旗本の腰物同心だったが、私腹を肥やして民を苦しめる主と警護の同心6人を斬り殺し、その罪で賞金首となる。万次が斬った同心の一人が妹の夫で、ショックのあまり気が狂った妹を連れて逃亡の旅に出る。ある日、賞金稼ぎに妹を殺され、怒り狂って100人の追っ手を斬った果てに死にかけるが、謎の老婆・八百比丘尼(やおびくに)に細胞を甦らせる血仙蟲(けっせんちゅう)という不思議な虫を仕込まれて不死の身体になってしまう。この時の戦いが伝説となり、後に“100人斬り”と呼ばれるようになる。それから50年後、突然現れた少女に頼まれて用心棒となる。「めんどくせぇ」が口癖。本当は正義感が強く優しすぎる心根を、ぶっきらぼうな態度と乱暴な言葉で隠している。
1972年生まれ、東京都出身。主な映画出演作に、『君を忘れない FLY BOYS, FLY!』(95)、声の主演を務めた宮崎駿監督の『ハウルの動く城』(04)、山田洋次監督の『武士の一分』(06)、大ヒットアニメの実写映画化『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(10)、『HERO』シリーズ(07/15)、TVドラマ出演作に、「ロングバケーション」(96/CX)、「ラブジェネレーション」(97/CX)、「BeautifulLife?ふたりでいた日々?」(00/TBS)、「GOODLUCK!!」(03/TBS)、「プライド」(04/CX)、「エンジン」(05/CX)、「華麗なる一族」(07/TBS)、「CHANGE」(08/CX)、「MR.BRAIN」(09/TBS)、「南極大陸」(11/TBS)、「HERO」シリーズ(01/06/07/14/CX)、「安堂ロイド?A.I. knows LOVE??」(13/TBS)、「宮本武蔵」(14/EX)、「アイムホーム」(15/EX)などがある。
「撮影初日が終わったとき、気がつけば杉咲さんとハイタッチしていました。杉咲さん演じる凜は、きっとクランクアップまで万次の生きる意味になると思っていましたが、そのベースになる空気感を、お互い言葉にしないまま構築できたと感じたからかもしれません。それは、万次と凜の契りであり、自分と杉咲さんとの契りでもあったと思います。
万次は凜と出逢ったことで、生きる目的を確実に得ている。万次は死ねない身体ですから、本来当てはまらない言葉ですが、凜のために〈必死〉になれる。タイトルの〈無限〉とは、〈時間〉や〈時空〉ではなく、〈想い〉なのだと感じています。限りの無い〈想い〉。それは〈永遠〉と呼んでもいいものだと思います。
三池組にいると、海外の作品に参加しているような気持ちになります。僕は殺陣や立ち回りという言い回しがあまり好きではないのですが、三池監督はある大掛かりなシーンの撮影の前に「みなさん、いまから本番を迎えるシーンは、あくまでも殺し合いです」と伝えていました。自分と同じ感覚の人がいて、その人が撮影を見ていてくれることに非常にドキドキしたし、とても嬉しかったです。」
凜:江戸最強と謳われる“無天一流”を受け継ぐ浅野道場の一人娘。負けず嫌いで女の子らしいことには一切興味がなく、免許皆伝を目指して日々稽古に励んでいたが、ある夜、道場破りに現れた天津影久に父を殺されてしまう。敵討ちのために一人で修行をしていたところ、八百比丘尼から万次の存在を聞き、助けを頼むことに。一度は断れながらも、必死で万次を説得し用心棒として雇うことになる。
町:万次の妹。万次の目の前で賞金稼ぎに殺された。
1997年生まれ、東京都出身。「夜行観覧車」(13/TBS)で注目され、その後多くのドラマ、映画、CM等に出演。2016年公開の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』では数多くの映画賞を受賞した、今最も注目の若手女優。主な出演作は、『イン・ザ・ヒーロー』(14)、『繕い裁つ人』(15)、『劇場版 MOZU』(15)、主人公の妹役を演じたNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(16)などがある。
