ボブ・デラウレンティス ボブ・デラウレンティス
製作総指揮

彼は映画界の大物ディノ・デラウレンティスの親戚ではない。ディノのラスト・ネームの綴りには“i”が一つ多い。実際、「The OC」の製作総指揮を務める彼は、脚本家/製作者としての長いキャリアの中、幾度となくそれについて聞かれてきて、ついには自分の会社を“ワン・アイ”(iは一つ)と名づけたくらいだ。そんなユーモアセンスとテレビ界での豊富な経験、おおらかな性格によって、彼は「The OC」の製作者たちに好かれ、製作の中核を担う人物として参加することになったのだ。

このクレージーな業界にどのように入られたんですか?
ボブ・デラウレンティス(以降、BD):典型的でシンプルな形で入った。僕は西海岸のバーで働きながら一作目の脚本を書いた。それをハリウッドの製作者に送ったところ、呼び寄せられて、もう1作書くことになったんだ。
それからたくさんの脚本を手がけることになって、映画を作ることになり、脚本家と製作者を本格的に目指し始めたんだ。でもそれは映画界では難しいことだったから、80年代終わりにすんなりとテレビ業界に移行した。そこなら脚本家と製作者を目指せるからね。まあ、そんなとこかな。

テレビ界で成功し始めたのは、いつぐらいですか?
BD:続かなかったシリーズを2作ほどディック・ウルフ(後に「ロー&オーダー」を手がける)と一緒に作り、ブルース・パルトローと「St. Elsewhere」を作った。それから膨大な数の作品に携わり、USAネットワークの「The Big Easy」というシリーズを製作した。「プロビデンス」を立ち上げ、3年間携わり、その後NBCの作品を手がけた。そのころ、ジョシュ・シュワルツという若者から連絡が来たんだ。

「The OC」の他の製作陣に聞いたのですが、全国ネットのシリーズものを手がけた経験の豊富な製作者が比較的少なかったため、局側から経験豊富な製作者を加えるよう指示されたそうです。ステファニー・サヴェージが言うには、彼らはあなたに出会うまで、それを拒み続けたと。どうして、あなたは受け入れられたと思いますか?
BD:美的センスが共通していて、やりやすかったんじゃないかな。若い人や年配の人や中年の人がいて、年齢に関係なく、同じような映画や音楽や趣味を好んだとしよう。それは年代を超越して感性が合うということで、すごく気楽に感じるだろうし、一緒に仕事もしやすくなる。
エンターテイメントの世界で “ 方向性の違い ” を理由に物別れするなんて話を聞くだろう。あれこそが感性の違いだ。エンディングをどうするかで意見が割れて、物別れするなんてことは滅多にない。もっと基本的なアプローチの仕方の違いで、関係は崩れるんだ。うまくいっている人間関係は、そういうところが共通しているのさ。うまくいかない場合は、根本が違うからだ。人生について根本的な考えが一致していれば、うまくいく。自分とはまったく考え方が違うから、何を言ってもムダと思う人間関係はうまくいかない。ステファニーとジョシュと僕の場合は、幸運にもウマが合ったんだ。同じ本が好きで、同じ映画が好きで、同じような音楽を聴いていた。年の差は大きいのにね。
相性の問題だよ。NBAに例えれば、スーパースターを3人同じチームに入れても、うまくいかないことが多い。違う能力を持った人間を組み合わせることが大事だし、もっと重要なのは同じ目標を持ってプレーすることなんだ。この業界でもそれは同じで、クリエイティブな面で相性が合うかどうかが大切なんだ。

「The OC」という一つの現象を作ったドラマにおいて、あなたの役割は何ですか?
BD:脚本家とストーリーを練ることと、番組全体を管理することに時間を費やしてるね。新しいキャラクターを何人加えるかとか、それぞれいくつのエピソードに出演させるかとか、ストーリーの流れはどうするかとか大まかなところだね。エネ ルギーの大部分はそういうところに費やしていて、残りはクリエイティブ側とプロダクション側の橋渡しかな。
僕のオフィスは、ぴったり通路の真ん中付近にある。左手がプロダクション側、つまりライン・プロデューサーやロケーション担当者や経理担当者などがいて、右手にはジョシュを含めた脚本家たちの部屋がある。そんなオフィスの位置が僕の役割を示しているね。
予算についての責任があって、何に使うか、どのくらい使うか、どこに使うかなども考える。クリエイティブなことをやろうとすればするほど、お金がかかるからね。だからクリエイティブな面から見て、何をあきらめて、何をやるべきかその判断を誰かがしなければならない。それが僕なんだ。

