アレックス・パツァヴァス アレックス・パツァヴァス
「The OC」の音楽

「The OC」の音楽は印象深く、力強い。シーンの雰囲気を盛り上げるだけでなく、アーティストやバンドは劇中の会話の中でも語られ、実際のライブ・パフォーマンス場面などもあり、若者たちに支持される番組となった一端を担っている。「Music From THE O.C.」というタイトルで既に6作のコンピレーション・アルバムがリリースされていて(2007年1月現在/輸入版のみ)、劇中の音楽がいかに印象深いかを物語っている。これらはすべて番組の音楽を管理しているアレックス・パツァヴァスの手腕によるものである。

多くの音楽やドラマのファンが、「The OC」の音楽監修としてのあなたの仕事をうらやましく思っているはずです。
アレックス・パツァヴァス(以降、AP):いい仕事だから。今までで一番楽しいわ(笑)。音楽の監修の仕事を始めてもう10年ぐらいになるの。私は80年代風のカッコ悪い髪形でクラブやライブに足しげく通っていて、学生時代は大学で演奏してもらうバンドをブッキングしたりしていたの。それが今の仕事のはじまり。極めて典型的な方法で音楽業界に入ったってわけ。
トライアッド(後のウィリアム・モリス)に所属するアーティストをたくさんブッキングしたわ。そうしてトライアッドの郵便仕分け係になり、 90 年代初めにトライアッドはさらに強力なアーティストを手がけるようになった。 ニルヴァーナとかザ・ロウズといったビッグなアーティストをね。その後、私はBMI(演奏権管理団体)の映画とテレビの部門に入り、音楽監修という仕事があることを知り、“何ていい仕事だ”って思った。
私はクラシックを含め、いろんなジャンルの音楽に興味があったから、この仕事が気に入ったのよ。音楽監修という仕事は流行を把握するだけでなく、自分のセンスを存分に発揮できる仕事だと思った。
ロジャー・コーマン(著名な映画監督)の下で、音楽監修の仕事に初めて携わった。コンコルド・フィルムで音楽コーディネーターとして働き、3年間で 100 もの作品を手がけた。「デスレース2000」などロジャー・コーマンの名作をね。

コーマンは“低予算の王者”として知られていますが、それは音楽監修の仕事にも影響しましたか?
AP:もちろん。使用許可を得る資金がなかったから、ローカルのバンドをたくさん使ったわ。私が初めて音楽監修を手がけた作品は「スペース・プリズン/美女SM収容所」という作品なんだけど、それでも私の親は喜んでくれた(笑)。でもメルヴィンズやフー・マンチューといったバンドに参加してもらえた。
その後、私はザ・チョップ・ショップという自分の会社を立ち上げ、「 Happy Texas 」とかサンドラ・ブロック主演の「ガンシャイ」といった映画を手がけた。初めて手がけたテレビシリーズは「ロズウェル/星の恋人たち」だった。

音楽の役割が大きい「The OC」は、「ロズウェル/星の恋人たち」などの他作品とは大きく違いますか?
AP:音楽の重要性は作品ごとに違うものよ。でも「 The OC 」は夢のような仕事だわ。周知の通りジョシュ・シュワルツ(原案)が音楽好きだし、製作者たちも編集者たちも音楽にのめり込んでる人たちばかりという環境で仕事ができてるの。みんな楽しんでるわ。

製作の人々の多くが音楽好きだと、時としてやりにくいのでは?
AP:そうでもない。みんなけっこうセンスが似てるから、やりやすい。時にシーンに完璧に合う曲を見つけるためにいろいろ試したりする。シュワルツが脚本で曲を指定していることもあって、それがまたシーンとよくマッチするのよ。そしてまたある時は、私がある曲を聴いて、どうしても使いたくなったりもする。いろんな形で音楽が決まっていく。面白いわよ。

一般的には一話に何曲必要と言われ、用意するものですが、そんな感じですか?
AP:いや、むしろ逆。出来上がったばかりのシーンを見ると、どこに音楽が必要か分かる。だから私は製作陣とそこにハマる音楽を探す感じ。各エピソードごとに予算があり、使いたい曲をすべて使えない時もある。だから予算に応じて、曲を替える時はあるけれど、基本的には必要なだけの音楽は用意するわ。