私の中の最大の不安は、凜が背負っている覚悟をどれだけ自分が大事にできるかということでした。ただ、演じる上で不安はいちばん邪魔になります。原作を何度も読むことで、自分なりに、できるだけ不安をなくそうとしました。三池監督は怖い方なのかなと思っていたのですが、衣装合わせで初めてご挨拶させていただいたとき、自分の印象と全然違っていて、すごくキラキラした目で想いを伝えてくださいました。現場に立った瞬間、不安が解決する。それくらい説得力のある場所で撮影することができました。木村さんとの最初のシーンが、凜が初めて万次さんと対峙するお芝居だったことも大きかったです。万次さんを信じること、木村さんを信じることを大切に臨むことができました。
流儀や格式に囚われず、あらゆる武器・剣技を用いて勝つことのみを目指す剣客集団、逸刀流の統主。古代風の斧での戦いを得意とする。すべての流派の垣根を取り払って統一することを目的に、江戸中の道場に戦いを挑んで潰し続けている。面差しは静かだが、身の内には野心が燃え盛り、幕府の使いから幕府御用達の武芸所の師範として招きたいと申し込まれた時も、武芸所の流派を逸刀流と命名することと、自分が頭取になることを条件とする。
1993年生まれ、東京都出身。初主演作の「仮面ライダーフォーゼ」(11/EX)で人気を獲得し、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」(13)で日本中にその名を知られる。2014年の『イン・ザ・ヒーロー』、『神さまの言うとおり』、『好きっていいなよ。』で、日本アカデミー賞新人俳優賞に輝く。主な出演作は、『図書館戦争』(13)、『ストロボ・エッジ』(15)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16)など。公開待機作に、『ちょっと今から仕事やめてくる』(17)、『曇天に笑う』(18)、『BLEACH』(18)がある。
初めての悪役ですので、お客さんがどのようにご覧になるかとても楽しみです。彼には逸刀流統主としての意志があり、それを貫いている。自分からすれば、天津は主人公として動いていますので、自分自身は善だと思って演じていました。三池監督とは二度目ですが、前回とは全く違う、濃いキャラなので自分自身は挑戦という気持ちでやらせていただきました。監督は「暴力的に、美しく」ということを強調されていました。特に「暴力的」という言葉は強く意識しました。1シーン、1カット撮るたびに緊張感があります。それがOKになったときの嬉しさは格別で、本当に価値のある時間になりました。木村さんが現場にいる姿を見ているだけで、こちらの身が引き締まります。役者としても、ひとりの男としてもすごく学ぶところが多い存在です。
逸刀流を狙う集団・無骸流に属し、自分たちと組んで天津影久を倒そうと万次に持ちかける。自分の汚れた欲望を叶えることしか頭になく、常識が一切通用しない危険極まりない存在。実は逸刀流を狙うのも、黒幕から出される金のためで、高潔な思想などは一切持たない。相手が女子供でも、容赦なく暴力を振るう残虐非道な男。そんな悪行を止めようとした凜を殺めようとしたところを万次に止められたことを恨み、復讐の機会を狙っている。
1987年生まれ、神奈川県出身。2001年、『リリイ・シュシュのすべて』で映画主演デビュー。2003年、『偶然にも最悪な少年』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、大ヒットTVドラマ「ROOKIESルーキーズ」(08/TBS)とその映画版(09)で人気を獲得する。主な出演作は、『ボックス!』(10)、『闇金ウシジマくん』(12)、『星ガ丘ワンダーランド』(16)、『ホテルコパン』(16)、『RANMARU 神の舌を持つ男』(16)、「不機嫌な果実」(16/EX)など。三池崇史監督作品は、『極道大戦争』(15)に続く出演。
