監督 入江悠

1979年11月25日、神奈川県生まれ、埼玉育ち。日本大学藝術学部映画学科在学中から映画祭で注目を集め、短編映画がゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター・コンペティション部門に2年連続入選し、06年に初の長編映画『ジャポニカ・ウイルス』が全国劇場公開。埼玉でくすぶるヒップホップグループの青春をリアルに描いた『SR サイタマノラッパー』はミニシアター系劇場における数々の記録を更新し、第38 回モントリオール・ヌーヴォ国際映画祭で招待上映されるなど、国内外問わず高い評価を得る。10年には第50回日本映画監督協会新人賞を受賞。オリジナル作品から大作まで手掛ける、日本映画界に欠かせない若手監督のひとり。
『SR サイタマノラッパー』(09)
『ジョーカー・ゲーム』(15)
『太陽』(16)

この映画の企画を実現するのに、約2年半をかけ脚本は37稿の改訂を重ねました。映画の精度と質を徹底的に高めるためにディテールを叩いては壊し、また積み上げていく作業にそれだけかかりました。 主演は日本を代表する俳優のお二人、藤原竜也さんと伊藤英明さん。お二人がこの映画の中で生きるキャラクターをどう演じてくださるか、今からとても楽しみです。
キャスト、スタッフの皆さんと熱い夏の撮影を精一杯駆け抜けたいと思っています。緊張感みなぎる新しいサスペンス映画の誕生にご期待ください。

お話をいただいて最初の脚本を読んだ時、普段なら監督目線で読むんですが、この本は一読者として読めてすごく興奮したのを覚えています。題材がまずチャレンジングですよね。個人的にはミステリーやサスペンスをずっとやりたくて、初めて全面的に向き合えたのが一番の挑戦でした。日本の映画ってこういう題材だとエモーショナルな方向に寄せがちだけど、これならある種ドライでクールな作品が目指せるんじゃないかとも思いました。
藤原さん、伊藤さんに関しては正直ふたりが並んだ時どうなるかって最初は想像がつかなかったんです。でも初めて対峙したおふたりを見た時、これはすごい映画になるなって気がしました。僕から見るとおふたりはそれぞれアプローチの仕方は違うかもしれないけど、根本に持っている熱さは似ているなという印象。互いに譲らないところは絶対に譲らないですが、それと同じくらい柔軟性もある。そんなおふたりの化学反応を見ていて、毎日ワクワクしていました。
曾根崎は演じる人によって全く印象の変わるキャラクターだと思いますが、藤原さんはあえて抑えた芝居をしてくれています。それをあざとくやらなかった彼は、本当にクレバーな俳優だなと思いますね。初日の藤原さんの芝居を観た時「声ちっちゃ!」と思ったんですが(笑)、同時に「この男(曾根崎)は何を考えてるんだろう?」って自然と興味がわいてきました。伊藤さんは男くさくて野性的なものをずっと持っている牧村にピッタリでした。ただこれまで彼が演じてきたような正義のヒーローではなく、牧村はある種の敗北と共に生きている人。失意のどん底からずっと生き続けている男なんです。彼の今の年齢だからこそ成立したし、より魅力的に映っていると思います。
最初に脚本を読んだ時の面白さ。それを削がないように、観客が一瞬でも冷めてしまわないように、リアリティを追求することは心がけました。観終わった後は疲れるかもしれませんが、観客に何かを突き付けるような攻撃的な映画になったと思っています。

脚本 平田研也

1972年、奈良県生まれ。大学卒業後、制作プロダクションROBOTに入社。02年に山崎貴監督の『Returner』に共同脚本として参加する形で、映画脚本デビュー。以降、映画・TVドラマ・CM・展示映像など、さまざまな分野の脚本を担当。08年の『つみきのいえ』(加藤久仁生監督)が、第81回米国アカデミー賞R短編アニメ賞を受賞して一躍話題となる。その他の脚本作品に『SAMURAI CODE』(10/羽住英一郎監督)、『ボクは坊さん。』(15/真壁幸紀監督)、『マルコメ 料亭の味』シリーズCMなど。

音楽 横山克

1982年 長野県生まれ。国立音楽大学作曲学科卒。映画やTVドラマなどの映像音楽を中心に、POPSなどの作編曲も手がける。主な担当作品に映画『悪夢ちゃん The 夢ovie』(14/佐久間紀佳監督)、『ヒロイン失格』(15/英 勉監督)、『ガラスの花と壊す世界』(16/石浜真史監督)、『ちはやふる』(16/小泉徳宏監督)、ドラマ「夜行観覧車」(13/TBS)、「Nのために」(14/TBS)、アニメ「四月は君の嘘」、「クズの本懐」などがある。

c2017映画「22年目の告白 ―私が殺人犯です―」製作委員会