脚本家とストーリーを練ると言いましたが、そこではどんなプロセスが踏まれてるんでしょうか?
BD:4人以下の最低限の脚本家たちと、ストーリーラインをボードに描き、いろいろ動かしてみるんだ。創造し、分解し、それを繰り返して各エピソードの概要をまとめる。例えば昨日第13話の案を練っていたんだが、大まかな内容がボードに描かれたら、それを第13話を担当する脚本家が紙に書き、脚本を書き始めるんだ。
その後、局と製作会社の人間がそれに目を通し、了承を得て、脚本家が改めて脚本に起こす。それから仕上がりをジョシュに知らせて、だいたい完了する直前ぐらいにジョシュに見せ、最終確認をしてもらう。もちろんジョシュ自身もたくさんのエピソードを書いているがね。

ジョシュはインタビューの中で、あなたは彼のよき師であり、疲れ切ってしまわないためにも自分の時間を取るよう言ってくれたと話していました。そうやって一人一人に気を配るのも、あなたの役目の一つだと思われますか?
BD:そうだね。最も経験が多く、製作を楽しんでいる年長者としては、番組を長く続かせるためにはいろいろな要素が必要だと知っているし、それに注意を向ける責任もあると思っている。脚本家はドラマシリーズを手がけると疲労困憊してしまうことが多い。そして1月ごろには、みんな疲れ果ててしまって嫌気がさし始める。それでクビにされていくんだ(笑)。
だから、そういうことにならないように気を配ってる。長い1年をみんなが乗り越えられるように、スケジュールに余裕を持たせたりしてね。とてもハードなんだ。特に物語が中盤にさしかかる冬の時期はね。4月下旬に最終回だとすると、2月ぐらいには、みんな疲れ始める。頭の中がそれまでに考えた複雑なストーリーラインでいっぱいになるからね。

シーズンとシーズンの間は? 休みは十分に取れるんですか? あるいは次のシーズンに向けての準備に費やすんですか?
BD:それは個々の役割によるね。ファースト・シーズンの後、3ヶ月ほど空白の時期があったが、ジョシュと僕は10日から2週間ぐらいしか休んでない。脚本家たちはちゃんと休めたよ。だけど、僕らはセカンド・シーズンのことを話し合っていたんだ。最初の6話分ぐらいの大まかなあらすじを考えて、大体の計画を決めて、制作にまつわることをいくつか片付けてといった具合に動いていた。だからシーズンの合間もやることはある。3ヶ月ぐらい空きがあっても、3ヶ月まるまる休めるってわけではないんだ。

あなたは今までいくつもの番組を成功に導いてきました。でもシリーズの成功は製作陣がコントロールできるわけではありません。視聴者が支持するかどうかです。正直なところ、ファースト・シーズンに得たような反響を持続できると思っていましたか?
BD: いや。正直そういうことは誰にもわからないと思う。作品に参加するか否かは、いくつかの要素によって決める。素材が好きだと思うかどうかがその一つ。それは参加している他のスタッフが好きかどうかということでもある。スタッフは好きだけど、素材は嫌いとか、またはその逆の場合もあり得る。しかし「 The OC 」に関していえば、どちらも兼ね備えていた。
ステファニーとジョシュに初めて会った時、僕はすぐに親近感を覚えた。パイロット版を読んでいて、作品に対しての感想は既に固まっていた。非常によくできた脚本だったから、まずそれに気持ちが動いた。それから僕はこのドラマのような複雑な人間関係を描くジャンルには精通していたから、素材にも心を動かされた。そしてミーティングに立ち合い、スタッフと出会って、完全に気持ちを動かされてしまったんだ。もうその時には参加すると決めていた。
質問に戻ろう。参加したくなる要素を兼ね備えた作品が必ず当たるか? 答えはノーだ。昔「 Tattingers 」( 1988 年 10 月〜 1989 年1月)というドラマに携わったことがある。パイロット版はすばらしく、ニューヨークが舞台の作品だった。僕はスティーブン・コリンズやブライス・ダナーといった俳優陣も気に入っていて、作品の世界観も好きだったが、うまくいかなかったんだ。みんなが口をそろえてヒットすると言っていたにもかかわらず。それがこの仕事の難しいところだ。
世に放ってしまったら、それがどうなるかはわからない。だからって成功しそうな作品を選ぶというのは、あんまりおすすめできない考え方だね。素材やスタッフが気に入ってなかったら、ただのつらい仕事だからね。回りにいる人たちと仲よくできなかったら、ただ憂うつなだけだ。そんな仕事をしてるほど、人生は長くないよ。