天津影久が「奥の手」と呼ぶ、逸刀流の剣客。普段は遊女に身を投じているが、想いを寄せる天津からの命令で万次を“排除”しに現れる。長刀と三節棍を組み合わせたような三節槍を巧みに操って万次を圧倒する。元々は武家の娘に生まれるが、兄より剣の才能があったために、誇りを傷つけられた兄が自殺してしまったという悲しい過去がある。そのため、本当は人を斬ることに恐れを抱き、天津の志が正しいのかどうか疑うこともある。
1988年生まれ、兵庫県出身。「エンジン」(05/CX)、「野ブタ。をプロデュース」(05/NTV)で注目を浴びる。『DEATH NOTE デスノート』2部作(06)で映画デビューを飾り、圧倒的な人気を獲得する。10年ぶりの続編『DEATH NOTE デスノート Light up the NEW world』(16)にも出演。近年では、『LIAR GAME』シリーズ(07/09/10)、『SPEC』シリーズ(10/12/13)を大ヒットに導いた。その他の出演作は、『沈まぬ太陽』(09)、『駆込み女と駆出し男』(15)、『予告犯』(15)、『日本のいちばん長い日』(15)、『エイプリルフールズ』(15)、『ぼくのおじさん』(16)など。
鎧兜を身にまとい長刀を操る、巨漢の逸刀流剣士。父を殺され母を襲われ、恐怖と悲しみに震える凜に一目惚れし、それから2年の間、恋文を送り続ける。やっと再会した時、凜を殺してそのすべてを永遠に自分のものにすることが究極の愛だという異常な恋愛観と、凜の母親を殺したことを告白する。凜の用心棒となった万次の最初の敵討ちの相手となる。肩骨を背面まで曲げられるように鍛えていて、予想外の体制から攻撃に出ることができる。
1969年生まれ、大阪府出身。1999年の『皆月』、『日本黒社会LEYLINES』でキネマ旬報新人男優賞など数々の賞に輝く。三池崇史監督作品に数多く出演し、『龍が如く 劇場版』(07)で主演を務めた。主な出演作は、NHK大河ドラマ「天地人」(09)、『テルマエ・ロマエ』シリーズ(12/14)、『日本の悲劇』(13)、『寄生獣/完結編』(14/15)、『猫侍』シリーズ(14/15)など。『8年越しの花嫁』(17)、『羊の木』(18)が公開待機中。
無骸流に所属する、眼光鋭く気風の良い姉御肌の金髪美女剣士。逸刀流を狙うのには、ある事情を抱えている。
1984年生まれ。『バトル・ロワイアル』(00)で注目され、『キル・ビル』(03)で話題となり、『ハゲタカ』(09)で演技派として評価される。最近の主な出演作は、NHKドラマ10「コピーフェイス~消された私~」(16)、「不機嫌な果実」(16/EX)、映画では『劇場版SPEC』シリーズ(12/13)、『種まく旅人くにうみの郷』(15)、他多数。三池崇史監督作品は、『妖怪大戦争』(05)に出演している。
逸刀流の剣士。元々は百姓の息子で、まだ幼かった妹が、侍に斬り殺されたことから武士階級を憎んでいる。
1989年生まれ、沖縄県出身。2010年に舞台「おそるべき親たち」で俳優デビュー。2013年に、『風俗行ったら人生変わったwww』で初主演を果たす。主な出演作は、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(12)、『オーバー・フェンス』(16)など。公開待機作に、声の出演を務めた『ひるね姫~知らないワタシの物語~』(17)、『忍びの国』(17)がある。
浪士組の猛者で、賞金目当てに万次を追う。万次の妹を捕えて彼の目の前で殺し、怒り狂った万次と対決する。
1976年生まれ、東京都出身。北野武監督の『Kids Return キッズ・リターン』(96)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞する。主な出演作は、「ごくせん」シリーズ(02/03/08/09)とその映画版(09)、NHK大河ドラマ「八重の桜」(13)、「都市伝説の女」(13/EX)、「クロコーチ」(13/TBS)、『ストロベリーナイト』(13)、「SP警視庁警護課Ⅲ」(13/EX)、「LEADERSリーダーズ」(14/TBS)など。
