ある手順”。アルゴリズムを起動すると、時間の流れ自体が逆行し、あらゆる生物が消滅するとされる。現在、9つに分割され、最後の1つをセイターと奪い合っている。
11赤いストラップ
五円玉のような穴が空いた硬貨に赤い紐が通してある。ニールが作戦中にショルダーバックに常に下げている。
12TENET
昏睡状態から目覚めた名もなき男が、フェイから託された言葉。“主義”と訳されるこの言葉は、人類を滅亡から救うために作り上げた挟撃作戦でありコードネームである。
13SATOR式回文
本編には登場しないが、「SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS」と書かれた謎の回文。古くは紀元79年に滅びたポンペイ遺跡や、羊皮紙に書かれた聖書、イタリアやフランスの教会内など、世界各地で発見されている。四角に組むと、横から読んでも、縦から読んでも同じになるが、中央には “TENET”の文字が浮かび上がる。そしてこの回文には、劇中に登場するキーワードも隠されており、「SATOR」はあのセイターの名前と同じスペルなのだ。
時間の概念について、ほとんどの人は不変的に動き続けるものだと捉えています。そして誰しもが時間に支配され、性格や出身、過去の経験などが違ったとしても、時間に対しては何もできないと誰もが知っていることです。しかしクリストファー・ノーラン監督の手にかかれば、その概念は湾曲され、圧縮され、伸長され、さらに逆行すら可能な、まるで従順な糸状の物質となります。ノーラン監督は、「この物語のコンセプトは時間そのものであり、私たちが時間をどう体験するかを描いています。それを、サイエンスフィクションとスパイジャンルの要素を交えて紡ぎ上げているのです」と語っています。
また、現代物理学によると時間の逆行は不可能ではないことが分かっています。それには、全てのものは無秩序に向かうというエントロピー増大の法則が関係しています。「あらゆる物理学の法則は対称的であり、時間を順行しても逆行しても変わりません。エントロピー以外は。定義に従えば、ある物体のエントロピーの流れを逆転させた場合、その物質の時間の流れを逆転させられるということ。実際に物理学者であるキップ・ソーンに脚本を読んでもらい、コンセプトについてアドバイスをもらいました。科学的に正しい物語だと主張する気はありませんが、そういう意味では、この物語は根拠のある物理学に基づいています。」とノーラン監督は説明します。
さらにノーラン監督は、自らのビジョンを実現させた秘密をこう解き明かします。「ものをカメラで逆に撮るというだけではない、複数のルールが必要でした。時間の方向性と撮影環境を組み合わせて考えたのです。つまり私たちのまわりで、ものがどう動くのか、私たちが呼吸する空気すらも考慮しました。時間逆行のコンセプトは左右対称ではないため、その複雑なルールには、より複雑な方法で対処する必要があり、さまざまなテクニックを使う必要がありました。キャストやスタントマンが異なる方向に歩いたり走ったりして戦闘シーンを演じ、異なる配置で車両を前や後ろに走らせました。長年の経験で学んだことを活かし、ある特定の映像を作り上げるため、1画面ごとに用いるさまざまなテクニックを駆使して、飽きることなく観客が没頭できる映画が出来上がるのです」。