ティーンネイジャーの子供に焦点を当てたシリーズを製作する場合、その前提に従うと難しいことになりますよね。高校を卒業しても、頻繁に会う状況を作って、しかもそこに現実味を持たせなければいけない。「The OC」を成功に導いた“ティーン”というキーワードは、シリーズが長引くと逆に難題になると思いませんか?
BD: それは僕らも話し合っている課題だ。まだそれを決断する時期にはさしかかっていないがね。局や製作会社も何らかの意見を出してくるだろうが、今のところはまだ話し合う段階にない。今はセカンド・シーズンで手いっぱいだからね。
でも今までにも高校生を扱ったドラマで、登場人物たちが高校を卒業しても続いたドラマはいくつもあるからね。もちろん、そこに現実味がなくて、続かなくなったドラマがあることも知っている。現段階では、どういう方向に持っていくか明確には答えられない。サード・シーズンの初めごろになったら、“ さあ、どうする?”って言い始めるんだろうけど。高校後のことをどうするかについては、選択肢はいくつかある。どれにするかだ。高校生活を長引かせるのか? 卒業直後のことを描くのか?これから何をするか迷ってる彼らが、集まる状態にして描くのか? その判断を下さねばならない時が来たら、明らかに悩むだろうね。

「The OC」の特徴の一つは大人たちによる魅力的なストーリーが混ぜ合わされているところでしょうね。多くのドラマは、「The OC」のような世代を超えた支持を得られないものだと思いますが。
BD: 番組に関する記事を読んでいると、その多くが我々が若者間のドラマと同じくらい大人たちのドラマにも力を注いでると書いている。その通りだ。一話ごとに、若者に注目してる度合いと大人たちに注目してる度合いが微妙に違っていて、バランスをとっているんだ。どちらのストーリーにも興味を持ってもらえるように、意図的にやっているんだよ。

今まで15年にわたり、テレビ界でたくさんの経験を積んできたことと思いますが、あなたがこの仕事についた80年代後期に比べてテレビシリーズはどのように進化していますか?
BD: 微妙な進化だと思う。特に何も変わってないとも言えるくらいだ。現在していることと、「プロビデンス」でしていたこと、またできたこととの間にそう差はない。「プロビデンス」は際立っていい作品だった。ただ登場人物が 30 代か、 10 代とその親たちかという世代的な違いしかないように見える。このジャンルの根本的なところは変わってないんだ。
同じジャンルで失敗したドラマを見ると、共通してその根本的な部分が欠けているんだ。それは基本的なことで、実にシンプルなことだが、いざ組み込もうとすると非常に難しい。その根本的な要素とは、同時にコメディと恋愛とドラマ性と家族間の物語を器用に展開させるということなんだ。どれか一つのトーンにハマったら、作品は失敗する。笑えるシーンから悲しいシーンにさっと展開させられることが、このジャンルでは重要なんだ。それは人生を描くということさ。
現代はいろいろと自由になったと思われがちだが、どちらかというと保守的だよ。むしろ 90 年代のほうが今よりもまかり通ることが多かったと思う。我々は新たな保守的な時代に突入しているんだ。

「The OC」の要素を含んだ「Athens」という新しいドラマの存在が報道されるようになりました。批評家の中には東海岸版「The OC」だという人もいます。ちょうど一年前、「The OC」が昔のドラマと比較されたように。そして現在はあなたのドラマが、新しいドラマと比較されるようになりました。とても皮肉かつ、こっけいなことですが・・・
BD: 「 The OC 」が比較されるようなドラマになってうれしいよ。一つの文化的な現象とならなければ、そうは扱われないからね。我々が生きる社会とはそういうもので、最近は情報が広まるのが非常に早い。でも大切なのは明日は我が身ってこと。来年新しいドラマがスタートして、それが新たな現象となるかもしれないからだ。でも「 The OC 」が同じような番組のバロメーターとして使われることは我々にとって非常に喜ばしいことだ。
正直言うと、「 Athens 」は「 The OC 」に似たドラマではないと思う。製作者がかぶっているから同じような感覚はあるだろうが、まったく異なる世界観をもっている。「ダラス」とか「プロビデンス」とか、地域にまつわるドラマを振り返ってみると、神話的になっていることが多いんだ。それはその地域の本質を掘り下げるため、その世界観があらわになるからだろう。

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