800年生きているという謎の老婆。瀕死の万次にとどめを刺してくれと頼まれるが、代わりに不死身の身体にしてしまう。
1942年生まれ、東京都出身。1964年に本格デビューして以来、数多くの映画・TV・舞台で活躍する。近年の出演作は、「黒皮の手帖」(04/EX)、「とめはねっ!鈴里高校書道部」(10/NHK)、『デンデラ』(11)、「聖なる怪物たち」(12/EX)、「白衣のなみだ」(13/CX)、『空と海のあいだ』(14)、『フローレンスは眠る』(16)、「鬼平外伝 最終章 四度目の女房」(16/BSスカパー!)など。
逸刀流に属する剣士だが、虚無僧のような姿で単独で行動し、時代がかった言葉づかいをするミステリアスな男。不気味だが、どこか悲しみも秘めている。万次に自分と手を組んで天津を抹殺し、逸刀流を乗っ取らないかと持ち掛ける。万次に断られて凜を誘拐し、激怒した万次と壮絶な一騎打ちを繰り広げる。万次に大きな打撃を与えるほどの圧倒的な強さを誇るうえに、不死身のはずの万次を絶体絶命に追い込む“ある秘策”を隠し持つ。
1977年生まれ、東京都出身。1983年、歌舞伎座にて「源氏物語」の春宮で初お目見得。1985年に歌舞伎座にて七代目市川新之助を襲名し、数々の歌舞伎に出演する。2004年5月、十一代目市川海老蔵を襲名。同年10月パリでも襲名披露公演を行う。映画・TVドラマでも活躍、主な出演作は、NHK大河ドラマ「武蔵MUSASHI」(03)、『出口のない海』(06)、『利休にたずねよ』(13)、「石川五右衛門」(16/TX)など。三池崇史監督作品は『一命』(11)、『喰女-クイメ-』(14)に続く出演。
幕府の新番頭。天下泰平となった今の時代の若い武士の生温さを嘆き、幕府御用達の武芸所を作って彼らにもう一度、剣術と士道とは何かを教えたいと考えている。天津影久の隠れ場所を探し出し、武芸所の師範にならないかと持ち掛けるが、野心に燃える天津から頭取への就任を要求され、一旦幕府に持ち帰る。普段は礼儀正しく、静かで重厚な佇まいだが、その奥にただならない殺気を漂わせている、油断のならない男。
1945年生まれ、東京都出身。クラシックバレエとモダンダンスを学んだ後、1974年より独自の舞踊活動に入る。国際的に高く評価され受賞歴は多数、1990年にはフランス政府より芸術文化騎士章なども受章している。『たそがれ清兵衛』(02)で映画デビューし、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞と新人俳優賞に輝く。主な出演作は、「ハゲタカ」(07/NHK)、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(10)、『八日目の蝉』(11)、『永遠の0』(13)、『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』(14)、NHK連続テレビ小説「まれ」(15)など。
由緒ある流派として知られ、かつて幕府の剣術師範も務めていた、心形唐流(しんぎょうとうりゅう)の高潔な総師。重い病を患い余命わずかと悟り、自分に残された仕事は、いずれ再び日本に訪れるに違いない動乱を戦い抜ける真の武士を育てることだと決意する。その志を継げる者は逸刀流しかいないと考え、天津影久に逸刀流の同志に加わりたいと申し出る。高尾山の指南所で、はるばる訪ねてきた天津を迎えるが、ある陰謀に巻き込まれる。
1936年生まれ、千葉県出身。黒澤明監督の『天国と地獄』(63)や『赤ひげ』(65)で高く評価され、伊丹十三監督の『お葬式』(84)と『マルサの女』(87)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞する。2007年に旭日小綬章を受章。近年の出演作は、『おくりびと』(08)、『日本のいちばん長い日』(15)など。三池崇史監督作品は『藁の楯 わらのたて』(13)に続く出演。