では、脚本の段階では曲は決定していない?
AP:そういう時もあるし、脚本に特定の曲名が書かれてる場合もある。シュワルツがフィンリー・クェイとベス・オートンの“ダイス”というように明確に書いていたら、私は許可を得るために動く。楽な時もあるけど、苦労する時もある。
また曲はいいんだけど、映像と合わせてみると、雰囲気やアレンジや歌詞が合っていないような感じを受ける時もある。歌ものだろうが、インストだろうが、映像と合ってなければ意味がない。想像以上にそれは作品にとって大切なことなのよ。

楽曲の使用許可を得る時、どういったシーンで使うのか説明するんですか?
AP:ええ。要請する時は書面にして、エピソードのタイトルを付け、シーンの概要や曲を入れるタイミングなども書き込む。かなり細かく書くわよ。ちゃんと法的に正当な許可を得たいから。

ファースト・シーズンではボブ・シーガーの1976年のヒット曲“NIGHT NOVES”が何度か使われていましたね。あれはシュワルツがどうしても使いたいと言い、あなたが許可を得るために奮闘した曲ですか?
AP:その通り。時に、絶対にこの曲じゃなければというものがある。ちゃんとした理由があって、また予算内という条件下でね。難しかったのは、ボブ・シーガーがあまり自分の曲をテレビで流されるのを好まないことだった。だから私たちは彼の会社に出向いた。彼は番組のことを知っていて、気に入ってもいた。それで許可が下りたってわけ。

インディースのアーティストを多く使おうとしてたりします? 予算的にも許可を得やすい気がするんですが。
AP:皮肉なことにインディースのほうが許可を得にくかったりする時もあるのよ。マネージャーがいなかったり、連絡先が大学の寮だったりしてね(笑)。メジャー・レーベルだとシステムが出来てるから、処理がスムーズだったりもする。レーベルの権利関係の人間や出版業者はよく知ってるから、週に10曲の権利が下りたりする。もうお互いに慣れているから。

インディースのバンドは手続きについて、ちゃんと理解しているものですか? それとも時間を費やして、説明しなければならなかったりします?
AP:インディースのバンドは教えなきゃいけないわね。曲を譲り受けたいというわけじゃなく、いわば借りるようなものだというようなことを説明するの。彼らは大きな話には猜疑心を抱くものだから、教え込む。でも、たいがいはいい反応が返ってくるわ。どのバンドも「 The OC 」にハマっていたりするから。
私はインディースのアーティストが好きよ。ピンバックみたいなバンドを使えるのは感激。私たちはインディースのレーベルやアーティストをサポートしてるの。

ルーニーについて聞かせてください。彼らは番組に出演したことで人気を得たと聞きますが、実際はどうなんですか?
AP:彼らはツアーの合間に番組に出演したんだけど、その後セールスが大きく上がったらしいわね。もちろん彼らは大喜びよ。次は「 Chrismukkah 」という3作目のサウンドトラックでは彼らをフィーチャーするつもり。シュワルツと一緒にその制作に取り組んでいるところなの。

セカンド・シーズンでは、番組に登場するクラブ“ベイト・ショップ”でもっとライブ・パフォーマンスを見せるつもりですか?
AP:既に初めの4バンドは決まってるわ。ザ・ウォークメン、ザ・キラーズ、モデスト・マウス、ザ・スリルズよ。彼らはセカンド・シーズンの初めに出演することに なる。シュワルツは脚本でバンドを投入できるところがあったら教えてくれるし、誰か探してくれと言ってきたりもする。

番組のタイトルは「The OC」ですが、オレンジ・カウンティのバンドだけに限定しているわけではないんですよね?
AP:最も重視しているのは、映像に合うかどうかよ。オレンジ・カウンティ出身のバンドも、もちろん使ってきたけれど、例えばザ・スリルズはアイルランド出身で、モデスト・マウスはワシントン州、ザ・キラーズはラスベガスで、ザ・ウォークメンはワシントン DC のバンド。どこ出身のバンドかよりも、雰囲気に合うかどうかが大切なの。



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