米アカデミー賞に2度ノミネート経験をもつイギリス出身の女優。ジェーン・オースティンの名作小説「高慢と偏見」に基づくジョー・ライト監督作『プライドと偏見』(05)で、エリザベス・ベネットを演じ、オスカーとゴールデングローブ賞(コメディ/ミュージカル)の主演女優賞にノミネートされた。その2年後には、ライト監督の『つぐない』(07)のセシーリア・タリス役でゴールデングローブ賞(ドラマ)と英アカデミー(BAFTA)賞の主演女優賞にノミネート。ライト監督とは、レフ・トルストイ著の小説に基づき、オスカー受賞のトム・ストッパードが脚本を書いた『アンナ・カレーニナ』(12)でも組んだ。
2014年のモルテン・ティルドゥム監督による伝記的映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』では、ベネディクト・カンバーバッチと共演し、2度目のオスカーノミネート(助演女優賞)を果たした。第二次世界大戦中のイギリスの極秘暗号解読センター“ブレッチリー・パーク”に集められた天才数学者アラン・チューリング率いる才能豊かな人々のチームを追った同作で、チームの一員ジョーン・クラークを演じた。テルライド映画祭でプレミア上映されて高い評価を得たのち、同作はトロント、ハンプトンズの両国際映画祭で観客賞を受賞した。
6歳のときに撮影したフェルナンド・フェアファクス監督のTV映画「Royal Celebration」(93)で俳優デビュー。10歳のとき、パトリック・ドゥヴォルフ監督作『イノセント・ライズ』(95)で映画デビューを飾った。その後、ジョージ・ルーカス監督の『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(99)で、ナタリー・ポートマンと共演。続けてニック・ハム監督の『穴』(01)ではゾーラ・バーチと共演し、ギリーズ・マッキノン監督の『PURE ピュア』(02・未)に出演した。初めて大きな注目を浴びたのは、グリンダ・チャーダのコメディ・ドラマ『ベッカムに恋して』(02)で、ロンドン批評家協会映画賞の英国人新人賞を受賞した。
03年、ゴア・ヴァービンスキー監督の『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』でヒロインのエリザベス・スワンを演じた。ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、ジェフリー・ラッシュらと共演した同作は、全世界で6億5400万ドル以上の興収をあげる大ヒット作となった。その続編『デッドマンズ・チェスト』(06)と『ワールド・エンド』(07)にも出演した。03年にはそのほかに、リチャード・カーティス監督の『ラブ・アクチュアリー』のアンサンブル・キャストに加わり、04年には「パイレーツ~」シリーズのプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーと、アントワーン・フークア監督の『キング・アーサー』で再び組んだ。08年のソウル・ディブ監督作『ある公爵夫人の生涯』では英インディペンデント映画賞主演女優賞にノミネートされ、10年のマーク・ロマネク監督作『わたしを離さないで』では同賞助演女優賞にノミネートされた。13年のトロント国際映画祭でプレミア上映されたジョン・カーニー監督による音楽ドラマ『はじまりのうた』ではマーク・ラファロと共演。14年には、リン・シェルトン監督の『Laggies』で、サム・ロックウェル、クロエ・グレース・モレッツ、マーク・ウェバーら、すばらしいアンサンブル・キャストの一員に加わった。15年のバルタザール・コルマウクル監督作『エベレスト 3D』ではジェイク・ギレンホール、ロビン・ライトと共演した。
そのほかの主な映画出演作は、ジョン・メイバリー監督の『ジャケット』(05)と『ザ・エッジ・オブ・ウォー 戦火の愛』(08・未)、フランソワ・ジラール監督の『シルク』(07)、マッシー・タジェディン監督の『恋と愛の測り方』(10)、ウィリアム・モナハン監督の『ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-』(10)、デヴィッド・クローネンバーグ監督の『危険なメソッド』(11)、ローリーン・スカファリア監督の『エンド・オブ・ザ・ワールド』(12/共演:スティーブ・カレル)、 ケネス・ブラナー監督の『エージェント:ライアン』(14)など。
また、数多くのTV映画、ミニシリーズにも出演している。その主な作品には、ジュリエット・メイ監督の「The Treasure Seekers」(96)、ジャイルズ・フォスター監督の「Coming Home」(98)、レニー・ライ監督の「オリバー・ツイスト」(99)、ジャコモ・カンピオッティ監督の「ドクトル・ジバゴ」(02)などがあり、ピーター・ヒューイット監督の『レジェンド・オブ・アロー』(01)ではロビンフッドの娘を演じた。
ロンドンのウエストエンドでの舞台デビューは、09年12月のコメディ・シアターにおける「人間嫌い」。モリエールの喜劇をマーティン・クリンプが翻訳し、シーア・シェアイックが演出した同作で、オリビエ賞助演女優賞にノミネートされ、イブニング・スタンダード演劇賞のナターシャ・リチャードソン賞(主演女優賞)にノミネートされた。11年1月には、コメディ・シアターで、イアン・リックソン演出のリリアン・ヘルマン作「子供の時間」に出演した。15年後半にはブロードウェイ・デビューも果たした。エミール・ゾラの小説をヘレン・エドムンドソンが戯曲化し、エバン・キャブネットが演出した「テレーズ・ラカン」のラウンドアバウト・シアターでのリバイバル公演に出演した。
さらに、シャネルの顔として、格式あるブランドの広告に登場している。