「BLEACH」にとって欠かせない魅力のひとつがアクションだ。以前から“日常の中でのソードファイト”がやりたかったという佐藤監督は、アクション監督に下村勇二を迎え、『GANTZ』や『図書館戦争』シリーズに続いて本作でも絶妙なコンビネーションを発揮。死神同士の激しい剣戟や虚(ホロウ)と対峙する超絶スペクタクルなシーンの数々を作り上げた。「15年続く人気漫画なので、原作に振るのか実写に振るのか、その間を取らなければファンの方にも初見の方にも喜んでもらえない。フルCGの虚との対決、刀での恋次戦、それを凌駕する白哉戦。それらをどう見せるかが課題でした」(下村)。
しかし、独特な世界観を持つ「BLEACH」のアクションを完全に再現することは、決して容易ではなかった。特に、死神たちが持つ特殊な武器、“斬魄刀(ざんぱくとう)”を使った剣戟には相当な苦労があった。「難しかったですよ。あの大きさと重さのものを実際に使用したら、絶対に見ごたえがあるアクションはできない。だから、刀そのものは軽く振りやすいものにして、あとからCGでテクスチャを付けて金属感を出しました。そういった現場での工夫やCG技術によって、結果として斬魄刀でのシャープなアクションが成立し、想像をはるかに超えたものになりました」(小岩井P)。
さらに、福士をはじめとする俳優陣は、ほぼノースタントで撮影に挑んだという。持ち前の身体能力と「仮面ライダーフォーゼ」で鍛えた身体で挑んだ福士は、ボロボロになっても最後まで戦い抜く主人公を熱く演じきった。「攻めの動きが多いヒーローものと違って、まだ成長途中の役なので、受けの芝居が多かったと思います。着物は引っかかるし、鞘を背負うとそれだけで邪魔。その中で自由に動いているように見せるのは大変だったと思いますよ。僕が一護役だったら断りますね(笑)」(下村)。
これまでアクションのイメージがなかった杉咲も、その上達ぶりが絶賛された。「『無限の住人』の撮影初日に、木村(拓哉)くんが花ちゃんに剣の握り方から教えていたんですが、あれからかなり上達していて。この作品の撮影前にも相当アクションの練習をしていたのは知っていましたが、映像で見てその上達ぶりに驚きました」(小岩井P)。
また、“見えない敵”と戦う俳優陣の苦労をこう振り返る。「今回演技ができる俳優部を選んで本当に良かったです。目の前には棒の先に付けた虚の写真しかないのに想像力で補って迫真の芝居をしなければいけない。こういうVFXヘビーな作品にリアリティをもたせるのは俳優部の演技力なんです」(小岩井P)。